名目GDPが3位に転落ですって

「名目GDP 日本、中国に抜かれる!」
以前からニュースにはなっていましたが、改めて3位確定と先月発表がありました。
“経済規模で”42年間、世界第2位だったそうです。
どの報道を見ても論調が冷静で、
「当然のことですよね。だってあれだけ人口が多いですもの・・・」
そして、行きつく先は、
「一人あたりGDPでは、日本の方がまだ10倍大きい!」
しかも、日本の一人あたりGDPは世界で17位(2009年度)。
意外と普通の順位ですね・・・。
一人あたりGDPが日本より上位で、日本よりも人口が多いのはアメリカだけです。
世界の国別人口を上位から列挙すると、
『中国、インド、アメリカ、インドネシア、ブラジル、パキスタン、バングラデシュ、
ナイジェリア、ロシア、日本・・・』と、日本の人口は世界で10位です。
人口数が日本より上位で、日本より経済的に裕福と感じるのはアメリカだけではないでしょうか。
ご存知のとおり、GDPは【一人あたりGDP × 人口】の積で求められます。
一人あたりGDPが世界17位で、人口は世界10位・・・。
こう考えると、日本のGDPが世界第2位であり続けたのは、単純に“人口が多いから”、あるいは“人口が多い国の中で、一人あたりGDPが2番目に高かったから”という結論に達します。
ですが、今後、日本の人口は減少傾向に入ります。
それでは、人口の減少に引きずられ、GDPも下がり続けるのでしょうか?
これは、企業の売上高に置き換えてみればヒントが隠されています。
仮に、皆さんの会社の社員が1割減ったからといって、売上高も引きずられて1割下がるでしょうか?
10人の会社なら1人、30人の会社なら3人、100人の会社なら10人。
実際に下がったら経営者は頭を抱えてしまうはず・・・。
しかし、社員数の減少に応じて、下がりそうで下がらないのが売上高です。
それは残りの社員が懸命にカバーするからです。
つまり、一人あたりGDPが増加しているのと同じ現象です。
企業の数年間の連続分析を行っても、人数が減少している事業年度というのは、一人あたりの生産性は増加している傾向にあります。
もちろん、減少人数分を雇うのは簡単です。
とはいえ、簡単に雇ったら大変なことになると分かっているから、どこの中小企業も雇う事が出来ていません。
それでも、売上高を落とさないように努力は続く・・・。
そして、一人あたり生産性は増加する・・・。
いつまでたっても仕事は大変・・・。
これは中小企業のジレンマですが、大きな枠組みで見れば日本の今後のGDPの構造と同じです。
労働人口が減少していくのですから、仕方ありません。
また、皆さんの会社が、こう言われたらムッとくるはず。
「あなたの会社の売上高が大きいのは、社員数が多いからですね」
それよりも、こう切り返せるような形が目指すべき方向性ではないでしょうか。
「うちの会社の一人あたり生産性は業界平均の2倍だよ」
これが日本の現状です。
労働人口は減少するという大前提の下に、企業の一人あたり生産性に焦点を当てて経営される事が、今後の日本のGDPにも少なからず影響を与えるのではないかと考えます。