「知らなかった。」
私たちは関連会社の会員の方からのご相談やセカンドオピニオンなどを通じて、顧問先様以外の方のお話を伺う機会が比較的多くあります。そんな時によく感じるのが「情報格差」です。
情報格差とは通常、都市部と地方間における放送・通信の情報量やサービスの可否に差があること、また、情報技術(IT) を使いこなせる者と使いこなせない者との間に格差が生じていることを指します。特に情報技術を使えていない、あるいは取り入れられる情報量が少ない人々、または放送・通信のサービスを都市部と同水準で受けられない地域および住民のことを「情報弱者」とも呼びます。
しかし税務の場合、その多くは都市部と地方間の差というよりは顧問税理士若しくは担当者、ひいては税理士事務所そのものの「知識」、「情報収集能力」の差にあるように感じます。
クラウド型会計ソフト、クラウド型マイナンバー管理ソフト、マネーフォワード、フリー、会社設立フリー、事前確定届出給与、短期前払費用、旅費規程・・・・
それぞれの説明は省きますが、例として挙げたこれらは古くからあるもの、最近のものを含め、全て税務・会計等に関するものになります。これらは少なからず経営に影響を与える内容でもあります。最近のものならまだしも、古くから行われている節税方法等については、未だに知らない人がいるのか…!?と、こちらが驚くこともしばしばです。
今回のマイナンバー制度に関しても、企業によって得ている情報にはかなりの差があるように感じます。その原因の1つは、その企業の顧問税理士や社会保険労務士によって発信している情報に差が生じてしまっていることです。
マイナンバーについては紙で管理している場合や、PCを使用したとしてもデータをそのPC上で管理している場合には、共にある程度のセキュリティ対策を講じなければなりません。しかし、クラウド型のマイナンバー管理ソフトを使用すれば、セキュリティ対策などの煩わしい面からはほぼ解放されることとなります。
もちろんITを使用した最先端を行くことが全ての企業にとってベストとは限りません。従業員がそれほど多くない会社ではマイナンバーが記載された書類を金庫に保管しておく方法でも問題ありませんし、コストと手間を考えれば、むしろそれがベターかもしれません。
しかし、こうした紙での保管を専門家に提案されているケースの中には、従業員の数が少ないわけではなく、クラウドシステムなどの選択肢を提案されているわけでもなく、単に専門家の情報収集不足により、結果として最もアナログな方法のみを提案されているといったケースが多く存在しています。
マイナンバーへの対応に限らず、選択肢が少ないことは経営の幅を狭めます。他の選択肢も知っていて敢えてそれを選ぶことと、他の選択肢を知らないが故にそれを選んでしまっていることでは大きな違いがあります。
IT・AI・IOTといった技術は日々驚くべき速度で進化を遂げており、経営に大きな影響を与えています。ITが商売を変え、商売が税制を変え、税制が商売を変える時代なのです。
たくさんのことが来年は今年と同じではなくなっている現代。情報収集、発信能力が高い専門家と付き合うことが自社の情報力を高め、経営の幅を広げる手段の1つとなる得ることは言うまでもありません。逆を言えば情報収集、情報発信能力の低い専門家しか周りにいなければ、いつの間にか自社が「情報弱者」になってしまう危険性があります。
今回のマイナンバー制度の導入にあたって御社の顧問税理士・社会保険労務士は充分な情報を提供してくれたでしょうか。
「情報収集、情報発信能力」。
専門家を選ぶ際は、是非こういった視点も加えてみてください。