タワマン節税、やるなら今のうち!???

皆さまご存知「タワマン節税」。
昨年12月に公表された税制改正大綱において、この「タワマン節税」の封じ込めを意識したと考えられる居住用超高層建築物(高さが60mを超える、いわゆるタワーマンション)の固定資産税等の税額計算に関する改正が盛り込まれていました。

今回の改正はあくまでもタワーマンションの固定資産“税額”の計算方法に関するもので、固定資産税“評価額”に関するものではないため、原則として固定資産税評価額を基に計算する建物の相続税評価額が直ちに変わるわけではありません。であれば、まだしばらくはタワマン節税には何ら影響がないように思ってしまうのが普通でしょう。

しかし、相続税の計算に必要な「財産評価」について「そもそも」を考えると、今後一気にタワマン節税の封じ込めが行われる可能性が垣間見えてきます。

それではまず、タワマン節税について簡単におさらいしておきましょう。

「タワーマンション節税」とは相続税における財産評価方法を利用した節税手法です。

相続税では原則「財産評価基本通達」に従って、建物は固定資産税評価額で評価します。固定資産税評価額は時価の70%程度になりますので、現預金と比べると財産の評価額が低くなります。評価額が低くなれば当然、税金も安くなるというわけです。

マンションは一軒家よりも建物の割合が大きいので、時価の70%程度である固定資産税評価額での評価割合が高くなり、土地付き一戸建てよりも評価額が下がりやすいのです。

しかもタワーマンションであれば1戸当たりの土地の持分が普通のマンションよりも小さいので、さらに評価額が低くなる傾向があります。しかも評価額は専有面積に応じて計算するため、所有する物件が眺望のよい高層階であっても1階であっても専有面積が同じであれば変わらないため、値崩れしにくい高層階を所有することで、財産価値を保ちつつ、財産評価額を下げられるという効果が得られるのです。

今回の改正では居住用超高層建築物(タワーマンション)の固定資産税等の計算について、各区分所有者の専有部分の床面積を、階層別専有床面積補正率により補正することで、財産価値の高い高層階は増税される一方で低階層は減税となります。

繰り返しになりますが、この改正はあくまでもタワーマンションの固定資産“税額”の計算方法に関するもので、固定資産税評価額は変わりませんので相続税評価額がただちに変わることはありません。

しかし、だからと言って「タワマン節税はまだまだいける!」とは言えない理由が実はあるのです。

まず、地方税(固定資産税は地方税です)の改正については、通常、総務省から改正要望があがりますが、総務省の税制改正要望にはこの改正は記載されていませんでした。つまり、相続税評価の改正が本当の目的であることは、まず間違いないのではないかと考えられます。

加えて、相続税では原則「財産評価基本通達」に従って、相続財産を評価しますが、そもそもこの「財産評価基本通達」、限りなく法律に近い拘束力を持ってしまっていることも事実ですが、その名の通りあくまでも「通達」であり「法律」ではありません。

財産評価基本通達が通達であり法律でない以上、税制改正大綱に載せる義務はありません。義務はないどころか、そもそも法律でないのですから、通達の改正を税制改正大綱に載せること自体がおかしいとも言えるのです。

つまり、総務省からの要望がなかったことを踏まえても、今回のタワーマンションの固定資産税の計算方法の改正はあくまでも相続税評価改正の伏線で、この後年内にも、いきなり税制改正大綱に記載されていない財産評価基本通達の改正に踏み込んできても何ら不思議ではないのです。

私自身は、節税だけを目的としたタワ-マンション購入を勧めることはありませんが、上手くいけばかなりの節税が可能となることも事実です。

もし、現時点でタワーマンションを利用しての節税をお考えの方は、財産評価基本通達の改正など国税の動きに注目しつつ動いていく必要があるでしょう。また、相続開始直前に購入し、相続開始直後に売却するなど租税回避の色が強い極端な事例においては否認されかねないリスクがある手法だということを十分に理解し、検討にあたっては必ず相続税に詳しい専門家にご相談なさることをお勧めします。

タワーマンション節税が本格的に封じ込められるその時は、もう間近・・・かもしれません。

エー・アンド・パートナーズ税理士法人

ベストセラー多数の人気税理士岡本吏郎が主催する税理士法人。 マーケティングコンサルタントでもある岡本吏郎を中心に、東京・新潟事務所には、専門知識と実務経験の豊かなスタッフが在籍。 全国の中小企業経営者が独自ノウハウを支持。