くら寿司の顧客サービス

大阪に本部を構える回転ずしチェーン“くら寿司(株式会社くらコーポレーション)”。
東証一部に上場した2005年には345億円だった売上高が、2010年には707億円(利益額50億円)へ。
公開数字を見る限りは、『急成長の企業』と言っていいのではないでしょうか。
ビジネス誌等でも何度か紹介されているため、ご存知の方も多いと思いますが、くら寿司では次のような顧客サービスを行っています。
■食べた皿を、その都度、皿カウンターに投げ入れいていく
■皿を5枚入れるたびに、液晶パネルでゲームがスタート
■「当たり」が出れば、各席に設置されているガチャガチャから景品をゲットできる
このエンターテイメント、イメージできましたか?
液晶パネルを使ったゲーム、「当たり」が出たときにガチャガチャから転がってくるカプセル景品、そして、ゲームのギャンブル性(筆者の実感では約25%の当たり確率)。
もう、子供にとってはたまりません。
“子供の喜ぶ顔を見る”のが好きな模範的ファミリーであれば、5の倍数で食事を終えるよう(次フロー参照)、かなりの確率で誘導されてしまいます。
■24皿⇒25皿
「あと1皿、あなたがんばって。」(4%売上増)
■23皿⇒25皿
「私が1皿がんばるから、あなたも、もう1皿。」(8%売上増)
■22皿⇒25皿
「私が1皿、あなたも1皿。子供たちは2人で1皿がんばりなさい。」(13%売上増)
たまに、同サービスの一部(液晶パネルでのゲーム等)を借用している同業者のフォロワーを見かけますが、あまりうまくいっているとは思えません。
当社代表の岡本も著書『稼ぐ超思考法』で述べていますが、このようなアイデアを目にした時、同業者による単純な人マネではなく、他の分野の方がこのような「手法」、「構造」だけを借用し、自らの事業に生かしていく“ブリコラージュ”が有効になるのではないでしょうか。

震災後の在庫の考え方

在庫は少なく!
これが経営の鉄則でした。
しかし、震災によってこの鉄則が揺らいでいるのは皆さんもご存じの通り。
在庫を極端に圧縮し、その都度仕入れるという効率性を重視してきた結果、「売るものがない」、「作れない」という状況に陥りました。
また、“仕入先を集中して、調達コストを下げる”という、もう一つの鉄則も状況の悪化に拍車を掛けています。
5月は上場企業の3月決算の発表が相次ぎましたが、製造業に関しては生産能力の回復が不透明なため、当期の業績予想の発表を見送る企業が多くなっています。
まさに、日本経済を左右しているのは、“生産がいつ回復するのか?”という点です。
生産の回復待ちは自社ではどうにもならない事なので、今後の課題として検討すべき事項は、「在庫を増やす」、「仕入先を増やす」となります。
では、大企業の生産・物流体制の見直しが叫ばれている中、中小企業にこれが出来るのか?
まずは「在庫を増やす」という点について。
在庫をどの程度増やせば良いかという問題自体はシンプルです。
例えば、今後同じような状態に陥った場合、どの程度の時間があれば“代替品”、“代替取引先”、“代替設備”を確保出来るかに応じます。
その確保までの期間が10日なのか、1ヵ月なのか、3ヵ月なのか・・・。
その期間によって、その分の在庫を増加させればよいのです。
もちろん、在庫を増やさず、もともと扱っている品物の入荷を待つという選択肢もありますが、入荷待ちの状態に応じて売上高の減少というリスクが発生しますので、原則として余力のある企業のみが採用出来ます。
とはいえ、今回の件で、すぐさま在庫を増やすべきという結論には達しません。
なぜなら、在庫を多く抱えるという事は、お金がその分在庫に回り、資金繰りを悪化させる要因になるからです。
手元キャッシュが潤沢な企業を除き、在庫増加には別途資金手当てが必要です。
また、在庫を増やすという事は、同時に不良在庫の額も増える事を意味します。
さらに、在庫の保管費用の増加も起こります。
まさに売上高の減少を防ぐためのトレードオフの関係です。
次に、「仕入先を増やす」という点について。
これは単純に仕入先を増やせばよいというだけ。
それも、地域を分けつつ分散するのが安全です。
ただ、これは“選択と集中”というコストコントロールに重要なポイントを外すという事になりますので、すぐさま仕入額を均等に分散させるべきではありません。
その準備をしておけば十分です。
つまり、主要仕入先の所在地域から離れたエリアに別の仕入先をいくつか探し、少額の取引を始めておけばよいのです。
これであれば、主要仕入先に万が一の事態が起こっても、すぐに対応する事が可能です。
以上、突発的な事態に対しては、次の一手が事前に想定されているか否かで、初動とその後の業績に与える影響が大きく変わります。
在庫の問題も、在庫額を増加させるのが根本的な解決につながりますが、現実的に実行出来ない企業もあります。
しかし、次善の策として、仕入先の選択肢を増やすという手段を実行出来ない企業はありません。
特殊な品物で、仕入先の代替が効かないのであれば、借金をしてまでも在庫を積み上げるだけです。
今回の震災にかかわらず、原材料の値上げや、原油高により、ただでさえ企業コストは著しく上昇しています。
さらに、在庫増加によるコスト高と続けば、これを吸収するのに値上げという選択肢を排除するのは危険です。
そういう意味では、今回の震災は企業の危機管理上の重要なターニングポイントでした。
このターニングポイントで何もアクションを起こせないと、次のターニングポイントを乗り切れるのか・・・と、想像しておく必要があります。

