コロナ禍ですが税務調査の時期、到来

本来であれば税務調査本番の時期です。

先月10日は税務署の定期人事異動発令日であることから、7月から書類審査が始まり、例年であれば9月頃から税務調査が本格的に実施されます。

さて、現在のコロナ禍にあって、税務調査はどのように実施されるのでしょうか。

税務専門誌の国税庁への取材によれば、納税者から口頭等で明確に同意を得られた場合において税務調査をするといった、納税者の状況にも十分配慮したうえで、税務調査は進められるとのことです。

令和2年7月~令和3年6月事務年度における当面の調査方針

  • 納税者の個々の事情等を十分に考慮
  • 納税者の明確な同意があれば調査を実施
  • 企業がテレワークを実施している場合、必要に応じて調査官と相談し、担当者の出社日等に合わせてスケジュール調整。調査対応のためだけの出社は求めず。
  • 所得税、法人税、消費税、相続税等で同じ対応
※出典:税務通信 3610号

日本の現状を鑑みれば、おそらくは実地調査に入る前の机上調査の段階で、税務署はいつも以上に入念な検討を行い、実地調査が行われるのは、高確率で申告漏れなどが疑われる事案に絞られることが予測されます。

そのため、通常の企業についての実地での税務調査は、申告漏れなどが強く疑われるケースを除いて、当面の間はかなり減ると考えていいでしょう。

ただし、「巣ごもり需要」によって業績が急激に伸びている業種については、今後、重点業種として狙われていく可能性があるので注意が必要です。

いずれにしても、コロナの影響による売上減少と闘いながら、感染者を出さないように最大限の注意を払って経営を行っているところに、素性の知れない調査官を会社に入れることは極力避けたいところです。

私が顧問税理士であれば、明確な理由が示されない限り、現状、特に東京での税務調査は断りますし、受けざるを得ない場合には、抗議の意味も含めて外に机を出して、そこで調査をしてもらうくらいのことはします。

知っておいていただきたいのは、今回に限らず、もともと任意の税務調査については、こちらの事情に応じて日程調整、交渉を行うことができるということです。私は場合によっては調査日数の交渉さえもします。

特に今年度については「納税者の明確な同意があれば調査を実施」するというのが、国税庁の基本方針のようですので、感染拡大防止のための策を講じて懸命に営業を行っているところに、いつ何処に呑みに行っているかも分からない調査官を自社に入れるのは不安だとの理由で調査の無期延期を主張するのは当然のことです。

例年であれば、税務署から税務調査の電話連絡が顧問税理士に入りだす頃です。

万一、このコロナ禍にあって税務調査の連絡が来た場合には、この状況下で調査を行う理由を明確に示してもらい、それがない場合には無期延期を願い出るなどの対応を顧問税理士にきちんと取ってもらうようにしましょう。