もうひとつの裏帳簿

みなさんこんにちは。
税理士の笹川和幸です。
みなさんは次の文書を目にしたことがあるでしょうか?
これはわたくしどもが「裏帳簿」などという言葉を使っている理由です。
「裏帳簿」というのは、国税庁および税理士などの専門家に対する皮肉でつけた名称です。
本来は、企業のものであった帳簿は税務行政と専門家が、役に立たないものにしてしまいました。
そこで皮肉って、本当に役に立つ帳簿を「裏帳簿」と表現しました。
したがって、このメールマガジンは、決して脱法行為を推奨しているわけではありません。
皮肉からつけた名称ですから、ご容赦ください。
今年になってから税理士の業界において、あわてて行っている研修に「中小企業の会計に関する指針」というものがあります。
この指針では、中小企業が、計算書類(以下「決算書」と呼びます。)の作成に当たり、拠ることが望ましい会計処理等が示されています。
わたしどもでは随分前から、中小企業の決算書が法人税法の基準によって作成されており、企業の経営実態をしめすものではなくなっているということを「裏帳簿」という言葉を使って表現してまいりました。
本来「裏帳簿」などという言葉を選ぶべきではなかったのかもしれません。
しかし、一人でも多くのみなさまに関心をもっていただくために、あえてこのような言葉を使ってきたのです。
この指針では、中小企業の決算書にひそんでしる「ゾンビ」を排除するためのいくつかの具体的方法が示されています。
そのため、この指針に従って決算書が作成されているかどうかということに、非常に関心を示しているのが、金融機関や信用保証協会をはじめとする利害関係者です。
その証拠に多くの金融機関や信用保証協会では、この指針に従って決算書が作成されている場合に、低利融資、無担保融資および保証料率の割引といった特典を用意しています。
http://www.nichizeiren.or.jp/taxpayer/chusyo.html(日本税理士会連合会)
では、この指針によって中小企業の決算書は本当に経営に役立つものにかわるのでしょうか?
残念ですが、わたしは変わらないと考えています。
それには2つの理由があります。
一つには、この指針が法的に強制力がないということです。
つまり、この指針にしたがった決算書を作成するか、しないかを決めるのは経営者のみなさま自身ですが、そのための情報を提供するのは税理士の役目です。
ところが、その税理士の多くが、この指針にしたがって決算書を作成することに難色を示しています。
当然ですが、難色を示しているわけですから、このような指針ができたことを皆さんにお知らせし、選択肢を提示することもないでしょう。
これでは、変わるものも変わりません。
顧問税理士さんから情報を受けられないみなさんは、この指針に従って決算書を作成してほしいという意思すら顧問税理士さんに伝えることができないのです。
もう一つの理由は、この指針でも取りきれないゾンビが決算書には存在しているということです。
この点に関しては残念ですがお手上げです。
それでは私たちはどうすることもできないのでしょうか?
実は、わたしはこの点に関して驚くべきセミナーを目の当たりにしました。
それが「会計するアタマVS会計するカラダセミナー」です。
このセミナーでは、われわれ税理士の多くが絶賛した「お金と数字」に関する戦略的管理手法が数多く紹介されています。
このセミナーに参加した方は、もうこれ以後、会計や財務に関するあらゆるセミナーに参加する必要はないでしょう。
もう、無駄な時間とお金をつかう必要はありません。
このセミナーで学んだことを実践するだけです。
最後に、確認です。
みなさんはこの指針の存在を顧問税理士さんから耳にしているでしょうか?
残念ですが、情報は求めるものにしか与えられません。
もしも、このお話を聞いていないとすれば、本当に役立つ決算書が作成できる日は遠いのかも知れません・・・。