値下げという圧力

皆さんの会社は、“値下げ”という圧力に悩まれていないですか?
競合会社との値引き合戦
デフレという世間的な値下げの波
取引業者からの単価引き下げのお願い etc.
値下げ圧力に抵抗するのはかなり難しいはずです。
仮に、この圧力を無視すれば、売上が“ごそっと”消える場合もあります。
ですから、ほとんどの会社は、値下げを受け入れざるを得えません。
これを跳ね返す事が出来るのは、競合がいないブルーオーシャンをひた走る企業か、一時的な売上減少をものともしない優良企業だけ。
結局、値下げ圧力に屈するしかない企業は、売上の減少に拍車が掛ります。
だからこそ、コストを下げない限りは生き残れない・・・。
「リストラなら、出来る事は全てやっているよ」
皆さん、そうお考えのはず。
ですが、いわゆるリストラではなく、本来の意味の『リストラクチャリング』を実行するのが本来取るべき手段になります。
つまり、ビジネスモデルの『再構築』。
そこで、今回は税理士業界で起っている値下げ圧力のお話をします。
最近、お客様からの新規問い合わせ理由で一番多いのが、“税理士報酬を減らしたい”です。
なぜ、税理士報酬を減らしたいのか?
「売上が下がって利益も出ない。
そんな状況で、適切なアドバイスもしてくれない税理士に
この顧問料は高いと思う」
確かに、皆さんのお話を聞く限り、税理士の仕事と報酬が一致していません。
これを適正な水準にしようと、比較的ムダだと思われがちな税理士報酬に値下げの圧力が掛っています。
この値下げ圧力に対してこの業界が取っている対応は、報酬の引下げと引き換えに、仕事の質量を単純に引下げるという方法です。
ここに、お客様の満足度は考慮されません。
お客様の側も、報酬が下がるなら構わないというような姿勢です。
しかし、一度そのお客様との付き合い方を変えた場合、仮にお客様側の状況が変化しても、税理士事務所側のやり方が変わるのは中々難しい・・・。
つまり、柔軟な対応が出来る税理士事務所は数少ないのが現状です。
そして、その不幸な関係のまま付き合いが浅くなり、数年後に税理士が変わるという流れです。
こうなると、柔軟な対応を考える税理士事務所は、やり方を変え、コストを下げ、お客様の満足度を満たしつつ、顧問料を“相対的に”下げる方法を提案するしかありません。
それこそ、ビジネスモデルのリストラクチャリングが求められます。
ちなみに、常に柔軟でありたいと考えている当社では、下記のシステムを導入しました。
http://www.isllight.jp/jp/
簡単に言えば、パソコンの遠隔サポートシステムです。
導入理由は、お客様への訪問時間・回数の短縮による時間効率を高めつつも、コミュニケーションレベルは下げないためのツールとして有効と考えたからです。
税理士事務所のコスト構造は、分析するまでもなく人件費比率が圧倒的に高い。
また、労働集約的なビジネスのため、どのお客様にどのくらいの時間を割くかの管理が重要になってきます。
そのため、時間効率を高める事が、報酬を相対的に下げるための必要条件となります。
このようなシステムを用いれば、事務所内にいながらお客様の会計データ等を直接サポートする事が出来ます。
さらに、メールや電話では上手く伝わらないお話の時に、資料をPDFでメールしつつ、その資料を画面共有で“ペンを入れながら”説明も出来ます。
近年、会計ソフトのWEB化の導入期でもあり、効率性を重視する税理士事務所が積極的に導入を進めています。
ただ、効率性だけを考えたモデルですと、LIVE感のない機械的な仕事になりがちなので、それを嫌がるお客様もいらっしゃいます。
当然、税理士事務所側の仕事の精度も落ちます。
当社は両方を扱っていますが、今のところお客様の反応が良いのが、会話しながらお客様のパソコン画面を共有する遠隔サポートシステムでした。
私個人としては、お客様の現場に立つという事を重視しているので、遠方でも訪問して仕事をしたいという気持ちもあります。
しかし、その方法だけにこだわっていては、新しいモデルを取り入れる事が出来ません。
結局、当社も『税理士事務所のコスト構造』からどのように柔軟に脱却するかを考えながら、リストラクチャリングを模索しています。
この模索が、新しいビジネスモデルの創造につながると考えているからです。
そういう意味では、近年のような値下げの圧力をビジネスモデル変更のシグナルと捉えている企業は、次の圧力の波を乗り切れるかもしれませんね。
いずれにしても、値下げの圧力に為すがままの状態では、潰れゆくのが見えていますから・・・。