半年後・・の景色

東北地方の巨大地震の発生から一ヶ月以上が経ちました。
その影響は被災地は当然として、被災地以外にも広がっています。
政府系金融機関を中心に、中小企業の資金繰りの手当のバックアップは
されていますが、被災地が優先されるため、資金繰りに苦しむところもある
ようです。
阪神・淡路大震災の際には、被災地以外の企業では、1年を待たずに
売上げが回復したところが多かったようですが、現時点では、都内の
飲食店でも、いまだに売上げの回復は見られません。
実は、小売業やサービス業の場合、震災後二ヶ月頃が正念場と言われ
ています。
製造業は、全般的に、震災復興の絡みから生産再開にさえなれば、売上げ
回復していきますが、後ろ向きな消費ムードが明るくなるには、どうしても
時間を要します。
さらに、ずるずると状況を打開できずにいると、半年以内の倒産もあり得ます。
企業には、良い時も悪い時もあります。
通常、順調な成長が止まり、状況が悪くなれば、それに対する対応を企業
は行っていきます。
企業経営を行っていれば、必ず、事件は起きますから、こういうとき時こそ、
企業の力がためされる時です。
しかし、今回のように日本中の企業が一つの事件に遭遇した場合は、
状況の対応を怠り、単に、仲間と傷をなめあう・・ということが起こりがちに
なります。
バラバラに各企業で事件が起きていれば、事件をきっかけに、新たな対応
をする・・という健全性の循環が起こるわけですが、日本中で同時に事件に
遭遇すると、その健全性の循環が止まってしまう場合があるわけです。
地域企業が、商工会議所などの地域団体に集まって、地元の経済の地盤
沈下をお互いに嘆き合う・・という景色は日本の地方でよく見られる景色ですが、
その景色が日本中で起こってしまうわけです。
そして、ずるずると状況を受け入れていってしまう・・。これは大変危険なこと
です。
したがって、苦境を震災のせいにするのは、そろそろ止めにして、健全性の
循環をはじめなくてはいけません。
なお、銀行は、震災を機会に、ゾンビ企業の整理に入るはずです。業績の
打開が見えず累積損失がドンドンたまっていく中小企業をゾンビ企業と言う
ことがあります。
こうしたゾンビ企業も、地域の金融機関は、地元経済のために、ギリギリまで
応援をしてきました。
しかし、多くの企業の資金要請に対して、金融機関は改めて対応を企業ごとに
考えてきているはずです。
そして、ゾンビ企業の支援を止めるきっかけに、今回の震災はなるはずです。
残念ながら、こうしたゾンビ企業の倒産が、まずははじまります。
そして、次には、するずると対応を遅らせる企業の倒産が待っています。
こうした動きが、震災の半年後くらいから具体的になるはずです。
そろそろ、震災について嘆くのは止めましょう。
この日本中を巻き込んだ事件でさえ、新陳代謝のきっかけと考えましょう。
私たちは、何があっても、商売を続けなくてはいけません。

