何で、私が納めるの?

役人が“論理的”に作ったものには、いろいろな不条理があります。
一つ例を上げてみましょう。
ある女性が詐欺にあいました。
※正確には詐欺ではないのですが、彼女の心情的には“詐欺”なので、ここでは詐欺としておきます。
その彼女は彼に貢ぎ続け、その金額が数千万円に達したとき、彼は消えました(ずいぶんお金持ちだったようです)。
その事実を知った彼女は悲嘆に暮れました。
しかし、それだけではなかったのです。
数年後、彼女の元に一枚の紙が地元税務署から送られてきました。
贈与税を納めろ・・・というのです。
何のことかと、詳しく問い合わせてみると、彼に貢いだ数千万円の贈与税を払えと言うのです。
彼女は「おかしい・・・」と思いました。
お金を貢いだのは、彼女。
お金貰ったのは、彼。
贈与税を払うのは彼であるべきです。
どうして、騙されてお金を貢いだ彼女が贈与税を払わないといけないのでしょう。
ところが、税務署は驚くべきことを言いました。
「あなたは、この贈与税の連帯納税義務者です」
つまり、彼から贈与税を取ろうと税務署は考えましたが、彼は行方不明。
そこで税務署は、連帯納税義務者である彼女に納税を迫ったのです。
この税務署の行動を不服に思った彼女は、いくつかの抵抗をしましたが、どうにもなりませんでした。
法律に書いているのですからどうにもなりません・・・。
こうした“不条理”が税務の現場では時々起こります。
先般、あるお客様が相談に来られた内容も“不条理”を突きつけられる例でした。
私たちは、税務上では“不条理”が起こるので、その行動を別の形で実行するか、この“不条理”を受け入れるか、どちらかしかないことを説明しますが、カンタンには納得いただけませんでした。
そりゃそうです。不条理なんだから・・・・・・。
でもね、不条理でも、法律は法律です。
この国は、そんな不条理があらゆるところにあるために、国の力を失いつつあるわけですが、この国にいる限りは、“不条理”を理解して、別のやり方を考えるしかありません。
しかし、例に上げたような、“論理的”が極端なことになった“不条理”ばかりではありません。”
役人たちは、“論理的”を強調しながら、その“論理”をカンタンに隠すこともしばしばです。つまり、法律そのものが“不条理”であることはよくあります。
そして、税務には、そんな“非論理”もはびこっています。
実は、税務自体が“不条理”。
そう見えても仕方ない環境では、私たちは仕事をしている。
この事実は知っておきたいところです。