10連休をきっかけにトレンドを把握する

GW10連休。
私たち中小企業にとっては資金繰りや売上高に大きな影響を与える要因であり、正直、迷惑以外の何物でもなかったという企業も多いのではないでしょうか。

今回のような祝日による営業日数の増減はもちろんのこと、季節変動や天候、自然災害など、様々な要因が企業の業績に影響を与えます。

当然、こうした何らかの要因により単月では前月より売上が上がっていた(下がっていた)としても、中長期的に見て売上が増加(減少)傾向にあるとは限りません。

そこで、ぜひ覚えておいていただきたいのが「移動年計」という管理方法です。

通常、毎日の売上や毎月の売上などの管理は次のような表やグラフで管理している企業が多いのではないでしょうか。

ちなみに下記の数値は東京神保町にある、「まかない」「ただめし」「あつらえ」「さしいれ」
などのユニークな仕組みを取り入れていることで有名な定食屋さん「未来食堂」がHP上で公開している実績値です。

こうした表やグラフは前月や前年同月との比較を行ったり、目標値などの管理には便利ですが、経営で最も重要な「趨勢」を把握することができないのが欠点です。

そこで、通常の管理とは別に年計の管理で趨勢を把握していくことが重要になります。

年計とは、決算期などに縛られることなく、毎日(または毎月)1年間の売上を集計していく方法で、例えば2018年6月6日から今日、2019年6月5日までの365日の売上の合計を集計し、翌日は2018年6月7日から2019年6月6日の365日の売上合計を集計し管理していきます。

こうして毎日(毎月)1年間の売上高を集計し、季節変動や土日祝日といった特殊性を排除することで、自社のトレンドが見えてきます。

では、未来食堂の短期(1年)移動年計と長期(2年)移動年計を見てみましょう。

先ほどのグラフでは分かりませんでしたが、こうして趨勢で見ると中長期的に売上高が減少傾向にあることが明らかです。

移動年計は店舗ごと商品ごとなどに集計することも有効ですし、売上高だけに限らず、顧客数、顧客単価などについて年計で管理してもよいでしょう。
それぞれのトレンドについて要因を追いかけていくと、意外な発見があることがあり、経営判断にとても役立ちます。

移動年計、ぜひ一度集計してみてください。
きっと何か新たな発見があるはずです。        

金融機関にとっての優先順位

AI融資。

中国では日常的に使われているとの記事をよく見かけますが、日本でも事業化に向けて動きが活発になりつつあります。

AI融資は個人情報や取引履歴を用いて、従来の融資とは比べ物にならないくらいのスピード感で実行されるのが特徴です。アプリやWEB上で完結することも大きなメリットと言えます。

日本でもアマゾンやリクルートなど、自社のプラットフォームを使う取引先に対する融資が開始されて数年が経過しています。

このような融資が今後加速し、一般的になるのは間違いありません。情報を随時提供する(あるいは強制的に提供させられる)ことにより、タイムリーに融資が行われることになります。

現在実現しているAI融資は個人や小規模事業者が中心であり融資額もまだまだ少額ですが、AI融資をいつでも受けられるように自社の体制を整えていくということが重要になります。IT化という言葉自体が古臭くなりましたが、そのIT化すらできていない中小企業は注意が必要です。

なお、小規模事業者以外の中小企業(一回の融資で数千万円から1億円を超える融資を受ける規模)はAI融資などの動きについて静観していればよいのかというと…実はそうでもありません。

皆さまも報道でよく見聞きされるかと思いますが、金融機関のリストラが加速しています。支店の統廃合や人員整理が盛んに行われているため、一昔前に比べて金融機関の動きが非常に鈍くなっているのです。

金融機関側にとって優先順位が低い取引先(つまりパッとしない中小企業)については、やる気も経験も少ない担当者が付いたりします。

実際、金融機関の部長クラスに直接確認しても、率直にその事実を認めます。

「手が回らないんです…」

つまり、中小企業はいざというときに迅速に金融機関から融資を受けられるよう、自社の優先順位を上げてもらうことを意識しておく必要がでてきました。

この点につき、AI融資とは別の動きがあります。

たとえば、私どもも所属しているTKCグループが提供している「TKCモニタリング情報サービス」。

これは、税理士がお客様からの依頼に基づき、法人税の電子申告直後に、融資審査、格付けのために金融機関に対して決算書や申告書、月次試算表等のデータを提供する無償のクラウドサービスです。

