営業マンの「値引きはできないのでオマケでなんとか・・・」の真相とは!

買い物も旅行も検討をしているときが一番楽しいですよね。

社内で新しいパソコンを買うときでも人一倍買い物にこだわる私はつい最近まで自称『調達部長』としてその役目を買って出ていました。(笑)

ところで、会社では仕入れだけでなく車やOA機器の購入などで"価格交渉"を行う場面が多くあります。

このような場面でよく耳にするやり取りが次のようなものです。

社長「○○さん、この車2台買うからあと10万づつ値引きしてよ!」

営業「すいません。私の権限ではここまでが精一杯です。」

営業「そのかわりと言っては何ですが、20万円相当の夏冬タイヤとホイールのセットをオマケさせていただきますのでこれで何とかお願いいたします。」

社長「仕方ないね。同じ20万じゃあそれでもいいや。」

営業「ありがとうございます!」

どうせ必要になる"モノ"だからと値引きを勝ち取ったのと同じ気分になり購入を決めてしまいます。

ところがこの時どこか腑に落ちない思いをいつもお持ちではありませんでしたか?

その通りです。実はこの交渉勝負あなたは営業マンに負けています。

正確にいうと負けている訳ではないのですが、相手の手の上で踊らされています。

それでは『値引き』と『オマケ』ではどのように違うのか見てみましょう。

 

 

ご覧いただいた通り営業マンはあなたに20万円分のオマケをしながら自分のところにも値引き販売をしたときに比べて8万円(108万円-100万円)多くの儲けを残すことができました。

この営業マンは会社もお客様もWIN‐WINとなる見事な営業成果を残したということです。

あなたがこの計算の背景がわかっていれば営業マンにもう1組タイヤをオマケさせることができたかも知れません。(笑)

自分の儲けだけではなく、相手の立場にたって考えると少し違った景色が見えてきます。
みなさんの会社でも営業の参考にしてみてください。

役員報酬“最適値”は存在するか

『社長、来期の役員報酬はいくらにしましょう?』
『先生、いくらぐらいにするのが良いのですかね?』

中小企業の決算前後に必ずといっていいほど、繰り返されるこの会話。

所得税増税、相続税増税、法人税減税、消費税増税、社会保険の強制加入・・・
中小企業の経営者を取り巻く環境は、ここ数年で急速に変化を遂げています。

しかし、いくら環境が変わっても、経営者が考えることに変化はありません。
『どうやったら1円でも多くのお金を残すことができるのか。』
これにつきます。

“私の役員報酬の適正額はいくらなのか?”
果たしてその答えはどこにあるのでしょうか。
役員報酬の適正額について考えてみます。

ご存知のように、税制は従来の“法人税が高く、所得税が安い”という構造から“法人税が安く、所得税が高い”という構造にどんどん変化しています。従来であれば、役員報酬を高く設定し、法人の利益を限りなくゼロに近づくようにすることが、中小企業が税金を安く抑える為の1つのセオリーでした。

しかし、個人増税、法人減税の流れの中、このセオリーは全く機能しなくなってしまいました。役員報酬の金額、法人に残す利益の額にもよりますが、従来のセオリーによれば、高額の所得税がかかり、法人・個人を一体と捉えた場合に手元に残るお金は以前よりも減ってしまうからです。つまり会社にお金を多く残して役員報酬は少ない方がいいという時代になったというわけです。

このことについては多くの方が既に気が付き、対策を講じているはずです。
その多くは法人税の実効税率と所得税・住民税の限界税率(所得の増加に応じて、その増加分に適用される税率)を比較、シミュレーションして法人・個人でのトータルの納税額が最も抑えられる金額を“役員報酬の適正額”として決めるという方法です。
現在の中小企業の法人税の実効税率は以下の通りです。

 

 

この方法によった場合、1つの結論の形として、年利益800万円までは積極的に法人で利益を出すようにして残りを役員報酬で取り、トータルの税額を抑えるということが考えられます。

しかし、こうした方法による役員報酬の決定には大きな欠点があります。なぜなら、このシミュレーションは“単年度の損得”しか考えていないからです。

こうしたシミュレーションを毎期行い、節税のために順調に法人に利益を残していった場合、法人には内部留保が積み上がっていきます。このこと自体はリスクヘッジにもなりますので一石二鳥とも言えます。しかし、単純にこれが全ての企業にとってベストの選択になるかといえば、そうとは限りません。

