社員を鍛える補助金?

皆さま、『ものづくり補助金』というのはご存知ですか?

経済産業省管轄の補助金で、「国内外のニーズに対応したサービスやものづくりの新事業を創出するため、認定支援機関と連携して、革新的な設備投資やサービス開発・試作品の開発を行う中小企業を支援します。」という目的の下に、最大1,000万円を補助(補助率:3分の2)してくれるものです。

詳しくはこちら>>ミラサポ 未来の企業★応援サイト『ものづくり補助金』

27年中に採択された、26年度補正予算の第一次、第二次公募の結果は下記のとおり。

【第一次公募】申請:17,128件 ⇒ 採択:7,253件(採択率:42.3%)
【第二次公募】申請:13,350件 ⇒ 採択:5,881件(採択率:44.1%)

最大1,000万円の補助金が出るのに、こんなに採択率が高いのか?と驚かれる方も多いのではないかと思われます。

ただし、『ものづくり補助金』の存在を知ってチャレンジしようと思われる企業は申請数の数倍はあるでしょうし、申請書の作成中に断念された企業も申請数の二倍は下らないと思われます。

実は、この申請書を提出レベルに持っていくのは結構大変な作業です。

私も、第一次公募の際にお客様から依頼がありお手伝いしました。申請額は700万円ほど。
結果としては採択されたのですが、「あぁ、大変だったな…」と(苦笑)。

新しいサービスの創出ということでお客様と一緒に申請書を作り上げましたが、最初の「補助金をもらうための」という目的から、このサービスを実際にリリースするための企画書を作成するということに目的が変わってきました。その企画書を補助金の申請書のフォーマットに当てはめたというイメージです。

お客様も、「実際にこれが採択されなくても、この申請書の作成過程でサービスの企画ができあがったので良かった。これをそのままパンフレットにもできる。」とおっしゃっていました。

中小企業においては、企画をプレゼンして採用してもらうようなビジネスをしている企業を除き、サービスや商品の企画書を社外で審査してもらうという機会は滅多にありません。

もちろん、『ものづくり補助金』の場合は審査が公的機関なので、民間企業とは少し基準が違うかもしれませんが、民間企業で採用されるレベルの企画書であれば、少なくとも申請レベルまでは持っていけます。申請レベルに持っていければ、採択率は4割越え。

また、『ものづくり補助金』の申請書は、経営計画や財務、組織体制や人員まで盛り込む必要があるため、トータルで考える訓練にもなります。

会社全体の経営計画を作るのは、なかなか骨の折れる作業です。また、中小企業では経営者や幹部以外が計画や企画に携わる機会は少ないと言えます。

しかし、『ものづくり補助金』であれば、社員に任せて企画書を検討させることができ、社内の活性化にもつながるのではないかと考えます。申請書と言っても、数十ページも必要な訳ではなく、重要な部分は10ページ前後あれば十分です。

個人的には、補助金を受け取るために何かをするというのはあまり好きではありませんが、社員にやらせてみるという視点で『ものづくり補助金』に取り組むというのは、中小企業にとってはイベントのようなものなので、是非お勧めしたいです。ただ、これを経営者が全部やってしまうと、今までと何も変わりません…。

採択されなくてもリスクは何もありませんし、再チャレンジも可能です。補助金はもらえたらラッキーくらいに考えることができます。

「うちの社員は、今後のことについて改善や提案をしてくることがなくて…」とお嘆きになられている経営者の方であれば、「やってみろ!」と丸投げしてしまうのもよいかもしれませんね。

26年補正予算の第一次公募開始は27年の2月であったため、来年もその頃に開始されると思われます。ご検討される中小企業は今からご準備を!