これまで金融機関は、取引先の中小企業を直接訪問するなどして、決算書や月次試算表などのコピーを入手していました。しかし当サービスを利用すれば、そうした労力を掛けることなく、タイムリーに取引先企業の財務状況を知ることができ、その決算書等のデータは税理士から直接送られてくるため信頼性の高いものになると謳っています。

例を挙げると…。

3月決算法人の申告が5月末に行われ、その決算書等を皆さまが受け取るのが6月上旬頃だとします。その後に金融機関の担当者が ” 紙 ” の決算書等を持ち帰り、決算書情報をデータとして入力。分析を行ったうえで担当者が提案を検討し、再度皆さまの会社を訪問するのが6月下旬から7月上旬。

というのがこれまでの一般的な流れかと思われます。

これが上記のようなサービスを利用すると、金融機関側は5月末に決算書等をデータでそのまま受け取ることができ、皆さまの会社を訪れるタイミングも、” 紙 “ の決算書等を受け取るケースより一ヶ月ほど早まってもおかしくはありません。

仮に、皆さまの会社の業績がパッとせず、金融機関の担当者が乗り気ではなかったとしても、いち早く情報が揃った皆さまの会社から訪問することになるのは当然のことでしょう。

そして、例として挙げたTKCだけではなく、日本IBMが全国の金融機関や会計ソフトメーカー等と組んで、決算書等のデータをプラットフォーム上で提供するシステムの開発を進めています。このサービスの開始目標は2020年とのこと。

紙で受け取る決算書とデータで受け取る決算書…。どの業界よりもフィンテックに積極的であり、そのためのリストラを進める金融機関にとってどちらが好ましいのか、言うまでもありません。

もちろん決算書が良い(格付けが高い)中小企業が有利な条件で融資を受けられるのは間違いありませんが、より早く融資を受けるという意味では外部環境に大きな変化が起こっています。

また、金融機関にとっては、業績がパッとしなくてもタイムリーにデータの提供を受けている中小企業の方が安心できますし、実際に融資条件の優遇を始めています。

今後の融資環境については、皆さまの会社の状態だけではなく、金融機関側の都合も大きく影響してくるということを理解しておいていただければと考えます。

自社や税理士のIT化次第で融資に影響があるというのも時代ですね。

働き方改革で、生産性は上がるのか?

とうとう、この4月から働き方改革関連法(以下「関連法」)が施行されました。
関連法のうち、具体的なものとして以下が挙げられます。
 A )有給休暇の確実な取得
    *年間10日以上の付与に対して年間5日の消化義務
 B )時間外労働の上限規制
    *原則:月45時間・年360時間
    *例外:月100時間未満・複数月平均80時間・年720時間
   
