運が悪かったで済ますべきか…。

9月、10月と続いた台風大雨被害…。
私も千葉在住のため、その被害を目の当たりにしました。

昨年も西日本を中心に大きな被害があり、皆さまにおかれましても、今後は経済環境のみならず、自然災害も考慮すべきと強く感じていらっしゃることと思われます。

また、長年経営をされていれば、突然の事件により大きな被害を受けてしまうことがあります。

そのような中でも、すぐに立ち直れる企業と、立ち直れない企業に分かれてしまいます。
そこにはどのような差があるのでしょうか?

もちろん大震災のように取り返しがつかない被害もあります。今年の台風でも致命的な被害がありました。

しかし、被害を防ぐ術がなかった一部の企業を除き、被害があったとしてもほとんどの企業は間接的であるはず。

「今月は5,000万円の売上の見込んでいた。しかし台風被害の影響で2,500万円になってしまった。だから当期は赤字だ。運が悪かった…」

仮に年商が5億円であれば2,500万円の減収は5%にあたります。粗利率が40%であれば粗利益で1,000万円。

台風被害の影響でも固定費が変わらないのであれば、この会社が予定していた最終利益は1,000万円以下、経常利益率2%以下。

5%の減収…。

常識的に考えても、通常あり得る変動幅です。

つまり、こういう企業は一回何か事件が起こったらすぐに赤字になってしまう体質の企業ということになります。今回はたまたま台風被害だったというだけ。

しかし、現代のような不確実性の高い経営環境において、何も起こらない年があると想定する方が間違っています。

例えば、消費税の増税などは何年も前から決まっていました。増税後に景気が良くなると考えていた方はほとんどいなかったはず。それでも増税に向けて何も準備をしてこなかった企業は腐るほどあります。

「増税の影響が想定以上に大きかったために売上の見込みから5%下がった。だから当期は赤字だ。仕方がない…」

このような経営者は何が起こっても同じように赤字の理由を述べるでしょう。予測できても予測できなくても、何に対しても準備を行っていません。

「減収の見込みを立てていたら、これは準備になるのではないか?」

その減収の見込み幅はどの程度だったのでしょうか。10~20%でも足りません。そのくらいは十分あり得るからです。最低でも30%、できれば50%下がったらどうなるのか?というところから検討を始める必要があります。

「さすがに50%はやり過ぎでしょ…」

と、お考えの方も多いかと思われますが、誰しも自社が被災するとは想定されていないでしょうし、仕事が出来ない状態になるとはお考えではないでしょう。実際に被災したら50%減少では済まない可能性があります。

従って、被災でも事件でも予測し得ない事象が発生した場合に、「当社はどうなるのか?」という想定ができているかどうかという点が、すぐに立ち直れる企業とそうでない企業の差になって現れます。

そして、自らに対する問いかけとして、「売上が半分になったらどうなるのか?」というところから始めると、本当に自社が危機を乗り越えられるかどうかが分かります。逆に言えば、そのレベルでないと、すべて現状の延長線上で対処しようとしてしまいます。

「売上が半分になったら…」という問いかけから戦略的に売上を下げている企業は、質の悪い売上を捨て始めます。実際、売上を下げると判断した企業ほど利益が上がるというケースを多数見てきました。

このような企業は質の悪い売上が下がり、質の良い売上が上がり始めるので、結果として現状維持か増収となり利益率が上がります。外部からは質の悪い売り上げを捨てたことは分かりません。

準備ができていない企業にはババ(捨てられた売上)が回ってくる確率が高まり、ババかもしれないと感じていても何かと理由を付けてそのカードをひきたくなってしまいます。さらに、ババを捨てることもできなくなります。

すべては準備です。ネガティブに考える必要があるということではなく、売上が半分になったらどうなるか?というところからスタートすると、準備の質が変わるということです。

地震、台風、大雨、火事、病気、取引先倒産、関係悪化、社員の退職…。
事件は毎年起きます。

赤字の原因を事件のせいにせず、準備により黒字の原因を作っていただければと考えます。

エー・アンド・パートナーズ税理士法人

ベストセラー多数の人気税理士岡本吏郎が主催する税理士法人。 マーケティングコンサルタントでもある岡本吏郎を中心に、東京・新潟事務所には、専門知識と実務経験の豊かなスタッフが在籍。 全国の中小企業経営者が独自ノウハウを支持。