ストレスチェック

12月から従業員の「ストレスチェック」制度が始まりました。

従業員50人未満の企業は努力義務ですので、中小企業では実施されないケースが多いかと思われます。

「従業員のストレス度が高いと業績も伸び悩む」と言われることもあるので、チェック自体は有用かもしれませんが、その結果が会社にフィードバックされる制度ではないので、管理は難しいところ。

そうであれば、当社でも提供している「CUBIC」の現有社員用などでチェックした方が、従業員のストレス傾向は把握しやすいかもしれません。

しかし、従業員のストレスチェックまで義務化とは、えらい時代になりました…。
対象となる中小企業は淡々とこなすしかありません。

と前振りしましたが、今回話題にしたいのは従業員のストレスチェックではなく、企業のストレスチェックです。

今年も大企業の不祥事が相次ぎました。
東芝、東洋ゴム、マンション問題の関係会社…etc.

当然ながら、これらの企業は業績が急転直下、赤字転落となるのがお決まりのパターン。そして、これらのニュースを見聞きする度、「うちは大丈夫だろうか?」と不安がよぎる方も多いはず。

大企業が不祥事を起こせば、経営陣が辞任。新しい体制の下で、信用と業績回復を目指すということになります。トカゲの尻尾切りみたいな…。

しかし、経営者がオーナーである中小企業では、不祥事から社長が辞任することはほぼあり得ません。唯一あり得るとしたら子への社長交代などですが、あくまで身内ですから、経営体制の刷新というレベルではありません。同族で責任を持って経営を続けるしかありません。

中小企業の場合、問題は業績に与える影響…。

そこで、皆さまにお考えいただきたいのが、自社のストレス耐性です。

つまり、自社にて考えられる不祥事が発覚した場合、業績に与える影響は「何が、どの程度か?」ということです。

一番分かりやすいのは売上の激減。ここでよく言われるのが「売上が0円になっても、従業員の給料を何か月分払えるお金を持っているか?」という基準です。売上減少の幅が読めない以上、0円と仮定するのが最も安全な考え方であり、影響を受ける期間が読めない以上、どの程度の期間の給料を払えるのかを把握しておくのは重要です。

例え売上が0円でも、従業員の給料1年分くらいのお金を持っていれば、ひとまず安心というところ。それが内部留保によるお金であれば好ましいのですが、その裏付けが借入金であったとしても、実際にお金があるのであれば、何とかしのぐことができます。

つまり、不祥事が起こった際、お金を持っているかどうかというのはとても重要なこと。そして、不祥事が起こった後に、資金の工面をしようと考えるのはとても甘い考えです。

借入れを嫌い、ギリギリでも自己資金で経営をされている企業を見受けますが、このような企業は、自社のストレス耐性をよく考えておく必要があります。金融機関が不祥事に気付き、企業の先行きに危険性を感じれば、融資に応じてくれない可能性もあります。

もちろん、借入金は少ない方が好ましいに決まっています。しかし、それよりもお金が多い方が絶対的に良いに決まっています。

借入金が少ないけれどお金も少ないという会社は、会社に大きなストレスが掛かった場合、売上も激減するし、融資も受けられないし、給料を支払うお金もないという危機的な状況に陥る可能性があるということです。

資金繰りで重要なのは、お金を可能な限り多く持っておくという一点に尽きます。借入金の額の問題ではありません。

もちろん、不祥事の種類、影響の程度によって、どの程度のお金が必要になるかは変わってきますが、考えられる事は全て想定しておくのが好ましいです。想定さえしておけば、事前に対策も可能ですから。

なお、お客様への返金ということが生じ得る場合は、有効な損害保険などに加入しているかということも検討しておく必要がありますのでご注意を。

そして、お金だけではなく、従業員の相次ぐ退社ということも頭に入れておかなければなりません。「不祥事により先行き危うい会社にいられるか!」と、労働力不足に陥る可能性は十分あります。

従業員が何割減少しても大丈夫か…。あまり考えたくないことですが、考えておいた方がいざというときに慌てないで済みます。

これが経営者自身による不祥事ではなく、また日頃から会社や従業員の事を第一に考えている経営者であれば、従業員が一丸となって支えてくれるという展開も考えられますが、自信を持って「うちの従業員はそうだ!」と言い切れる経営者は少ないのではないでしょうか…。

以上、従業員のストレスチェックとなると、辞めるリスクや他の従業員に悪影響を及ぼすリスク、そして生産性が著しく落ちるリスクを計る必要がありますが、会社のストレスチェックとなると、会社の継続性を計る必要があり、そのためにはいざというときのお金を“既に”確保できているかどうかという点が重要となります。

当社も例にもれず、「不祥事か!?」と冷や汗をかいたことは何度かあります…。実際には不祥事までに発展したことはありませんが、そのときにいつも頭に浮かぶのは、「預金残高いくらだっけ?」。そして「まあ、大丈夫か…」と腹をくくるという感じです。

従業員だけではなく、経営者にとっては定期的な会社のストレスチェックというのも重要となりますので、毎年1年の最後くらいには考えておく必要があるかもしれませんね。