年収と手取り

厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」によれば、女性の憧れの職業の代表格であるCA(キャビンアテンダント)の平均年収は440万円だそうです。
この数字を見て、皆さんはどう感じたでしょうか。
「え!?そんなもんなの?」と感じた方が、おそらく多いのではないでしょうか。
皆さんご存じのように、給与からは健康保険料、厚生年金保険料、雇用保険料、所得税、住民税が引かれますので、年収が440万円で扶養0人の場合、通常、手取り額はざっくり350万円程度になります。
ここからが本題です。平均年収440万円のCA。
もちろん個人差はありますが、どういう訳か、年収と手取り額がほとんど変わらないCAがいらっしゃるようです。
仮に手取り額で440万円取るには、各種税金を逆算すると年収では550~600万円近くになる計算になります。
では、年収440万円で手取り額も440万円ほどのCAは、社会保険料も所得税も住民税も納めていないのでしょうか?
いえいえ、そんなことはありません。しっかり給与から徴収されています。
それでは何故、年収と手取り額の差がないなんてことが起こるのでしょうか。
答えは日当がつくからです。
CAの場合、パーディアムと呼ばれる乗務手当がつきます。航空会社によってその金額は異なるようですが、だいたい乗務時間1時間につき700円程度が平均のようです。
1日8時間の乗務で1年の約半分の180日乗務したとします。
すると700円×8時間×180日で1,008,000円の日当がつくことになります。
するとどうでしょう、年収440万円だと通常、各種税引き後の手取り額が350万円ほどであるはずが、日当を加味すると手取りが450万円となり、なんと年収を超えることとなるのです。
しかもこの日当は労働の対価ではなく、出張に伴って発生する食事代等の従業員の負担を会社が負担する性格のものであるため、給与の額面には含まれません。そう、つまり課税されないのです。
結果、年収は440万円なのに手取り額は年収550~600万円の人と変わらないという現象が起きるのです。
大企業や役所では、当たり前のように使われている日当ですが、中小企業では日当を支給している会社は少ないようです。
中小企業であっても「出張旅費規程」作成し、この規程に基づいて役員や従業員に日当を支払うのであれば、何の問題もなく会社の経費とすることができます。
繰り返しになりますが、しかももらう側に税金はかかりません。
役員であれば、従業員よりも日当を高額に設定することもできます。
日当で支給してもらう分と同程度の金額、役員報酬を下げれば、会社として経費に計上できる金額を変えずに、社長さん個人の税金を減らして、社長さん個人の手取り額を増やすことができます。
ただし、出張といっても近距離の日帰り出張に対する支給や、不相当に高額な支給は否認されてしまいますので注意が必要です。
県外などへの出張が多いにも関わらず、まだ出張旅費規程を作成していない社長さんがいらっしゃれば、是非作成して会社から日当を支給してもらいましょう。