 C )月60時間超の残業に対する割増賃金率の引きあげ
    *法定割増賃金率50%
中小企業についてAは2019年4月、Bは2020年4月、Cは2023年4月からです。
すでにお分かりのように、働き方改革で行われようとしているのは正社員の労働時間の削減です。
民間企業には任せておけないと、国が規制を強化してきました。
(公務員も状況は同じはずなのですが…)
一人当たりの労働時間を手っ取り早く下げるためには人員増につきますが、採用難と賃金増で簡単に採用できる状況ではありません。
採用が難しければ、設備投資等で労働効率を上げるしかありません。
いずれにしても、労働時間を下げるためにはとてもお金が掛かりそうです…。
これ以上のコスト負担が厳しい企業にとっては、不採算事業の撤退または特定業務の廃止が重要になってきます。不採算事業などはムダな労働時間のカタマリですから、これを無くすだけで社員の労働効率は格段に上がるはず。
とくに中小企業は選択と集中が求められています。リソースが無い中小企業にとって分散は致命的です。
そして、国は働き方改革により生産性を高めようともしていますが、規制により労働時間は削減され、生産性は上がるのでしょうか?
今回の関連法にかかわらず、複雑な規制に中小企業が対応できるはずはありません。
実務上、規制をうまく潜り抜けながら泳いでいるのが中小企業です。
新しい規制が始まっても、いたちごっこが続くことでしょう…。
しかし、規制があまり役に立たないとはいえ、世間からの圧力は無視できない時代でもあります。大都市圏であればなおさらです。結局、規制にかかわらず労働時間を削減する努力は必要になります。
なお、皆さまもお分かりのように労働時間の削減と生産性を上げることはイコールではありません。ただし、生産性が上がることにより、労働時間が少なくなることはあり得ます。
「生産性とは何だ?」
という方も多いでしょうし、その定義は一つでもありません。この生産性というあいまいな表現に惑わされ、本来当たり前に考えるべきことを考えていないというのが現実です。
たとえば、1年間の営業日数。
今年はどこの企業も休日数が多いはずですが、これを現実の問題として十分に把握していない企業が多いかと考えます。
私どもはお客様の生産性の改善を検討する際、1年間の各月の営業日数と社内外のイベントスケジュールをまとめていただくことがあります。
GW・お盆・年末年始という営業日数が限られた月はやれることが少ないのが当然ですが、この営業日数を無視したスケジュールが詰め込まれているケースがほとんどです。
営業日数が通常月よりも5日少ないのに、通常月と同じことをしようとしたらどうなるのか?
このような分かりきったことで無理が重なり、労働時間を減らすことができないということにつながります。また、自社の営業日数が少ないということは、お客様も暇ではないはず。つまりイベントやキャンペーンのパフォーマンスが悪化してもおかしくはありません。
こういう事実を「生産性が悪い」と表現したら誰にでもお分かりのはず。
誰でも考えてみれば分かることを、誰でも目に見えるようにしていない。これが根本的な原因のように感じております。
生産性を上げるという際に一番重要なのは、忙しいときはモーレツに働き、休めるときにはたっぷり休むというメリハリです。
労働時間を平準化しても生産性は上がらないという事実を履き違えると、労働時間を削減した結果として生産性も悪化するという可能性すらあります。
生産性を上げるためには、社内のリソースを具体的に目に見える形で表現し、人もお金も十分に使い切る計画を立て、実行する。これに尽きると考えます。
間違っても、国の方針に従い、労働時間の削減に全力を注がないでください!

ZOZOの中期経営計画を逆さまにしてみる

今や色んな意味で誰もが知る『ZOZOTOWN』。
その業績悪化ぶりは報道により誰もが知るところです。

2018年4月に発表した3ヵ年の中期経営計画で掲げた売上目標は、初年度から大幅未達、ZOZOの今後の経営計画に大きな影響が出ることは間違いありません。

さて、このZOZOの中期経営計画、目にしたことがない方も多いかと思いますので、確認しておきましょう。

 

ZOZOなりの理屈があってこれだけの成長を見込んだのかもしれませんが、縮小していく市場において私たち中小企業の売上高が毎年右肩上がりに成長し続けていく計画など全く意味をなさないことはもうよいでしょう。

しかし、多くの経営計画では、今が順調であればなお、来年以降も順調に売上が推移していくか、来年も同じという前提で数字を組んでいる場合がほとんどです。
しかし、そうした根拠の薄い計画の多くは残念ながら「数字のお遊び」の域を出ません。

そこで発想を変えて、今が順調なのであればなお、この先思うように数字が上がらなくなることを仮定した計画をぜひ立ててみて欲しいのです。

では、ZOZOの中期経営計画、時間の流れを逆さまにしてみましょう。
すると、今が絶好調の時、ここから3年、取扱高・売上高・営業利益が毎年下がっていく計画に変化します。

 

 

果たして、こうした推移をたどることはあり得ないことでしょうか?

・今は順調な集客方法が上手くいかなくなったら・・・
・競合他社の低価格戦略によって、顧客が奪われたら・・・
・隣町にライバルが出店してきたら・・・

考えてみてください。これらは全て実際に普通に起こり得ることのはずです。
実際、時系列を逆さまにしたZOZOの数値、ある意味、恐ろしいほど自然な衰退です。

恐れている何かが起き、それに対応できなければ、全ての企業にこうしたことが起こる可能性があるのは当然のことです。

順調に推移していくだろうという根拠のない希望的観測による計画しか立ててこなければ、実際にこうした事態に陥った時には成す術もなく退場する羽目に陥るかもしれません。

しかし、こうした事態を予め想定することで、自社の損益構造が違った角度から見えるようになり、今のうちからその時に備えて対処方法を練ることができるだけでなく、事態に先立ち別の方法によって売上高を確保する種蒔きを始めておくこともできます。

場合によっては、その時に耐え得るだけの資金を、業績が順調で金利も低い今のうちに銀行から借りて、準備しておいてもよいかもしれません。

売上高が激減する可能性のある、考えられる脅威の1つや2つ、どんな企業でも思い当たるものが必ずあるはずです。
その脅威が起こり、売上高が激減する計画をぜひ一度立ててみてください。

きっと何かが見えるはずです。

人手不足はこのまま続くのか?

