税務調査で「メールを見せてください」と言われたら?!

季節は税務調査シーズン真っ盛りですが、先日、このようなご質問を受けました。
調査官に「メールの内容を見たいのでパソコンを貸してください」
と言われたのですが、これは拒否できたのでしょうか?
さて、実際にこう言われたら、あなただったらどうしますか。
税務署の調査の権限は「質問検査権」として、国税通則法74条の2(当該職員の所得税等に関する調査に係る質問検査権)に定められており、
調査官は「その者の事業に関する帳簿書類その他の物件を検査し、又は当該物件(その写しを含む。)の提示若しくは提出を求めることができる」とされています。
また、国税庁からは、次のようなQ&Aが公表されています。
「問5 提示・提出を求められた帳簿書類等の物件が電磁的記録である場合には、どのような方法で提示・提出すればよいのでしょうか。」
ここでは・・・
「帳簿書類等の物件が電磁的記録である場合には、提示については、その内容をディスプレイの画面上で調査担当者が確認し得る状態にしてお示しいただくことになります。
一方、提出については、通常は、電磁的記録を調査担当者が確認し得る状態でプリントアウトしたものをお渡しいただくこととなります。
また、電磁的記録そのものを提出いただく必要がある場合には、調査担当者が持参した電磁的記録媒体への記録の保存(コピー)をお願いする場合もありますので、ご協力をお願いします。」
と記載されています。
従って、メールが紙媒体ではなく電子媒体としてPCに記録されている前提で考えれば、メール自体も「電磁的記録」ということになり、上記のように必要があればその確認及び提出が必要になるものと考えられます。
上記の国税庁のQ&Aでは、「その内容をディスプレイの画面上で調査担当者が確認し得る状態にしてお示しいただくことになります」と書いてあるので、この「電磁的記録」としての電子メールは、会社の担当者がPCを操作して該当するメールを画面を表示しそれを調査官が確認する、という方法で調査が進められるということが予定されている、という解釈ができます。
さらに必要であれば、その画面をプリントして調査官に渡す、ということになる訳です。
従って、PCを調査官に渡して自由に閲覧させる必要はないものと考えられるのです。
先のご質問の「パソコンを貸してください」という状況が、仮に、マウス自体を調査官が操作し、PC内のメールを自由に閲覧したとするとどうでしょうか。
国税通則法には、このように書いてあります。
(権限の解釈)
第74条の8 第74条の2から前条まで(当該職員の質問検査権等)の規定による当該職員の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。
すなわち、調査官の持つ権限は、あくまで「特定の取引についての資料の確認・提示を受ける権限」ということであり、犯罪捜査のため(何か不正が発見できるかもしれない)という理由で、PC内のメールをくまなく確認することはできない、と解することができます。
「何月何日の取引について、それを裏付ける証憑書類がありますか」という質問に対し、該当日の電子メールの確認を求められたような場合には拒否するのが難しいと考えられますが、「調査官がその目的を合理的に説明することなく、全ての電子メールの提出を求めてくる場合などには、その電子メールの提出(閲覧が)調査上の必要性に関する具体的な説明がなされていない以上、仮にその申し出を拒否しても検査拒否には該当しないものと考えられるのです。
私が立ち会った調査では、調査官からのこのような要請はまだ経験していませんが、これに近い状態は、実際に調査の現場では起こっているようです。
あなたの会社の調査では、このような経験はありませんか?
今後の調査においても、「なにか不正が見つかるかも」を前提にしたような調査は、拒否できる可能性があることを覚えておいてください。