ご存じのとおり、国税の人事異動は毎年7月10日になりますので、税務調査はこの人事異動後に活動を開始し、実際の調査は8月に入ってからというのが流れです。現在進行形の企業様もおありのことでしょう。
しかし、税務調査も少し流れが変わってきたようで、人事異動前に調査の事前通知が始まっています。実際、当社のお客様でも6月下旬に税務調査の事前通知がありました。早いなと思います。
事前通知が早まったということは、結果として税務調査の件数が増えるということにつながります。近年は税務調査の件数が減少傾向ですから、少しでも調査件数を増やすということなのでしょう。
こうなると、やはり税務調査が省略となる場合もある書面添付制度は有効ですから、ぜひご活用いただくのがよいと思います。もちろん、顧問税理士様に…。
ちなみに、上記の当社への事前通知も、書面添付を提出しているお客様に対してでした。
「あのー、33条の2の添付書面出していますけど、それでも調査の日程調整しますか?」
「…少々お待ちください。(ガサゴソ)、♪~…、…、…。もしもし、一度なかったことにしてください。調査自体行わない可能性がありますので…。」
もちろん、今回のケースはレアな笑い話ですが、書面添付制度にはこのような効果があります。
とはいっても、税務調査はやはり嫌なものです。何と言っても時間が奪われます。書面添付制度を利用しても、永遠に来ないということではないので、来てしまったら仕方ありません。税務調査に来てしまったら、早く終わってもらうしかありません。
では、どうすれば早く終わるのか?
一番は、顧問税理士に普段からしっかり仕事をしていただくこと。これに尽きます。次は、自社でも正確な処理を心掛けること。
ベタですが、問題がなければ税務調査も早く終わるのは当然です。税理士にも限界がありますし、ミスもします。帳簿の正確性を確保するには、自社と税理士の共同作業が必要です。
では、税理士に頼りきりにせず、自社でも正確性を心掛けるには、どのようにすればよいのか?
これはやはり税務調査のチェックポイントを抑える必要があり、チェックポイントを知ることが重要です。ちなみに、国税庁は下記のようなチェックリストをホームページに掲載しています。
大規模法人とありますが、中小企業でも変わりません。慣れないと少し難しいかもしれませんが、よく出来ています。決算月まで会計処理が終わった後、改めてこのチェックリストでご確認いただき、漏れや修正すべき点、顧問税理士に伝えておくべき点をご確認いただくのがよろしいかと考えます。それだけでも随分違うと思います。
このチェックリストは税務署への提出対象ではありませんが、税務調査に来た時などに、帳簿書類の一番上に堂々と置いておくのも面白いかもしれませんね(笑)
「うちは、国税庁が出しているチェックリストでしっかり処理しているよ!」って。
もちろん、どの企業も「これは微妙かな…」と思う点はあるでしょう。しかし、それは既に皆さまも十分把握しており、かつ、覚悟をしている部分もおありのはず。
ネックとなるのは、想定外のリスクです。このようなものはチェックリストなどで炙り出しておくのが一番です。
税務調査対策にウルトラCはありません。調査官と上手く交渉して…という話しもありますが、それはあくまで問題が発生しているケースに対してです。
問題が発生しないようにするには、問題点を事前に抑えておく。本当にこれだけなのです。
調査官も税金を取りたいばかりではなく、調査が早く終わるものなら終わらせて、次の法人の調査に取り掛かりたいのです。
ぜひ、協力して早く終わらせてあげようではありませんか!
もちろん、修正なしで。
P.S.
少し税務調査から外れる内容もありますが、法人会などもチェックシートを公表していますので、ご参考にしてください。