私が見る限り店員はわずか3名でした。
1月初旬に私が訪れた300坪を超えるGUの大型店舗です。
ご存知のようにGUはファーストリテイリングの完全子会社で、ユニクロより低価格なカジュアル衣料品を販売することで知られています。
今回私は、近所にあるGUで導入されているセルフレジがすごいという話しを妻から聞き、遅ればせながら「どれどれ」と実際に体験しに行くことにしました。
米のアマゾン・ゴーや中国を始め、日本でも無人コンビニの実験店舗などが話題になっていますので、それに比べればあくまでも「セルフレジ」と、高を括っていました。
しかし、正直かなりの衝撃を受けてしまいました。
今までのセルフレジとは比べ物にならないほど簡単で、しかも圧倒的に早いのです。
買い物客は購入したい商品を買い物かごに入れ、セルフレジ手前でシャツやニットにかけられていたハンガーを外し、そのまま買い物かごごとレジの下にあるボックスに入れてボックスのドアを閉めます。
すると一瞬にしてボックス内の商品についたICタグが読み取られ、レジ画面に商品と価格が表示されます。そして現金を入れるかクレジットカードをスキャンするだけ。
あとはドアを開けて買い物かごを取り出し、用意されている袋に商品を自分で詰めて終わりです。
デニムなどパンツ類をレジが認識すると画面で裾上げの有無を尋ねられます。
裾上げを選ぶと引換券がレシートと一緒に出力され、この時だけレジ付近にいるスタッフが近寄ってきて、その時の込み具合によって仕上がりの時間を記入してくれます。
文章だと伝わりづらいかもしれませんが、スーパーで品物1つ1つを自分でスキャンするセルフレジとは全く異なり、レジ下にあるボックスにかごごと商品を入れるだけで、一瞬にして複数の商品を読み取るこのセルフレジ、とにかく「すごい」の一言でした。
有人レジと比較して精算所要時間は最大で約3分の1に短縮されたそうです。
現在、業界を問わず人手不足は中小企業にとっても大きな問題となっています。
採用は困難を極め、私達の感覚とはかけ離れた賃金と、人材紹介会社への高額なフィーを支払わなければ採用ができなくなってしまいました。
しかし、その一方で、私たちの想像をはるかに超えたスピードで進化する世界。
皆さんはこの相反するとも捉えられる2つの現実をどう考えるでしょう。
GUではデニムなどを除いて、シャツやニットなどは全てハンガーにかけてあるため、お客様が手に取った商品を畳んで戻すスタッフは基本的に見当たりません。
300坪を超える大型店舗で目にしたのはセルフレジの利用をサポートするスタッフ1人に、試着室の横で裾上げ対応をするためのスタッフが2人、計3名でした。
しかも、このセルフレジ2015年5月には試験導入が開始され、既に2017年8月には全国GUの約半数の176店舗に設置されています。
私たち中小企業は税制も含め、常に様々な変化に対応していかなければなりません。
言わば「変化対応業」である我々は常に変化に対して敏感である必要があります。
経営者によって、目の前の変化をどう捉え、どう考え、どう動くか、または動かないかは異なるでしょう。
もちろん正解は分かりません。
インターネットで調べれば動画も見られますが、まだGUのセルフレジを体験していない方は、セルフレジが導入されている店舗へ足を運び、ぜひ自ら体験してみてください。
きっと多くの方の感覚が刺激され、様々なことを考えさせられるきっかけになるはずです。