なぜなら、繰り返しになりますが、これはあくまで単年度のシミュレーション結果だからです。全ての経営者は、やがて退職を迎えます。従って『退職時の税金負担』も考慮する必要があるのです。もっと言えば、経営者の退職に伴って従業員にも退職金を払って会社を清算するかもしれませんし、M&Aにより売却するかもしれません。

ご存知のように現時点では退職金の税制には大きな優遇があります。しかし、優遇の大小は勤続年数によって変わりますし、税務上認められる退職金の額は受け取っていた役員報酬の金額によっても変わります。つまり、単年度での損得によって計算した税金負担額が、本当に得がどうかは、それぞれの会社、経営者の状況に応じて退職金の税金負担までトータルで考慮しなければ分からないのです。

税制の変化などにより会社経営は、会社の解散・清算、M&Aなども視野に入れて長期的な視点で考えていかなければならないことが、よりはっきりしてきました。最早、各社に共通する“役員報酬の最適値”など存在しないのです。つまり、それぞれ1社毎の数字の軸となる“会社経営スキーム”を組み立てる必要があるのです。

このことは弊社代表の岡本の著書『長く稼ぐ会社だけがやっている「あたりまえ」の経営』 で詳しく書かれています。そして私どもは今回、岡本が著書の中で使った長期的な税務シミュレーションにより自社のスキームを確定するためのソフト『役員報酬最適化シミュレーション』(有料)の製品版を完成させました。

このソフトでは経営者とその配偶者の生年月日や社会保険への加入の有無などの事前登録を行っていただいたうえで、毎年、会社で獲得した利益を、個人(役員報酬)と法人でどのように配分するかを設定し、現時点から会社を清算するまでの間に、経営者が1円でも多くのキャッシュを手元に残す為の、最大5パターンの長期的視点でのシミュレーションを行うことができます。そして、最終的に会社に残った内部留保を退職金・配当で個人の所得へと移行し、トータルで最も多くのキャッシュ(内部留保)が個人に残る方法をシミュレーションします。

現在こうしたシミュレーションを行うソフトは、私どもが今回開発した『役員報酬最適化シミュレーション』(有料)以外にはありません。

税制は毎年変化をしています。そういう意味でも最初に立てたスキームが常に有効ということはあり得ません。むしろ毎年スキームのメンテナンスを行う必要があります。このソフトでは3年間、税制改正、社会保険などの改正の無償サポートを致します。(4年目からは有料)

現代の会社経営においてはこうした長期的視点からのスキーム構築が不可欠です。自社のスキーム構築のためにシミュレーションの必要性を感じた方は是非ともご購入下さい。
1円でも多くのお金を残すために・・・

その決算賞与、未払計上して大丈夫ですか?

『社長、従業員の方に決算賞与を支給しますか?』

予想以上に業績が伸びた場合などに、税理士が決算時にする、ありがちな提案の一つです。決算賞与については要件を満たせば未払計上が認められますので、節税対策に有効な面も確かにあります。
しかし、この決算賞与、提案した税理士の確認不足により、税務調査があれば否認されかねない状況下で未払計上されているといったケースが少なくありません。

節税と従業員のモチベーションアップを兼ねて行った決算賞与未払計上が、“損金として認められない”そんなことがないよう、きちんと理解しておきましょう。

ご存知の方が多いと思いますが、決算賞与が税務上、経費として認められる為の要件は次の3つになります。

  1. 事業年度終了の日までに、賞与金額を従業員ごとに、かつ、全ての従業員に同時期に通知する。
  2. 事業年度終了の日の翌日から1ヶ月以内に全額支払う。
  3. 未払いの賞与として、決算時に経理処理をする。

『なんだ、そんなこと当たり前じゃないか・・・』

そんな声が聞こえてきそうですが、実は見逃されがちな大きなポイントがあるのです。

皆さんの会社には【給与規程】が存在しているでしょうか。もし存在しているのであれば、その規程に次のような文言がないか、必ず確認してください。

【賞与は、支給算定期間に在籍し、かつ賞与の支給日に在籍している社員に支給する】

この文言、給与規程が存在している会社において、特に社会保険労務士に作成を依頼した規程に、かなりの確率で記載されています。なぜなら、こう記載しないと“支給算定期間(例えば夏季賞与なら1~6月など)に在籍していれば、支給日までに退職した社員にも賞与を支払う”ことになってしまうからです。

