税理士増加は良い事か?

それは当然に良い事でしょう。
税理士が増え、競争原理が働けば報酬も安くなる。

と、皆さんはお考えのはず。

そして、今年も税理士が増えます!
というのも、8月は税理士試験が行われる月でした。
合格発表は12月で、資格登録出来る合格者は毎年1,000人くらい。

では、税理士増加は皆さんにとって本当に良い事なのでしょうか?

新規営業先でよく聞かれます。

「顧問契約したら、担当になっていただけるのは税理士の方ですか?」

ここで税理士ではない旨を伝えると、露骨にがっかりされる方がいらっしゃいます。
もちろん、資格はなくても優秀なスタッフですとお伝えしますが、内心こう思います。

「せっかく経験豊富なスタッフを担当につけようと考えているのに、経験浅い税理士
資格者の方がいいのかな? 」

つまり、この業界、仕事が出来るか否かと税理士資格の有無はあまり関係あり
ません。
絶対的に経験の方が重要です。

医師や弁護士のように、資格がなければ実務が行えない仕事と異なり、税理士
業界は資格がなくても、資格を持っている者の指揮監督の下で同じ仕事を
行えます。

これがいわゆる税理士補助業務というやつですが、行う仕事は全く変わりません。
申告書も作りますし、税務調査の立会いも行えます。
出来ないのは申告書の署名くらい。

昔は、所長先生よりも、無資格の番頭格のスタッフの方が優秀というのが当然
でした。
なぜなら、実務をより多く経験しているのは、税理士よりもスタッフだからです。

最近は、税理士も個人事業から法人化が進み、昔でいう番頭格のポジションに
税理士が付くケースが増えてきました。
特に、若い税理士の事務所が増えてきているので、大分様変わりしてきたように
感じます。

そして、近年の税理士事務所が行う業務の多様化も影響しています。
税理士試験で勉強する税法だけでは実務に対応出来ません。
会計、金融、保険、労務、法務等、別の専門家の守備範囲のものでも一通りの
知識がないとお客様との会話にさえ困ってしまいます。

これは実務を通して勉強していくしかないので、税理士試験に集中している者に
とっては疎かになりがちです。

また、税理士業界は、20代に試験勉強にどっぷりはまる人間が多いので、20代
から30代にかけての実務経験(=社会人経験)が絶対的に少ないのです。
実際に経験年数を聞いてみると、年齢とのバランスが合っていない方が結構
います。

仮に30歳で税理士資格を取得しても、経験が浅かったらひよっこもいいところ。
それでも税理士であることには間違いないので、お客様からは仕事が出来ると
思われてしまいます。
このイメージが、若手税理士が増えれば増えるほど、実態と乖離します。

ここで最初の問いに戻ると、税理士増加自体は良い事だが、それによって実力が
分からない税理士が増えると、その見極めが難しくなるという事になります。

もちろん、税理士に限らず、誰であれ経験を積むまではお客様にご迷惑をお掛け
する事もありますし、その過程を経なければ成長出来ません。
要は、その税理士の仕事をフォローする上役などの存在がいれば問題ないのです。

実際、ある程度の人数の税理士事務所であれば、税理士資格者の上司が無資格
のスタッフという事は多々あります。

ですから、“税理士だから大丈夫”、“税理士ではないからダメ”ではなく、その担当
者のキャリアを把握して仕事を依頼する方が、皆さんにとっても有益な結果を
もたらすはずです。

と、ここまで言っておきながら、

「税理士資格がなく、経験は長いが仕事も出来ない方もいるのではないか?」

というご質問に関しては、苦笑いするしかないのですが・・・。

ちなみに、皆さんご存じの国税OB税理士という方々について。
この国税OBの税理士は税理士全体の4割以上を占め、国税に23年勤務すると
税理士登録出来るようになります。

従って、税理士登録する国税OBの方々は40歳以上になるので、試験組みの
税理士に比べて圧倒的に平均年齢が高い!

ですから、若手で国税OBという税理士は基本的にはいらっしゃらないのです。
国税OBというだけで23年以上のキャリアがあるので大ベテランです。
まあ、国税OBの方は貫録が違いますからね(笑)

とはいえ、民間経験年数(=納税者有利判断年数)は浅いので、このパラドックス
をどう埋めながら仕事を依頼するかが難しいところ。

とにもかくにも、税理士を選ぶのって難しいですよね。
この業界年数が長くなるほど、そう思わずにはいられません。

エー・アンド・パートナーズ税理士法人

ベストセラー多数の人気税理士岡本吏郎が主催する税理士法人。 マーケティングコンサルタントでもある岡本吏郎を中心に、東京・新潟事務所には、専門知識と実務経験の豊かなスタッフが在籍。 全国の中小企業経営者が独自ノウハウを支持。