新年に「やめる」ことを決める

皆さま、明けましておめでとうございます。
本年も税理士セカンドオピニオンをどうぞよろしくお願い致します。
さて、多くの経営者の皆さまが「今年は○○をやるぞ!」と意気込み新たに新年を迎えていることと思います。
そんな皆さまに、この新年のタイミングで是非考えていただきたいことがあります。
【今年は何をやめるか】
いきなりやる気を削ぐようですが、決して後ろ向きな考えではありません。
採用は困難を極め、リソースの質も量も今後ますます限られていく中小企業にとって、「何をやめるか」「何をやらないか」が今まで以上に重要になっていくことは明らかです。
どんな企業でも少なからず「やめたほうが良いこと」「やめなければいけないこと」「やめたいけど、やめられないでいること」があるはずです。
心当たりはありませんか?
人口が減少し縮みゆく日本の市場において、限られたリソースで戦いを挑むのであれば、やめること、やらないことを的確に判断し、今あるリソースに合わせて注力すべき事業にのみ注力しいくしか中小企業に生き残る術はないはずです。
理屈では理解していても多くの方はこう言います。
「そう簡単にはやめられない」
本当にそうでしょうか。
客観的なデータ等を基に、やめるべきことが浮かび上がれば、あとは決断するだけです。
決断さえしてしまえば、「やめる」ことは意外と難しくありません。
適切なタイミングで何か「やめる」ことは、経営における重要なリスクヘッジであり、新たな可能性へのチャンスでもあります。
「やめること」「やらないこと」を先に決めてしまうことで、「本当にやるべきこと」がより明確になり、自社の課題を克服していくケースを私はたくさん見てきました。
・粗利が〇%残らない仕事はやめる
・〇〇事業をやめる
・無料サービスをやめる
・無駄な会議をやめる
・自分でやるのをやめる(スタッフに任せる)
・自社でやるのをやめる(外注に出す)
・あのお客様との取引をやめる
予め「やらないこと」を決め、「やめる」ことを適切なタイミングで判断できることは、経営者に最も必要な能力の1つであることは間違いありません。
さあ、今年もまた1年が始まります。
皆さんは今年、何をやめますか。

RIZAP、ダイエットはじめる

「おもちゃ箱のような会社だが、いくつか壊れているおもちゃがある。壊れたものは修繕していかないといけない」

6月にRIZAPグループに加わった松本晃氏の言葉です。おもちゃ箱という表現をしなければならないくらい、成熟していない会社とも受け止めることができます。いくつか…という表現もかなり控えめな発言かもしれません。

その結果が11月14日に行われた会見での方針転換でした。

グループの18年3月期の売上収益が1,362億円で、19年3月期の予想が2,309億円。この増加額の多くが新たにM&Aで加わった子会社の売上分です。

RIZAPの急成長?の要因の多くは子会社の急増にあり、営業利益のほとんどは子会社を安く買い叩いたために利益とみなされた数字のまやかしでした。壊れたおもちゃなのですから、安く買えるのは当然でしょう。

「人は変われる。」を証明する

これがRIZAPの理念ですから、安く買い叩いた企業の再建もここに含まれていたのかもしれません。

加えて、RIZAPの本業は短期間でのダイエットですから、企業再建もそのくらいのスピード感をもって進めるのは当然と考えたのでしょう。

しかし、進捗管理が容易な1対1の関係性のダイエットビジネスモデルとは異なり、少数の経営陣 対 大多数の従業員(2018年3月時点で約7,000人)では関係性は極めて希薄になります。会社も事業内容も異なる数千人の改善は、短期間では無理がありました。

そして、瀬戸社長はこれまでの方針を誤りと認め、松本氏に再建を託したという結末です。

松本氏の新たな肩書は「代表取締役 構造改革担当」。グループ内部からはすでに反発があるようですが、プロ経営者である松本氏はどこまで切り込めるのでしょうか…。

いずれにしても、RIZAP自身のダイエットも短期決戦にならざるを得ません。

さて、RIZAPと同じようなことを、規模を縮小して行っているのがオーナー企業です。

ご存じのとおり、オーナー企業の弱点は経営者の判断ミスを「構造改革」してくれる方がいないことです。当然ですが、社内で経営者に意見できるほどのスタッフを抱えている中小企業などありません。

ですから、多くのケースで外部のコンサルタントを頼ることになりますが、コンサルティングにより部分最適ができたとしても、松本氏が行おうとしている構造改革レベルを一緒に進めてくれるコンサルタントなど皆無です。

