あらゆる慣習や当たり前を疑い、商売を根本から見直してみる

東京ディズニーリゾートを運営するオリエンタルランドは、バイオマス由来の材料を配合していることから本来は有料化の対象外である自社のレジ袋について、10月1日からデザインやサイズを新しくしたうえで有料化(20円)することにしました。

また、新たなチケット価格戦略として、繁閑に応じて価格を変える「ダイナミックプライシング」の導入、アトラクションに待たずに乗れる「ファストパス」の有料化なども検討しているとのことです。

2021年3月期決算が通期で初の営業赤字となる現実味が増し、今後も入場者数など多くのことがコロナ前に戻らないことを前提に考える必要がある以上、様々なサービスを有料化できるように変えていこうとする動きは当然のことと言えます。

今年も残すところあと1月半となる今、年が明ける前に業界慣習や常識などを一切取っ払って皆様にも改めて自社の商売について考えてみて欲しいのです。

先月末に朝日新聞の全国版で紹介された、行列ができるサンドイッチ店の経営者と先日話をさせていただく機会がありました。

自店での販売に加えて全国展開する大手総合スーパーなど約50店舗に商品を卸しているこのお店は、全ての商品をスーパー側が買い取る「買取仕入」にて卸しています。

在庫リスクを負いたくないスーパー側は、商品が売れた場合に生産者がスーパーに販売手数料を支払う委託仕入やお客様へ販売できた分だけをスーパーが仕入れる消化仕入での契約を望み、商品を置いて欲しい生産者側は多くの場合それを受け入れてしまいます。

しかし、絶対に買取仕入でしか商品を卸さないというこの経営者はその理由をこう話してくれました。

「商品をスーパーに置く以上、売るのはスーパー側の仕事のはずです。在庫リスクを負わない委託仕入や消化仕入で契約すると、彼らは真剣に売ろうとしない。そんなのおかしいじゃないですか。」

サンドイッチ店を経営する以前、20代半ばに大手ゼネコンを退社し、歌手を目指しアコースティックギター1本を手に地元のバーで歌うことから始めたこの経営者。
最初から「500円でも1000円でもいいので、お店から必ずギャラをもらうようにしていた」そうです。

理由は「タダで歌を聴かせるのはおかしいし、少額でもギャラが発生することで歌う側にも仕事としての責任が生まれる」から。

ギャラどころか演者がライブハウスに出演料を支払い、チケットを自ら手売りするのが「当たり前」の業界慣習に逆らって、自らの「そんなのおかしい」という感覚にしたがって行動した彼は数年後、キャパシティ1000人規模の地元ホールを満員にしています。

人口減少社会withコロナ禍にあって、多くの前提条件が崩壊してしまった今、過去の「当たり前」は何の意味も持ちません。

まずは業界や自社で当たり前と考えられていることを書き出してみてください。

きっとその中に「おかしいのではないか」と感じることがあるはずです。

内側にいると、疑うことすらしなくなってしまう慣習やしきたり。
そうしたものに囚われることなくフラットな頭で考えてみて欲しいのです。

実現の仕方を考えるのはそのあとです。

来年以降、コロナ禍を生き抜くためのヒントが見つかるかもしれません。