消費税の還付案に見る、今後の税金の流れ

今月、以前より検討されていた消費税の軽減税率につき、軽減分を後日還付するという案が打ち出されたことは皆さまも報道で見聞きされていると思います。
まだ財務省案なので、最終的にどうなるのかは分かりません。政治が絡めば、制度の良し悪しにかかわらず、二転三転するもの…。
しかし、「またもマイナンバーが前提か!」と、まだ誰も手にしていないマイナンバーであるにもかかわらず、次々とデータが格納されていく模様。
消費税の還付案についてですが、一般消費者の立場では実際に支払うときに、支払う額が少ない方が良いに決まっています。だから、還付はダメ。ただし、消費税を受け取る事業者の立場を考えれば、その事務の煩雑さに辟易するのは容易に想像がつくと思います。還付なら今までと特に変わりはありません。還付OK。
還付をしないのであれば導入せざるを得ないと言われているインボイス方式なんて、事務負担の増大で売上が減ってもおかしくないし、費用は間違いなく増えるし、大変な目に合うのは間違いありません。
では、軽減分がどの程度のインパクトを与えるかと言うと、
仮に年間の食費が100万円(月8.3万円)だとして、軽減税率2%分と考えると金額にして2万円の消費税。年間の還付額が1人4,000円を限度とする案だと、5人家族でやっと元が取れます。
「この2万円が大きい!」と考える方は多いのでしょう。
ただ、このような計算が成り立ち、かつ還付の限度額まで設けるのであれば、バラマキと言われようが、消費税の軽減税率なんて導入せず、マイナンバーで収集した所得情報を基に、所得制限を掛けた上で、所得税を1人4,000円還付した方が効率的です(もちろん、これは理屈でのお話しをしていますので、乱暴な議論であるのは承知しています…念のため)。
最近、コンビニなどでもクレジットカードを使う方が増えていますが、レジに並んでいる前の人が支払にクレジットカードを使い、さらにTカードを取り出してTポイントを受け取り、さらにマイナンバーのカードを取り出して還付を受ける…なんてことを想像した場合、「レジで、カード三枚を処理してもらっている人の後ろに並びたくない!」。そう思うのは私だけではないはずです。
そして、「“痛税感”という言葉ってあるんだな…」と思いつつ、一回10,000円(税抜)の食品の買い物で、10,800円が11,000円になって、「痛税感あるー!」と自分が思うかと想像すると、おそらく思わない…。
さらに、クレジットカード派の私が、もう一枚マイナンバーカードを取り出すか…、絶対に取り出さない!(コンビニではクレジットカードは使わずモバイルSuica、Tカードは持っていません…こちらも念のため)
そこまで考えると、軽減税率が導入されなくても私の痛税感は鈍そうですし、マイナンバーカードをいちいち「ピッ!」とやってもらうのも面倒です。
とにかく、お金を還付してくれるのはありがたいのですが、「ピッ!」は止めて欲しい。間違いなく還付限度額の4,000円に相当する年間20万円の食費は支出しているのだから、単純に4,000円を振り込んで欲しい!と思ってしまいます。
そうであるならば、その名目は無理やり消費税の還付とする必要はないと思うのですが、これが通用しないのが政治なので、何とも難しい限りです。
ただし、この“税金を徴収して、マイナンバーを使って税金を還付する”という流れは、消費税のみならず、今後の税金のスタイルになっていくのは間違いありません。
例えば、年末調整については、毎月所得税を会社から徴収され、年末に会社から還付を受けています。しかし、遠くない将来、毎月所得税は会社から徴収されても、最後に還付を受けるのは国からとなる可能性は十分にあります。
マイナンバーが数十年も前から検討されていたように、年末調整という制度をなくすという話しもかなり昔から存在します。
マイナンバーを経由して全ての収入・納税・家族データが集まれば、それを確認して追加修正し、最後にまとめて還付を申請するということが可能になるからです。それを行っている国は既に存在します。
確かに効率は良いですし、無駄なコストも労力もカットすることができそうです。
「生産性の向上!」というのは安倍首相に言われるまでもなく、中小企業が取り組むべき絶対的課題でありますし、日本政府が率先して取り組まなければならないはず。
そう考えれば、還付案は悪くありません。ただし、「ピッ!」は明らかに生産性の減少につながりそう…。
軽減税率自体は導入されるのでしょうが、これがどのような形で決着するのか…。一般消費者としてのみならず、事業者側としても注目していかなければなりません。
P.S.
もしかすると、消費税の還付案は、ポイントマニアの方にとっては意外とうれしいのかもしれませんし、「うちは大家族だから、その軽減分のデータが必要ないなら、俺のマイナンバーカード使わせて!」なんてことが繰り広げられるかもしれません。
飲み会の会計の際など、意外と盛り上がりそうですね 笑