4月1日は運命の分かれ道

相続税の課税対象者を増やしたい・・・。
民主党による「富の再配分」の旗印のもとに、とうとう相続税にも大幅にメスが入りました。
相続税の課税対象となる人は、年間に亡くなった方のうち約4%。
今回の税制改正でこの数字が6%程度に増やされることになりそうです。
相続税の計算は、亡くなった方の「相続財産」が「基礎控除」という一定の控除額を超えた部分に課税されます。
今回の税制改正大綱では、その「基礎控除」が4割も減らされました。
夫が亡くなり、相続人が妻と子供2人のケースで見てみましょう。
3月31日までに夫が亡くなった場合、「基礎控除」は、
5,000万円+1,000万円×法定相続人の数(3人)=「8,000万円」
ですが、4月1日以降に亡くなった場合、「基礎控除」は、
3,000万円+600万円×法定相続人の数(3人)=「4,800万円」
となります。
なんと、4月1日を境に、相続税の対象となる額が差し引きで3,200万円も増えてしまうのです。
その上、生命保険金に対する控除も減額されたり、課税所得が1億円超の場合の税率までアップされたりと、今年の改正案はかなりキビしい・・・。
「先生、お願いです!3月31日に亡くなったことにしてください!!」
4月1日は、病院でこんなやり取りが多発しそうです。本当に切実。
国は以前から相続税の算出方法を根本的に変えたいと考えていましたが、まずは算出方法でなく、安直に「金額をいじる」という方法を選びました。
国民の悲鳴とは裏腹に、官僚はこのようにしか考えていません。
「なあに、最近の税金が少なかっただけ。一昔前の状態に戻しただけだよ。」
さて、この4月1日を見据えて、やることは一つ。
とにもかくにも、早めに相続税対策をとることが必要です。
上記の例でもわかるように、今回の税制改正、これまであまり相続税の心配がなかった方や過去に試算をしたことがある方でも、4月1日を境に課税の対象となってしまう可能性や、見込んでいたよりも納税額が増える可能性が出てきました。
そのため、必ず、過去に行った相続税の試算をやり直してください。
生前贈与などを活用して準備さえしておけば、まだ間に合います。
残念なことですが、官僚が決めてしまった流れには逆らえません。
できることは、少しでも早く情報をつかみ、対策をとること。
特に、税金の対策に「ウルトラC」はないのです。
中途半端な子ども手当てや法人税減税との引き換えに、所得税と相続税はとうとう増税の方向に舵を切ったのです。今後もこの増税の流れが加速していくと思われますが・・・。
国民が民主党に託した「未来」とは、本当にこんな景色なのでしょうか。