そんなことをしたらコンサルタントが泥をかぶることになりますし、クライアント1社のためだけにそこまでリスクを取れる方などいらっしゃらないでしょう。

なお、中小企業で構造改革と言うと確かに大げさですが、業績が悪いと言われている企業の多くは本来行わなければならないリストラ、損切り等に手を付けていません(業績が良い企業はなおさら手を付けていません)。つまり、RIZAP状態です。

本来はそれほど難しくないアクションなのですが、一緒にリスクを取ってその一歩を踏み出してくれる方がいないことが問題なのです。中小企業の多くが急成長など困難であることを考えると、行うべきはやはり構造改革です。

その一歩を一緒に踏み出すパートナーに適任なのは内部事情を最も把握できる顧問税理士なのですが、まあ普通の税理士では無理ですよね…。社外取締役も迎えることができないオーナー経営者は孤独な職種です。

さて、どうなるかは分かりませんがRIZAPのダイエットの成果には注目しておきましょう。
構造改革でRIZAPが変われば、企業再建コンサルティングとして、それすらもビジネスにしてきそうですね 笑

皆さまも強制的なRIZAP送りにされないよう、くれぐれも会社の健康状態にはお気を付けください。きちんと損切りできる企業が長生きできるのですから。

RPA、ある意味衝撃

RPAというワードをご存じ無いという経営者は少なくなってきたかと思われますが、RPAの実態を把握しているという経営者は少ないというのが現実かと思われます。
もちろん使ってみなければ実態は分かりません。そして、いきなり使うにはハードルが高いソフトですので、当社でもRPAのプレゼンを受けてみました。
RPAについては一般的な情報を有していたものの、プレゼンを受けて直接ソフトを目の当たりにし、質問をしながらイメージをしていくと違ったものが見えてきます。
結論としては、想定していたよりも使いやすそうだと。しかし、代替させられる作業レベルは想定の範囲内(現時点ではかなり限定的)ということが確認できました。おそらく、皆様がイメージされているものと大きく変わらないと考えます。
中小企業における許容範囲内のコストを考慮すると、現時点では複雑な作業をRPAに代替させるのは現実的ではありません。従いまして、報道等で繰り返されているような大企業での成功事例は全く参考にならないというのは、皆様お考えのとおり。
ただし、RPAはボリュームのある複雑な作業を1つやらせるのではなく、ボリュームの少ない単純な作業を100やらせるためのソフトと考えると、考え方が変わります。
例えば、中小企業の実務の現場では、経営者の知らないところで無意味な単純作業がダラダラと繰り返されているというのが常です。
そして、「こんな作業はやり方を変えればいいじゃないか?」と問いかけると、
「この作業は10分程度で終わります。なので、改善したところで10分が5分になるだけで、その改善のために掛ける準備の方が大変です」と切り返され、
「それならとりあえずこのままにしておくか…」と尻すぼみになる会話が、日本全国、毎日繰り返されているはず…。
さらに問題なのは、実際には10分では終わっていないケースがほとんどだということです。このようなちょっとした作業は“ながら作業”です。アイドルタイムも発生します。10分の作業が10あれば本来100分の仕事となりますが、現実的には200分以上かかっていてもおかしくありません。
そして、この10分が5分の案件が、1人当たり毎月何件あるのか、そして、全員では何件あるのかを数えたことのある会社は極めて少数であるはずです。
国や経営者が「生産性の向上だ!」と号令を掛けてみても、この“10分が5分の案件問題”が解決しない限り、何も進まないというのが現実であると考えます。
このように考えた場合、この“10分が5分の案件問題”に有効となる可能性がRPAには感じられます。
大企業でRPAは大規模な業務改革であり、いままで単純作業を繰り返していた人材は最終的には減らしてくという流れでしょう。しかし、中小企業では、そこで余った時間を寄せ集めて、すぐさま他の業務に回す必要があるという点で、大きな違いがあります。
つまり、中小企業においては、RPAは業務の改革というよりも、社員の意識改革に近いのではないかと考えます。単純作業をマニュアル化してそのまま実行させるのがRPAです。RPAを使えないということは、そもそもマニュアル化できない業務が多すぎるという見方もできます。
では、誰がRPAを使いこなすのか?
“10分が5分の案件問題”を振りかざす社員にはあまり期待できません。改善意識の強い社員あるいは経営者自らが理解しないと先に進まないのが中小企業です。場合によっては複数の社員に、お互いの作業をRPAの動作シナリオ(つまりマニュアル)に登録させるというのも手段の一つです。
ひとまずは以上となりますが、積もり積もって、やっとRPAの効果の恩恵を受けられる。それが現時点でのRPAに対する期待レベルです。
パートスタッフ一人を新規に雇うのであれば、既存スタッフのちょっとした業務を寄せ集めてRPAに代替させるという感覚が、コスト面からも妥当でしょう。
RPAがここからどのように進化していくかは不透明な部分もありますが、作業のマニュアル化の一つと考えれば、先に手を付けておくのもよいかもしれません。