私は、あなたの奴隷ではない

「俺は、親父の奴隷じゃない!」
これは、顧問先のご子息が私に訴えた言葉です。
お酒の力もあってのことでしょう、いつもよりもすこし感情的でした。
その方の会社は、父親である社長で二代目となる典型的な中小企業です。
社長さんは、すでに還暦を向かえられており、専務取締役であるご子息に事業を承継することを考えておられました。
ある日のこと、社長さんが「先生、黄金株は(事業継承対策に)いいですか?」と聞いてこられました。
当然、この話は専務も耳にしており、今回のような訴えになった訳です。
株式には『普通株式』と『種類株式』の2種類があり、『黄金株』とは、新会社法の施行によって発行が可能となった種類株式のひとつです。
この黄金株は、取締役の選任・解任、会社の合併や事業譲渡等の重要事項について、『拒否権』をつけることによって、敵対的買収に対する防衛手段として利用されていました。
ところが、その効力から、後継者に株を渡した先代経営者が、事業継承後において当分の間、後継者の暴走を監視する目的から、事業承継においても利用を勧める専門家や専門書がたくさん出ています。
しかし、私は、事業承継の中でも親族内承継の場合には黄金株は使うべきではないと考えています。
何故ならば、黄金株を発行し、それを先代経営者が持つということは、「俺はお前が信用できない!」と無言で言っているのと同じことだからです。
多くの専門家や専門書は、現在の社長の目線から書かれており、事業を承継する後継者のことはあまり考えられていません。
少し言葉が過ぎると思いますが、私から言わせてもらえば、後継者に事業を承継すると言っておきながら、黄金株を発行するなど、子供を馬鹿にするにも程があります。
それならば、社長だけ交代して、株を渡さなければいいだけです。
そこに、『相続税対策=事業承継』と考えている経営者の誤解があるのです。
事業承継でもっとも大切なことは、税対策でも、株式対策でもありません。
事業承継に関わる方々の内面の在り方です。
“策士策に溺れる”とならないよう、お気をつけください。

「税務訴訟」してみますか?

武富士の親族が贈与税の裁判で逆転勝訴、利息等含め2000億円還付!
保険金の二重課税について主婦が勝訴、数十年来の二重課税が解消!
最近、このように納税者が税務の訴訟を行い、国と争って勝訴するといった記事を多く目にするようになってきました。
もともと司法は行政から独立しているはずなので当然と言えば当然なのですが、これまでの裁判ではどちらかというと国が行った課税処分をくつがえす判決を出すことは滅多にありませんでした。ですが最近は、裁判所も少しずつ中立な立場に立った判決を出し始めたようです。
中小企業の場合には、税務調査等で指摘された点について納得いかないことがあっても、「税務署と争うなんて面倒だし時間ももったいない。そもそも顧問税理士は税務署の言いなりでどっちの味方かわからないから、国と争うなんて無理!」というご意見が多く、「税務署の言うとおり修正申告するしかない。」という経営者が大部分かと思います。
そんな悔しい思いをしながらも安易に修正申告をしてしまうその前に・・・
税務調査に臨む前には、以下の3点だけは押さえるようにしてください。
(1)疑念を持たれそうな点について、事前に準備して説明できるようにしておく。
(2)根拠となる書類は、必ず作成して残しておく。
(3)日頃から税務の処理について分かりやすく説明してくれて、税務調査でしっかりと戦ってくれる顧問税理士を雇う。
最後が一番難しいかもしれません(苦笑)が、これだけで結果は変わってきます。
さて、これでも納得いかない場合には最終的に裁判となりますが、その前に「異議申し立て」や「審査請求」という手続きも可能ですので、流れを見ておきましょう。

そしてこの「国税不服審判所」の裁決にまだ不服があるときは、裁決から3カ月以内に訴訟を起こすことになりますが、訴訟となるとその費用や税理士・弁護士などの費用もかかります。
争点となった部分の税額を考えると割に合わないため、ここまでで断念する方が多いのも、残念ながら事実です。
ですが「金額の問題ではない!こちらが正しいと思って行った事を否認されるなんて、許せん!」とおっしゃる方。今回の話は覚えておいて損はありません。
まずは事前準備をしっかりと行い、もしものときに備えるようにしてください。

