税制改正、“まとめ”

12月8日に、平成29年度の税制改正大綱が発表されました。

今年もサプライズがなかったため、事前に報道されていた内容がそのまま収まったという感じです。

配偶者控除の見直しについては長々と説明がありましたが、また複雑な制度になったな…という印象です。

平成30年以降、年収1,120万円を超える方で、配偶者を扶養にされていた場合は増税となります。

今回見直しが行われた配偶者控除の収入分岐点150万円の基準は、時給1,000円で1日6時間、週5日勤務した場合の年収144万円を目途にしているということ。これは240日勤務するということになりますが、土日祝日や盆正月を除いた全日勤務するということです。

240日勤務というのはハードルが高いですし、今まで15時まで勤務していた方が16時に伸びたとしても、政府が目指す労働力の確保や生産性の向上につながるかは疑問があります。特に事務職においてはむしろ生産性が落ちる可能性が高いのではないかと思われます。

ちなみに、平成25年から段階的に年収1,000万円以上の方の給与所得控除額が減額(平成29年にて最終確定)され続けています。この増税が終わると思ったら、平成30年も増税です。

そして、今後も引き続き高所得者の所得税の増税を検討していくと”宣言”しています。この高所得者の基準が年収1,000万円前後に置かれているのは間違いありません。1年で税制を抜本的に改正するのは困難なため、今後も年収1,000万円以上の方の増税が当面行われ続ける可能性が非常に高いということです。

この点、年収1,000万円から1,500万円程度の世帯はますます厳しい環境になると思われます。

増税の影響をもろに受ける下限の年収区分であり、児童手当のカットや高額療養費制度も自己負担限度額が上がったりと、マイナス側面が大きいと言えます。

消費意欲が旺盛なのもこの年収世帯区分の特徴なので、お金が残りにくいブラックゾーンなのではないかと思われます。税負担や経済への貢献度を考えると、報われない層でしょう…。

当然、中小企業の経営者は、この辺の区分の収入の方が非常に多いため(月額100万円というのが一つの目途のため)、厳しいと言わざるを得ません。

また、散々言われていることですが、中間層の減税財源を高所得者に転嫁して中間層の影響を緩和したところで、そもそも中間層の収入が増えなければ意味がありません。

その上で、またしても「従業員の給与を上げてね!」税制(所得拡大促進税制)が強化されました。

「中小企業の経営者の皆さま、あなたの税金はちょっと上がっちゃうけど、従業員の方々の税金は下げてあげるね。それと、従業員の給与を上げたら、法人税は下げてあげるから、がんばってね!」

ということです。

以前から、中小企業のオーナー経営者の個人資産と法人資産のバランスは非常に重要とお伝えしてきましたが、個人への課税が強化される今後の流れから、さらに注意が必要です。

ただし、今回の税制改正で、オーナー経営者向けのメリットがある改正もありました。それは、取引相場のない株式(中小企業等の株式)の評価の見直しです。
内容は下記のとおり。

・類似業種の上場株式の株価について、現行に課税時期の属する月以前2年間平均を加える

・類似業種の上場株式の配当金額、利益金額及び簿価純資産価額について、連結決算を反映させたものとする

・配当金額、利益金額及び簿価純資産価額の比重について、1:1:1とする

・評価会社の規模区分の金額等の基準について、大会社及び中会社の適用範囲を総じて拡大する

具体的には個別に計算してみなければ影響は分かりませんが、評価額の低下を意図している部分があるため、この点は中小企業の経営者にとっては朗報となる可能性があります。

平成27年から相続税が増税され、その後は所得税の増税が続いています。今後、所得税の抜本改正で増税が実現すると、次は相続税の番。消費税増税も行いつつ、法人税だけは優遇されていく…。

中小企業のオーナー経営者ほど、国の税制改正の影響を受ける方々はいらっしゃいません。
情報格差によって納税額に大きな差が出てきますので、ご注意ください。

まとめサイトの記事の誤情報が話題となりましたが、中小企業の経営向けの情報も誤情報が非常に多いですから…。

エー・アンド・パートナーズ税理士法人

ベストセラー多数の人気税理士岡本吏郎が主催する税理士法人。 マーケティングコンサルタントでもある岡本吏郎を中心に、東京・新潟事務所には、専門知識と実務経験の豊かなスタッフが在籍。 全国の中小企業経営者が独自ノウハウを支持。