本業と副業

会社員にも副業を認めるというような風潮が広がっています。
今までも会社に黙って何かしらの副業を行っていた方は多かったのでしょうが、今回は会社側が副業を奨励するという感じなので、時代は変わったなと皆さんもお考えのはず。

社員の副業を奨励するといっても、本業に悪影響があったら実際には困るわけで、本業と副業の管理がとても重要になることでしょう。

と、会社員の副業の話から始めましたが、本題は会社の副業です。

従来どおり、本業一本の会社が大多数であるのは間違いありませんが、本業の他に副業が複数ある会社(いわゆる部門制、事業部制)も増えてきました。このような場合、例えば3つの部門があるといっても、3部門の業績が横並びというようなことはごくまれで、本業と副業という表現の仕方が実態にあっているのだと考えます。

また、会社設立当初の本業とその後に始めた副業が逆転し、本業がいつの間にか副業に成り下がっている場合もあります。

結局、本業と副業という認識の差は、会社における収益貢献が主か従かということに尽きるように考えます。

ところで、この本業と副業、管理方法によって業績がまるで変わることが多いという事実にどれだけの方がお気付きでしょうか。

そもそも、社内において本業と副業を分けて管理していないのは論外です。ただし、部門別管理等を行っている場合でも、売上高や原価の部門別管理に止まり、人件費をはじめとした固定費は共通であるため、部門本来の業績を把握できていないという中小企業はまだまだ多いようです。

このような状態の場合、副業は永遠に副業のままであり、会社の業績に貢献しているどころか、赤字を垂れ流しているだけという場合も少なくありません。逆に、実は本業が赤字であり、ボリュームが少ないはずの副業で上げる利益が会社を助けているなんて場合もあります。

一つの会社の中で本業と副業の明確な業績管理がされておらず、実態すら把握できていないというのが正直なところではないでしょうか。

もちろん、あえてそのような管理方法にして、問題にふたをしている…。というケースも多く見受けられますが…。

その副業、今のままでよいのでしょうか?

本業と副業といえども、一社の中で行っている場合と、会社を分けている場合があります。会社を分けているのに副業という表現はおかしいのですが、オーナーも経営者も同じで、本業を完全に他人に任せられるというような状態ではないことを考えると、やはり副業という表現の方が正しいのではないでしょうか。

この点、一つの会社内で本業と副業を持つのではなく、別々の会社として管理している場合には業績管理も明確になることが多いかと考えます(スタッフの人件費等、全てのコストを明確に分けていることが前提条件です)。

当然、別会社として管理することにより管理コストは二重で発生する場合があります。ただ、そうであるが故に、事業の収益性は明確になり、これは先行投資なのか、将来の可能性無きただの自己満足なのかの事実を突きつけられることにもつながります。

なお、日本経済新聞電子版2018年4月18日付コラム『赤字200億円「アベマTV」支える子会社』ではサイバーエージェントの子会社についての記事が掲載されていました。以下、長いですが引用します。

 


 

『技術革新の激しいネット広告業界。サイバーは新たな広告手法や技術が出るたびに子会社を設立する「分社経営」を推進。高い専門性と、権限委譲によるスタートアップ並みの素早い意思決定で市場の変化にいち早く対応する。
(中略)
専門子会社を次々生み出す分社経営の狙いは何か。本体で広告事業を統括する岡本保朗専務は「人材の育成と、各分野に特化することによるスピード感にある」と語る。

 とはいえ、単に子会社を次々と設立するだけでは、事業領域が重複するなど無駄が発生する可能性もある。サイバーでは撤退基準や順位付けも明確にし、緊張感を持たせている。比較的新しい子会社は3四半期連続で粗利が減少するなど成長が見込めなければ撤退。黒字化している子会社では2四半期連続で減収減益になると撤退か、事業責任者を交代する。