経営者からすれば、当然、辞めた社員に賞与など支給したくないと考えますので、支給日に在籍していることを規程に盛り込む必要があります。

しかし、この規程が決算賞与の未払計上を不可能にします。
実は法人税基本通達9-2-43に次の記述があるのです。

【法人が支給日に在職する使用人にのみ賞与を支給することとしている場合のその支給額の通知は、支給額の通知には該当しない】

つまり支給日に在職する使用人にのみ賞与を支給することとしている場合、

  1. 事業年度終了の日までに、賞与金額を従業員ごとに、かつ、全ての従業員に同時期に通知する。

の要件を満たさないということになるのです。理屈はこうです。

支給日に在職する社員にのみ賞与を支給する→ということは、事業年度末までに通知したとしても、支給日に退職していれば、支給はしない→ということは、事業年度末時点で会社は債務(未払賞与)が確定していない(つまり債務が確定するのは賞与支給日)→ということは事業年度末時点では債務が確定していないので決算賞与の未払計上はできない。

これは、仮に事業年度末から支給日までに退職した社員がいなく、結果として未払計上した賞与を全て支給したとしても同じです。【賞与の支給日に在籍している社員に支給する】という規定がある以上、会社の未払賞与という債務が確定するのは賞与支給日になりますので、決算賞与の未払計上は認められないということになってしまうのです。

もちろんこうした規程は税務のことだけ考えて作れば良いというものではありません。トラブル防止の為、法務、労務からの視点が不可欠ですので、節税の為だけに改定するのはどうかと思います。

ただ、決算賞与の提案をするのであれば、本来、税理士が給与規程の中身を確認し、必要に応じて改定を含めた提案をすべきなのですが、こうした通達があること自体を税理士又は担当者が知らなかったということが実際によくありますので注意が必要なのです。

『顧問料を払って税理士に任せているんだから、そんなの税理士の責任だ!』と言ってしまえばそれまでです。しかし、残念ながら、どんな専門家でも人それぞれ、力量は一定ではありません。こうした知識を皆さんが身につけておくことで、皆さん自身を守ることができます。

ちなみにそもそも給与規程を作成していないという会社については、1.~3.の要件を満たせば、決算賞与の未払計上は可能です。給与規程を作成している場合には、これを機に中身の確認と検討を行ってみてください。

中小企業における採用難と人件費の高騰

中小企業にとって永遠の課題と言える、採用難と人件費のバランス…。
まずは、下記の統計をご覧ください。企業の従業員規模別の新規求人数の推移です。リーマンショックでの急激な落ち込みを除いて、求人数は増加傾向にあります。また、その中でもここ数年の【1-29人】規模の企業の求人数が群を抜いています。

(中小企業庁『中小企業白書2014』87頁)
次に、下記の統計をご覧ください。企業の従業員規模別の雇用者数の推移です。【1-29人】規模の企業の雇用者数の減少傾向が続いています。

