セカンドオピニオンの使い方

今ではごく当たり前になった「税理士のセカンドオピニオン」。
当社がWEBサイト上で顧問税理士以外の税理士に意見を求める業界初のセカンドオピニオンサービスとして「財務プライベートコンセント」を始めたのが2006年3月のこと。
今回、税理士によるセカンドオピニオンの普及に伴い、導入期の当社の役割は終えたと考え、今月末で本サービスを終了させていただくことにしました。
そこで、13年に渡るセカンドオピニオンの経験から「税理士とセカンドオピニオン」について思うところを書いてみたいと思います。
セカンドオピニオンの場合、顧問税理士とは別に料金を支払うことになりますので、多くの方は顧問税理士では解決できない難解な事例、判断が難しい特殊な事例などをご相談いただく場面を想像するのではないでしょうか。
しかし、実際はけっこう違います。
統計を取ったわけではありませんので正確な数字ではありませんが、数多くのご相談を受けてきた私の印象だと、ご相談内容の7割ほどは「そんなこと顧問税理士に聞けばいいのに!?」と思わず口走ってしまいそうな、税理士なら誰でも同じ回答となるような、ごくごく一般的な内容でした。
残り3割のうちの2割ほどは、顧問税理士の言っていることが本当に正しいのかという確認のご相談です。そして、その多くは「正しいですよ。」という結論に至るもので、顧問税理士の見解が誤っているというケースは、そう多くなかったように記憶しています。
残りの1割ほどが特殊、難解な事例や、実務経験が不足していることによって顧問税理士の腰が引けてしまうケースです。
ご相談内容をとても大雑把に括ってしまいましたが、ある意味セカンドオピニオンが本来的に有効な難しい事例の相談というよりは、顧問税理士に対してなんらかの不満や不信感を抱いてるが故のセカンドオピニオンというケースが圧倒的に多かったというのが実際です。
逆に言えば、些細なことでも何かあった時に顧問税理士にすぐに連絡を取れる関係性が築けていれば、基本的にセカンドオピニオンが必要(有効)な事例に当たるようなことは、そうはないはずと言ってよいのではないでしょうか。
当たり前かもしれませんが、セカンドオピニオンを利用しなくても済むには、顧問税理士選びが重要だということになります。
一般的に不満を抱えていても「じゃあ誰に頼めばいいのか」が分からず、税理士を変えることに二の足を踏む経営者が多いと理解していますが、不満や不信感があれば、税理士変更を積極的に検討すべきだと私は思います。
しかし、税理士も実際に付き合ってみなければ分からないことが多く、「自社にとって良い税理士」は誰なのか、どうやって探せばいいのか分からないというのもよく分かります。
顧問変更を考え、無料相談等を受けてみても、その税理士事務所の実際の仕事を見ることはできませんので、ミスマッチを繰り返す可能性が否定できず、結局不満を抱えつつも何か重大事件が起きるまで「とりあえず今のままでいいか・・・」というありがちな結論に落ち着きがちです。
そこでセカンドオピニオンを利用してみてはいかがでしょうか。
セカンドオピニオンは、顧問税理士を変更することなく、他の税理士の実際の仕事を見たうえで値踏みをすることができる絶好の機会と言えます。
しかも、現在では気の利いた事務所であれば大抵の事務所がセカンドオピニオンサービスを展開しています。
もちろん料金はかかりますが、長い目で見て自社に合う顧問税理士を探すためのコストと考えれば、そう高くはないはずですし、実際の仕事を見ずに自社に合わない顧問税理士と契約してしまうリスクを考えれば、メリットは小さくないはずです。
当社ではWEB上のセカンドオピニオンサービス「財務プライベートコンセント」は終了させていただきますが、新たなサービスとして、対面型個別相談形式による「税理士セカンドオピニオン」を提供させていただいておりますので、今後はぜひこちらをご利用ください。