給付金現場の混乱

5月の緊急事態宣言の延長などにより、売上減少に直面する事業者を支援する「家賃支援給付金」の申請受付が7月より始まっていることは、皆さまご存知のとおりです。

今回のコロナ騒動に関連した各種支援金や助成金を巡る現場の混乱ぶりが多く報じられてきましたが、「家賃支援給付金」についてもやはり混乱が生じています。

経済産業省がHPで「対象外」と明示している事例の中に、「給付対象」となり得るものがあることが分かったのです。

これから申請する企業はもちろん、既に申請済みの企業も申請漏れがないように正しい理解をしておきましょう。

「家賃支援給付金」は、5月から12月の売上高について1ヶ月の売上高が前年同月比▲50%以上または、連続する3ヶ月の合計で前年同期比▲30%以上となる事業者を対象とし、事業のために支払う地代家賃について最大600万円の給付を受けることができるという制度です。

しかし、地代家賃のうち従業員に転貸している「社員寮・社宅」については、給付の対象外であることが経済産業省のHPの、よくあるお問い合わせに記載されています。   

Q4.社員寮・社宅については給付の対象となるのか?


  • 法人が社宅・寮に用いる物件を賃貸借契約等に基づいて借り上げて従業員を住まわせ、当該物件の賃料を当該法人の確定申告等で地代・家賃として計上しているのであれば、原則として給付対象となります。他方、賃貸借契約に基づいて従業員に転貸している場合は対象外となります。
出典:経済産業省HP (一部加工)

通常、会社で社宅を借り上げて役員や従業員がそこに住む場合には、給与課税を避けるために固定資産税の課税標準等をベースに計算する「賃貸料相当額」などを役員や従業員から徴収し、いわゆる「転貸」の形にしていることがほとんどです。

そのため、役員や従業員から賃料を徴収している社宅家賃については給付金の対象外であると考えられ、「家賃支援給付金 コールセンター」に問い合わせても「1円でも賃料を徴収しているようであれば、対象外である」との回答がなされていました。

しかし、日本税理士会連合会が過去の最高裁判例を根拠に、1円でも賃料を徴収している社宅家賃については給付金の対象外だとするコールセンター等の回答は誤りであると明言し、実際にコールセンターの対応が変わったのです。

過去の最高裁判例によれば、例えば家賃の1/2の賃料を徴収している場合については、近隣地域の相場を踏まえた「世間並みの家賃相当額」を徴収しているとは考えられず、賃貸借に基づき「転貸」していることにはならないため、家賃と同程度の賃料の徴収を行っているような場合以外は給付の対象と考えるべきだというのが日本税理士会連合会の見解です。

実際に、既に社宅を外して申請済みの企業が、私からこの情報を得てコールセンターに再度問い合わせたところ、「対象になると考えられるので再度申請し直して欲しい」との回答を得ています。

今回のコロナ禍で政府が出している様々な支援策は、スピードを優先していることで要件などが後からコロコロと変わる傾向があり、申請を受け付ける現場でも、大分混乱している様子が見られますので、申請する側も常に情報を注視していかなければなりません。

コロナ禍はまだしばらく続きます。

こんな時こそ冷静に正しい情報を集め、受けられる支援や救済策は漏れなく受けていきましょう。

エー・アンド・パートナーズ税理士法人

ベストセラー多数の人気税理士岡本吏郎が主催する税理士法人。 マーケティングコンサルタントでもある岡本吏郎を中心に、東京・新潟事務所には、専門知識と実務経験の豊かなスタッフが在籍。 全国の中小企業経営者が独自ノウハウを支持。