有給休暇の改正は、果たして「敵」か「味方」か・・!?

あなたの会社では、「有給休暇」を取得できますか?
労働基準法改正案が国会に提出されたようです。
昨年から報道はされていましたが、有給休暇の取得を従業員の希望を踏まえ、企業側からいつ取得するかを決定させることを義務付けるというものです。
簡単に言えば、企業側から有給休暇を取得することを義務付けるもので、これにより、従業員に有給休暇を確実に取得させることが狙いのようです。
当然ですが、現行の法律でも企業は従業員に有給休暇を取得させなければならないと定めています。しかし、実体としては従業員の自らが、いつ休むのかの時期を申請することが前提となっているので、その請求がなければ企業側は有給休暇を与えなくても違法ではない、ということになっています。
では、あなたの会社では、「有給休暇」を取得させていますか?
この改正により有給休暇を取得させることが義務化された場合、あなたの会社ではどのような影響があるでしょうか。
まず想定できるのが、
⇒有給休暇を取得したことにより出来なかった仕事を、他の日に残業してもらう必要がある
⇒残業による割増賃金の支払いが生じる
ということではないでしょうか。
そうすると、これまでより少ない勤務時間で同じだけの仕事をこなしてもらうには、今の仕事のやり方を変え、作業効率を改善させることが必要になります。
また、そもそもの日々の勤怠管理も見直さないといけないかもしれません。
長引く不況のさなか、すぐに効果が出るような「物を買わない・使わない」などの節約による方法は尽くしてきたかと思います。
しかし、長年続けてきた「社内のオペレーションの見直し」など、既存の業務フローや作業方法、あるいはその業務自体の要否など、見て見ぬフリをして手をつけてこなかった企業も多いのではないでしょうか。
細かい見直しレベルでも、例えば・・・

  • 今までは営業担当が行っていた(行うものと思いこんでいた)作業の分業化
  • パートさんには出来ないと思い込んでいた業務の分担化
  • 個々に任せていた業務の均一・同質化、マニュアル化
  • ネットバンキングの導入による振り込み・記帳等の作業効率化
  • 同、ネットバンキングからの仕訳取込みによる経理作業の軽減化

など、固定概念化されているものの見直しや、マニュアル化、IT化などは、大きな効果が期待できる可能性があります。また顧客の見直しにおいては、時間と手間ばかりがかかり収益に貢献しないような「招かざる客」というのも存在しているかもしれません。。。
今回お伝えしたかったのは、この改正により「残業代をどうやって減らすか」ではなく、 すべきことは「会社の根本的な合理化への見直し」にあるのではないか、ということです。
実際に有給休暇を取得させること、それ自体は、労働環境の改善につながることは間違いありません。また、見方を変えれば適切な休暇をとることで労働生産性が上がるなど企業側にもメリットは考えられます。
戦後直後に作られた労働基準法ですが、そもそもブルーカラーである労働者向けに作られた法律ともいわれており、ホワイトカラーへの適用自体がナンセンスであるという見方も存在しています。とはいえ、今後もこの「労働者寄り」の法律は、経営者には厳しい改正が繰り返されるのは間違いありません。
今回の改正をきっかけに、是非、企業内部の根本的な見直しをされてみてはいかがでしょうか。この改正を「味方」にするか、「敵」にするかは、経営者自身にかかっているのではないでしょうか。
◆追記
有給休暇の消化方法に、「時間単位付与」という制度もあります。これは有給休暇を時間単位で取得できるというものです。効率化の一つの方法になるかもしれませんね。
【年次有給休暇の時間単位付与】
【厚労省リーフレット】