(中小企業庁『中小企業白書2014』88頁)
これは、もっとも雇用者数が多い【1-29人】規模の企業数自体が減少(廃業・倒産・休眠など、個人企業の減少が著しい)していることも影響していますが、この統計グラフ上では、単純に小規模の企業から大規模の企業へ雇用者が移っているとも見えます。
この二つの統計を見ても、中小企業がどれだけ人材を欲しているか、そして、そうであるにもかかわらず、現実には採用ができていないという事実が浮き彫りになってきます。これは、新卒者・転職者が、より大きな、より安定していそうに見える企業を選択する傾向を示唆しています。
最近では、求人難・人件費の高騰による倒産が問題になってきたとの報道も出ています。昨年から今年にかけての消費税増税に伴う駆け込み需要も、求人難に拍車を掛けたと言えますし、“和民”や“すき家”等の人員不足による店舗閉鎖とその労働時間は大きな話題を呼びました。
まだ確定はしていませんが、消費税増税の駆け込み需要はもう一度ある可能性もありますし、建設業界を代表として、今後さらに人材不足が問題となると言われています。そういう我々の税理士業界も、税理士試験の受験者数が前年比90%という致命的な減少をしており、採用難に拍車を掛けそうです。
以上から、今後、中小企業の採用はさらに厳しくなっていく構造にあるのは間違いありません。
それでは、中小企業はこの死活問題ともいえる採用にどのように対応していくべきなのでしょうか?
採用のために自社の大規模化を進めるという思考は、中小企業にとって論外です。また、採用に際して提示する条件を引き上げるというのは“お金で解決する”という意味では選択肢の一つなのでしょうが、既存社員の待遇とのバランスを崩す場合があり公平性を欠く可能性があります。また、その分、人権費が上がることにつながりますので、収益性との関係で検討する必要があります。
また、採用を行う場合、欠員募集と増員募集があります。上記の統計を確認した場合、【1-29人規模】の企業については、欠員を補充できていないため、雇用者数が大幅に下がり、かつ求人数が増加しているという可能性もあります。純粋な増員であれば別ですが、欠員の場合、皆さんもお分かりのように、離職率を改善させるだけで採用の問題を相対的に低下させることにつながります。
欠員となる理由が、給与なのか、労働時間なのか、職場環境なのか…。経営者にとっては、辞めて欲しくない社員に辞められるのが一番困る訳です。だからと言って好待遇を行うというのは別問題ですが、採用よりも離職率を改善させるという視点で自社を再分析するというのは非常に重要な仕事になってくるかと考えます。
そして、今後、中小企業にとって一番必要なことの一つに、“人を採用しなければならない”という思考を捨ててみる点にあるのではないかと考えます。もちろん、言うまでもなく採用は超重要です。採用活動は常時行い、人材が余っていたとしても、余裕を持って確保するということも必要になってきます。
それと同時に、本当に採用が必要なのか?という視点は別の問題です。欠員が出たり、仕事量が増加した場合、まずは採用を検討されるはず。しかし、採用が困難になっているという状況で、採用できるまで待つというのは時間の浪費となる場合もあります。ではどうするのか?
ありきたりに言えば仕事の棚卸という表現になってしまいますが、本当に無駄な仕事がないのかという分析は、より重要性を増すのではないでしょうか。当社も例にもれず採用では困っておりましたが、ある意味、「こちらが求めているような人材は入社しない!」と諦めたことで仕事の見直しを徹底いたしました。
1年後の結果は、全スタッフの総労働時間が20%減少…。忙しいという状況から仕事が足りないという状況に様変わりしました。スタッフからすれば、暇になると不安になるのが当然ですが、経営サイドからすれば売上が上がっている状況で暇になったと言われるのは、何ともうれしい限りです。収益性が上昇して、さらに暇というのは、次の打ち手の選択肢を大幅に広めます。そして、今いるスタッフに暇と言われても、人材を先に確保という意味で、採用活動も同時に行っているという状況です。
前回のメルマガでも触れたように、いつまでも、「未払残業代を支払ったら潰れる!」というような思考がある経営者の会社に将来性はないと考えた方が間違いありません。特に中小企業は事件一つでガタガタになります。もちろん、何でも払えばよいというものではありませんが、払ったとしても経営上問題はないという状態は必要です。
従って、現在のような中小企業にとって不利な採用状況では、定量的な労働時間で、現状の仕事量が収まるように仕事の性質自体を変えてしまうという思考を社内に浸透させないと、採用難と社会保険コストを含めた人件費高騰の悪循環が、経営者の首を一気に絞めます。
さらに、中小企業では業務システムの強化がまだまだ遅れています。人を一人雇う分くらいの人件費を、継続的にシステム投資に使うというのは当たり前の時代になっています。このような継続的な投資が、長期的にも自社の最低必要人員数を引き下げることにもつながります。
繰り返しますが、皆さんがお考えのとおり、採用活動は超重要です。それと同時に、採用の代替策というは、一度真剣に考えられてみるべきではないでしょうか。
経営者の右腕になってくれるような人材というのは妄想の世界の産物ですが、自社の仕事の性質を180度変えたとき、今いる社員の仕事の質が大幅に変わる可能性があります。
一人の優秀な右腕の存在よりも、今現在平凡な10人の仕事の質が変わった方が、中小企業にとっては良い結果をもたらすのではないかと考えます。