創業者の後継問題

日本電産、永守さんの後継候補が退任との報道…。
毎度のことですが、カリスマ創業者からのバトンタッチは一大事です。

ユニクロの柳井さん、ソフトバンクGの孫さんも後継者問題についてよく取り上げられていますね。

ちなみに、現在の3人のご年齢は以下のとおり。
 ・永守さん(78歳)
 ・柳井さん(73歳)
 ・孫さん(65歳)

あまりにも高い経営目標を掲げるゆえに、この3人の経営者は「大ぼら3兄弟」と呼ばれているそうです。同じように成果を出す人材のみが後継者ということなのでしょう。

この3社の後継者問題をややこしくしているのは、3兄弟の体力が衰えても自分の手足として動く忠実で優秀な部下がそろっているという点です。今回の日本電産も大番頭の73歳の幹部が中継ぎを引き受けるとのこと。これがカリスマとして君臨しつづける仕組みでもあります。

しかし、忠実、かつ優秀であるがゆえに後継者となるような部下はおらず、3社とも外部から招聘しては失敗するという皮肉…。

自分が求めている方向性で成果が出なければクビ。
自分と方向性が異なればクビ。

自分が求めている方向性で、自分並みに成果を出したときに合格。
ですが、それは無理筋ということはご本人たちも分かっているはず。

仮に後継者が業績を伸ばせるとしたら、節目でいち早く引き継いだ場合のみ。基本的にイケイケドンドンの時期に後継するなどあり得ません。失敗も目に見えています。そのため、ここまで来くると3社の株価が低迷をつづけたタイミングでしか退任は難しいかもしれません。結果が出るかは別として、仕切り直しは後継者の専売特許ですので。

一方、中小企業は後継者問題の先送りが破滅に直結します。そもそも、自分の手足として動けるような忠実で優秀な部下はいません。いたとしても一人か二人。もちろん後継者にはなり得ません。経営者の体力の衰えがそのまま会社の急激な衰退につながります。

中小企業こそ社内昇格など夢のまた夢ですから、親族が継がないのであれば早めに外部に引き継いでもらい、存続を優先しなければなりません。3社とは異なり、事業承継の時期に会社が下降曲線を描いていたら目も当てられません。

なお、日本電産の報道と同じ時期に稲盛さんが亡くなられました。同じくカリスマと称された稲盛さんは50代半ばで京セラの社長を退任し、73歳で取締役も完全に退任されています。現KDDIを含め、創業した会社に固執することなく、道筋をつけた上で、きれいに身を引いてきました。時代が少し違うとはいえ、やはり対照的です。

稲盛さんは創業した京セラの社長を退任されても、最後はJALの会長まで引き受け、経営者として活動をつづけられたのは周知のとおり。

後継者問題を引っ張りつづける大ぼら3兄弟が引退した後、この3社の5年後、10年後がどうなっているのか見ものです。その結果によって、カリスマ創業者としての最終的な評価が下されるのでしょう。

中小企業の経営者である皆さまも、体力の限界まで事業承継問題を引っ張らず、自社が下降曲線を描く前に決着をつけてください。例外は、一代限りの会社のみです。

親族に承継するにしても、外部に譲渡するにしても、その準備に最低5年は掛かります。

そして、後継が早ければ、次の経営者人生も待っています。
創業した会社、引き継いだ会社がすべてではありません。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA