会計業務クライシス

『法人税 電子申告を義務に』4月20日付の日経新聞の一面に、こんな記事がデカデカと掲載されていました。ご覧になった方も多いのではないでしょうか。
記事によれば、納税手続きをめぐる事務作業の効率化を狙って、早ければ2019年度から法人税と消費税の税務申告について電子申告を義務化する方針とのことです。
国税庁の発表によると、2015年度の電子申告の利用率は、法人税が75.4%、消費税が73.4%となっていますが、記事では大企業の電子申告率は約52%であることが伝えられています。
大企業の方が電子申告の利用率が低いということを意外に感じるかもしれませんが、これには理由があります。
大企業の場合、自社に合わせた独自の経理・会計システムを構築していることが多いことに加え、確定申告書の作成自体も税理士に依頼するのではなく、社内で行っていることが多いため電子申告を使わないのです。
これに対して中小企業の場合、多くは確定申告書の作成、申告を税理士に依頼しますので、結果的に電子申告を利用している率が高くなっているというわけです。
皆さまの会社の申告書は電子申告されていますでしょうか?
セカンドオピニオンなどで顧問先様以外の申告書を見させていただくと、紙で提出しているケースがまだまだあります。
中小企業で電子申告が利用されていない場合、それはほぼ例外なく申告を依頼している税理士の問題です。
いまだに電子申告を利用していない税理士は概ね高齢か、そうでなければ極端にIT音痴であることが考えられます。
そして、中小企業の場合、顧問税理士がIT音痴であれば、必然的に経理周りのIT化は進みません。企業側が効率化を目指してクラウド会計の導入などを望んだとしても、税理士が使い慣れたソフトの使用を強要したりするのだから困ったものです。
しかし、IT音痴の税理士に合わせて経理のIT化に遅れを取っている場合ではない事態が、実は迫ってきていることを、多くの方はまだ気が付いていません。
消費税の改正です。
2019年10月1日以降、消費税は10%に上がり、飲食料品などには軽減税率が用いられます。ご存知のように、同じ食事でも、店で食べるのか、テイクアウトなのか等によって税率が異なってきます。
個人はもちろん、企業でも日々、打ち合わせで飲食店を利用したり飲食料品を購入したりします。
想像してみてください。
経理担当者が1枚1枚レシートを確認して税率が10%なのか8%なのかを確認して会計ソフトに入力をする姿を。
言うまでもなく、おそろしく非効率です。
この作業は、クラウド型の会計ソフトを導入して、レシートをスキャンして自動で仕訳を起こしてしまえば、解決してしまいます。
現状は開発途上ということもあり、まだまだな部分もありますが、2年後までにはさらに精度も上がり、かなり使い易いものに進化しているはずです。
多くの中小企業の場合、2年後に法人税の電子申告を義務付けられたとしても、それは顧問税理士の問題なので影響は特にないでしょう。
しかし、繰り返しになりますが顧問税理士がITに疎ければ、そのクライアント企業のIT化は遅れがちです。そうなれば、時代遅れな非生産的な業務に追われることになり兼ねません。
今ならまだ全然遅くありません。
2019年10月1日、消費税改正まであと2年半を切りました。
経理・会計業のIT化が遅れている企業も、そろそろ真剣に考えなければいけない局面かもしれません。