オーナー経営者のお金の使い方

中小企業の強みはオーナー経営者です。
同時に弱みでもあります。

弱みとして挙げられるポイントの一つにお金の使い方があります。

オーナー経営者ですから、お金は好きに使えます。
事業関連性があれば、良し悪しは別としてお金を使えます。
使わないのも自由です。

そして、中小企業の事業が迷走する要因に「お金の使い方」と「利益獲得の打ち手」のズレが挙げられます。

オーナー経営者の下では、そこは惜しまずお金を投入すべきというところにお金を使わず、そこは使っても意味はないというところに惜しまずお金を使ってしまうケースが多く見受けられます。

基本的に、利益を獲得するためには必ずお金を使う必要があり、必要であれば借金してでもお金を使うべきです。ただし、お金を使っても利益の獲得が保証されているわけではありません。

この点について、オーナーとしての「主観」が強く影響し、経営者としての「客観」が弱まると迷走が始まります。

私の長い経験の中でも、お金の使い方が上手なオーナー経営者にはあまり出会えません。
それぞれにクセがあります。

  • 赤字が怖く、お金を使えない
  • 必要な設備投資すらも贅沢といってしまう
  • 利益獲得に比例しない過剰な設備投資を行ってしまう
  • 事業自体は素晴らしいのに、冗費の額が凄まじい
  • 自己投資と事業投資を履き違える
  • 社員待遇に甘すぎる、厳しすぎる
  • 一度始めた付き合いを止められない

知り合いの経営者が同じことをやっていれば、「バカだなー」と鼻で笑うことを平気でやってしまいます。中には心当たりがある方もいらっしゃることでしょう。

オーナー経営者のお金の使い方は中小企業の生死にかかわり、「お金の使い方」と「利益獲得の打ち手」には必ずズレが生じます。また、お金を使わないということは、利益獲得の打ち手を放棄していることでもあります。

ですから、そのズレが生じたり、お金が貯まり過ぎた場合に、それを是正できる仕組みがあり、注意を促してくれる相手がいることが重要です。

社員にも必要なお金は徹底して使わせ、ムダなお金は徹底して絞らせる。そのためにはオーナー経営者が手本となるようなお金の使い方をしなければなりません。継続企業では「貯めるが正義」が全てではありません。お金は使いながら増やしていくものです。

ウイズコロナでの事業環境にも慣れてきた2022年春。
経済が止まる期間は短くなり、お金を使う機会、使う額も増えてきます。

これからオーナー経営者の皆様は何にお金を使い、何にお金を使わないのか…。
利益獲得のために使っているのか、それとも冗費なのか…。
ズレが生じた場合に是正できるのか…。

オーナーとして誘惑は多いと思われますが、経営者として客観的な判断を行える環境に身を置いてください。

それが継続企業として成功する近道だと考えます。

 

山田 拓巳