安全・安心の対価

原料高、エネルギー高で次々と値上げが実施され、“値上げせざるを得ない”商品・サービスが苦戦する一方、値上げされても需要が落ちない、むしろ伸びていくものもあります。

その違いは何なのか?

その一つに『安全・安心』があるということは皆さまもお気づきのはず。高くても安全・安心なものを買い求める…それが心理的なものか、物理的なものかはそれぞれですが、結局は不安の裏返しなのでしょう。

たとえば、エネルギー高不安から光熱費を抑えるための高額な商品が売れたり、環境不安から割高なSDGs的商品が売れたり、事故やあおり運転に対する不安から安全機能が充実した自動車が標準(標準価格の値上げ)になっています。

したがって、私たち中小企業も、改めて「安全・安心は有料(付加価値)になった」という現実から自社の商品・サービスの見直しを行う必要があります。

ちなみに、安全・安心がキーワードの商品として私が思い浮かんだものはホームセキュリティ。以下は経済産業省のサイトに掲載されている市場規模の資料です。

『機械警備対象施設数の推移』

一昔前までは「お金持ちのお宅が…」というイメージがありました。しかし、近年では犯罪対策のみならず、共働き世帯の増加による子どもの見守りニーズ、高齢者の見守りニーズなどの増加で市場が伸びています。安全・安心の有料化の典型でしょう。

コロナ禍で環境整備にお金をかけて安全・安心をアピールしても、提供する商品・サービスが変わらなければ対価にはなりません。コストだけ増えて終わり。

「コロナの影響で…」、「原料高で…」と値上げについて謝罪する書面が店頭に貼られたりしていますが、多くの人はそのようなことを求めていません。目に見える具体的な安全・安心を求めているはず。

SDGsの良し悪しは人それぞれでしょうが、好まれる方々は『持続可能』のために割高を許容します。中小企業が持続可能となるためにも割高を許容されるようでなければなりません。

そして、重要なのは、仮に価値があったとしても、競合よりも中途半端に高いくらいでは安全・安心を感じにくい(むしろ不安になる)消費者も多いということです。「価格は2倍だけど、効果は3倍!」などとはっきり伝えられた方が安全・安心を感じます。

割高で高付加価値なものはニッチな市場であり、数は出ません。しかし、手間暇かけた以上のものを回収できる市場でもあります。まさに中小企業のためにあるような市場。

皆さまもお客さまに安全・安心を提供できているか、そこに付加価値はあるか、その対価を回収できているか、いま一度検討されてみてください。

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