 実際、これまで清算などに踏み切った子会社は56社に上る。子会社にも厳しさが求められるが、サイバーゼットの市川取締役は「組織が小さくトップと現場の社員と距離が近いため、大きな決断でも理解が早く決済しやすい」と実感している。』

 


以上、サイバーエージェントの例は極端ですが、極端であるが故に分かりやすいのではないでしょうか。

当然ながら、副業を別会社にしたからといって成功する訳ではありませんし、推奨する訳でもありません。しかし、一つの会社の中でダラダラと副業を行うよりも、事業の継続性を判断する上では分社化の方が明確になります。結果として、短期的な判断が可能となるため、無駄なコストも排除される可能性もあります。

結局は責任の所在の明確化であり、ひいては経営者の最終判断を促す役割も担います。

もし、皆様の会社に中ぶらりんの副業があるようでしたら、管理の方法にお気を付けください。

社員が会社に黙って副業を行っており、ノー管理であれば、いずれ退職の可能性も強まるかと考えます。会社の副業も、そういう意味ではリスクは同じではないでしょうか。

ヤマトに学ぶ値上げの効果

宅配最大手のヤマト運輸は値上げ交渉を行った結果、大口顧客の4割がヤマト運輸との取引を解消したことを明らかにしたという記事が1月31日の日経新聞に掲載されていました。
過剰ともいえるサービス提供を背景に、現場の労働環境の過酷さや人手不足による人件費の高騰による収益悪化についてマスコミをうまく使ってアピールし、多くの人に短期間で「値上げは仕方なし」と感じさせた戦術は見事としか言えませんが、そこはさておき、今回注目したいのはヤマト運輸が実行した【値上げの効果】です。
大口顧客1100社のうち値上げを受け入れて契約を継続した6割の顧客の平均値上げ幅は15%を超え、その結果、一定量の荷物が減るものの業績は改善し、連結純利益が従来予想から25億円上振れることを記事は伝えています。
中小企業経営においては特に、そもそもの値付けを誤っているケースが多く、収益の改善には適正な値上げが最も効果が高いことは言うまでもありません。
しかし、値上げを実行すればヤマト運輸の例と同じように、値上げを受け入れてくれない顧客が必ず現れ、顧客を失えば売上高は当然下がります。
経営者の多くは売上高が下がることを恐れますので、値上げの決断を下すのは簡単なことではありませんが、適正な値上げであれば一定の顧客を失い、売上高が下がったとしても収益が改善することは経験上間違いありません。
そして多くの場合その裏には、見逃せない事実が潜んでいます。
値上げに応じてくれない、ある意味価格の安さにのみこだわる顧客の多くは、生産性を悪化させている要素があることが非常に多いのです。
顕著なケースにおいては、値上げまでしなくても価格の安さにのみこだわる顧客の契約を断るだけで生産性は向上し、収益が改善します。
きっと皆さんにも、いっそ取引を止めた方が、収益が改善するのではないかと思い当たる取引先の1社や2社は必ずあるはずです。
ヤマト運輸の宅配サービスが同業他社に比べて質が高いことは、皆さんがご存じのとおりです。
今回、ヤマト運輸の値上げ交渉に応じなかった4割の大口顧客は、ヤマト運輸のサービスの質よりも価格を優先させる判断をし、今後は同業他社のサービスを利用することになります。
もうお分かりでしょう。
ヤマト運輸との契約を解消した4割の顧客を受け入れることになる同業他社は、安さにこだわり収益を悪化させるかもしれない「ババ」を引いてしまう可能性があります。
今回ヤマト運輸は、巧みな情報戦術を駆使した値上げ交渉によって、生産性を悪化させる可能性のある低収益顧客に自ら契約の継続解消を決断させ、人手不足と相反して増え続ける荷物の量を抑制し、収益を改善させることに成功したのです。
適正な値付けや値上げは、売上高や収益を増加させる大きな要因であることはもちろん、それ以外にも、企業側が意図的に顧客を選択する「フィルター」の役割にもなり得ることを、私たちは認識しておかねばなりません。
今回のヤマトの値上げ、私たち中小企業にも学ぶところが多いのではないでしょうか