「割る」ということ

武道などの本を読んでいると、「身体を割る」という表現を目にすることが時々あります。
武道をまったくしたことがない門外漢には、言葉の意味を体感することはできません。
ですから、安易に言語化するのは抵抗がありますが、身体の動きを意識して細分化していくことと理解しています。
そう理解すると(正しいかどうかは別として・・)、「身体を割る」というのは経営にも重要な要素だということが思いつきます。
先般、ここ数年非常に順調に売上げを伸ばしてきたお客様から相談がありました。
「4月、5月の売上げが急減しているんです。どうしたらいいでしょう?」
というような相談内容でした。
私は聞きました。
「各取引先ごとの売上げの昨年対比のデータは出ていますか?」
「いやー、売上げなんて全体でしか把握してませんよ。順調だったせいもあって、そこまで考えないでやってこれちゃいましたから・・」
「数字を取ってみないとわからないけれど、きっと一部の取引先でインストアシェアが低下しているはずだから、まずはその事実を突き止めましょう」
「言われてみれば、そうですね~。思い当たります」
「御社の弱みをライバルが突いてきていそうですよね」
「んー、言われてみると・・」
こんな会話をしながら、いくつかのデーターの作成をお願いしました。
これらのデーターは、本来は、毎月押さえておきたい数字ばかりです。
どれも作成には手間がかかりますが、これから起こる環境の悪化を考慮すると、こうしたものの用意ができていないことは命取りになります。
経営全体の数字を細かく割っていく。割ること自体は普通のことですが、割り方にはコツとセンスがあります。武道での身体を割る行為にもコツとセンスがあるのと同様です。
そして、こんな程度のことからでも戦略が立つことがあります。
こうした管理が、マーケティングなどよりも重要になる時代がやってきています。
時代は繰り返しますね。