中小企業の再編促進、加速

まるでノアの方舟の様相です。

業種ごとにかなりの強弱がありますが…今年の倒産企業数は昨年を下回って推移しているようで、国の延命措置が功を奏しています。
これに対して廃業企業は過去最高になる可能性があるとのこと。

ここで改めて倒産と廃業の違いを簡単にお伝えします。

「残った債務の支払いができるかどうか」

債務(借入金や買掛金など)の支払いができなくなれば倒産、債務の支払を完了したうえで事業を停止できれば廃業です。

理由はともあれ、廃業は事業継続を断念したということなので、規模が小さい企業が大半です。それなりの規模の企業で債務超過でないのであればM&Aという選択肢を取り得るからです。

もしM&Aが難しいのであれば廃業は賢明な判断です。商売は信用ですから、倒産で周りを巻き込んでは再起も難しくなる…。撤退が早ければ再起も早められます。

問題なのは、いまの日本は再起を限りなく遅らせる、つまり廃業ではなく、大きな倒産を助長する延命措置が行われている点です。借金漬けにして延命させたら、廃業の可能性も潰れてしまいます(廃業なら自己破産も不要です)。

そして、この延命措置をいつから縮小するか…という話題が出る矢先の第三波。
来年早々にもさらなる延命措置が発動される可能性すらあります。

しかし、国の本音はどうでしょうか?

延命措置を続けてはいるものの「中小企業は事業を続けられるのかどうか、はっきりして!」が本音かと思われます。ゾンビ企業には早く撤退してもらないとお金が掛かって仕方がないからです。

今年の税制改正大綱も目玉がなく発表されましたが、その中でも中小企業に再編してほしいという思いが強くにじみ出ました。

それはM&Aの「買い手」企業への優遇措置です。「M&Aを税制上も支援するから積極的に買ってね!」という微妙な言い回し。それもそのはず、国が目指す企業の再編とは雇用の確保であり、買い手が積極的になってくれないと実現しません。

さらには中小企業の生命線である資金繰りを助けるはずの地方銀行等も経営状態が危うくなってきました。遂に、銀行の再編にもお金を出し始めます!

中小企業の事業承継に関しては税制で支援しようとしてきましたが、らちが明かないのは明らかなため、そのうちM&Aをしてくれたらお金を出すという流れになってもおかしくはありません。

もちろん、倒産、廃業、M&Aと簡単に判断ができるものではありません。倒産も廃業もM&Aもせずに再起の可能性だって十分にあるでしょう。しかし、延命措置が講じられているからといって、コロナの波に乗り続けては再起の波に乗ることができません。

現状のまま再起するのであれば、それはノアの方舟と一緒です。方舟のサイズを決め、そこに乗り切るもの以外は諦める。

それが嫌であれば、最初から頑丈で大きな方舟を作るべきだった。その方舟を作れなかった時点で、それがその企業の限界だったということです。

今からたくさんの人・物を積むことに掛ける時間はありません。それよりも、いち早く新しい波に漕ぎ出すべきです。

コロナの波は今後も波状攻撃のように続くでしょう。中小企業にとっては感染者数だけの問題ではありません。

しかし、コロナの波に隠れて、新しい小さな波がいくつも発生しています。コロナの波に踊らされては、本来乗るべき波に乗れなくなってしまいます。

皆さまも2021年が始まる前に足元の小さな波を探されてみてください。

最後に…2020年、中小企業の経営者の皆さま、本当にお疲れさまでごさいました。
それでも皆さまが日本の雇用を支えているのは間違いありません。

なくなる?!贈与税

毎年恒例の税制改正。

コロナ禍にあって今年は税負担が増えるような大きな改正はないだろうと誰もが考える中、気になる情報が入ってきました。

今月中旬に発表予定の令和3年度税制改正大綱にむけて先月13日に行われた、政府税制調査会の会議資料に相続税・贈与税の見直しを検討する部分が含まれていることが分かったのです。

そこでは、皆さまよくご存じの年間110万円の基礎控除を利用する「暦年贈与」を繰り返す「連年贈与」を長年にわたって行うことによる税負担の減少効果が、相続のみで財産を承継する場合との比較で説明されていました。

生前贈与によって税負担を減少させることを問題視していることが明らかで、これは相続税対策の王道である「贈与税の基礎控除を利用した連年贈与」が今後、できなくなる可能性があることを意味しています。

かなり大きな改正となるでしょうから、そう簡単にメスを入れられるとは思えませんが、もし実行されれば、資産家はもちろんのこと事業承継の際に必ず自社株問題が付きまとう中小企業経営者にとっても大きなことです。

それでも今、私たちができること、すべきことに変わりはありません。

遠くない将来、連年贈与ができなくなるかもしれないことを念頭に置きながら、今できる贈与を確実に行っていくことです。

基礎控除を活用した生前贈与は地道な方法ではありますが、税制調査会が問題視するくらいですから年数を長くかけて行うほどに、その効果は実に大きなものとなります。

しかし、その地味さ故か面倒なのか、長年にわたる生前贈与対策を本当に有効活用している例は、実際はそう多くないように感じます。

コロナ禍で経済が落ち込み法人増税が難しくなる間、税制のターゲットは「持っている個人」に向かう可能性が高くなります。

今年も残すところあとわずか。

繰り返しになりますが、生前贈与は年数を長くかけるほどに効果は大きくなります。

今年の贈与はもうお済みですか?