名目GDPが3位に転落ですって

「名目GDP 日本、中国に抜かれる!」
以前からニュースにはなっていましたが、改めて3位確定と先月発表がありました。
“経済規模で”42年間、世界第2位だったそうです。
どの報道を見ても論調が冷静で、
「当然のことですよね。だってあれだけ人口が多いですもの・・・」
そして、行きつく先は、
「一人あたりGDPでは、日本の方がまだ10倍大きい!」
しかも、日本の一人あたりGDPは世界で17位(2009年度)。
意外と普通の順位ですね・・・。
一人あたりGDPが日本より上位で、日本よりも人口が多いのはアメリカだけです。
世界の国別人口を上位から列挙すると、
『中国、インド、アメリカ、インドネシア、ブラジル、パキスタン、バングラデシュ、
ナイジェリア、ロシア、日本・・・』と、日本の人口は世界で10位です。
人口数が日本より上位で、日本より経済的に裕福と感じるのはアメリカだけではないでしょうか。
ご存知のとおり、GDPは【一人あたりGDP × 人口】の積で求められます。
一人あたりGDPが世界17位で、人口は世界10位・・・。
こう考えると、日本のGDPが世界第2位であり続けたのは、単純に“人口が多いから”、あるいは“人口が多い国の中で、一人あたりGDPが2番目に高かったから”という結論に達します。
ですが、今後、日本の人口は減少傾向に入ります。
それでは、人口の減少に引きずられ、GDPも下がり続けるのでしょうか?
これは、企業の売上高に置き換えてみればヒントが隠されています。
仮に、皆さんの会社の社員が1割減ったからといって、売上高も引きずられて1割下がるでしょうか?
10人の会社なら1人、30人の会社なら3人、100人の会社なら10人。
実際に下がったら経営者は頭を抱えてしまうはず・・・。
しかし、社員数の減少に応じて、下がりそうで下がらないのが売上高です。
それは残りの社員が懸命にカバーするからです。
つまり、一人あたりGDPが増加しているのと同じ現象です。
企業の数年間の連続分析を行っても、人数が減少している事業年度というのは、一人あたりの生産性は増加している傾向にあります。
もちろん、減少人数分を雇うのは簡単です。
とはいえ、簡単に雇ったら大変なことになると分かっているから、どこの中小企業も雇う事が出来ていません。
それでも、売上高を落とさないように努力は続く・・・。
そして、一人あたり生産性は増加する・・・。
いつまでたっても仕事は大変・・・。
これは中小企業のジレンマですが、大きな枠組みで見れば日本の今後のGDPの構造と同じです。
労働人口が減少していくのですから、仕方ありません。
また、皆さんの会社が、こう言われたらムッとくるはず。
「あなたの会社の売上高が大きいのは、社員数が多いからですね」
それよりも、こう切り返せるような形が目指すべき方向性ではないでしょうか。
「うちの会社の一人あたり生産性は業界平均の2倍だよ」
これが日本の現状です。
労働人口は減少するという大前提の下に、企業の一人あたり生産性に焦点を当てて経営される事が、今後の日本のGDPにも少なからず影響を与えるのではないかと考えます。

現実を歪める

林原グループが破綻しました。
「バイオ企業の雄」
「岡山の大地主」
と言われたグループの実態は、
架空の決算書で銀行を信用させ、
約1300億円もの借入残高を抱える
問題企業でしかありませんでした。
1883年に創業した同社は、
元々は、水飴事業を営む企業でしたが、
4代目社長になった林原健氏の社長就任で、バイオ企画を展開。
食品の甘味料に欠かせない「トレハロース」や
抗ガン剤「インターフェロン」の量産化に成功。
「バイオ企業の雄」として世界的に名前が知られていました。
しかし、『日経ビジネス』(2011.2.14号)によると、
2009年10月期の林原単体の売上高は281億円。
当期利益はわずか1億円。
その企業に対して、銀行の債権総額は約1300億円。
バブル時代を彷彿させるハチャメチャ度です。
架空の決算書を受け取り、融資を続けた銀行は、
林原に対して怒り心頭だと思いますが、
どう見たって、どちらも狂っています。
お互いに、現実を見なかった。
企業における不祥事の典型的なパターンが
ここにもあります。
通常、企業は、望む状況と現実にギャップがあると、
そのギャップを埋めるために、
分析をし、新たな仮説を立て、行動します。
企業経営とは、
決算書に代表される現実を示す各種数字を
客観的に受け入れ、それを味わい
次の行動をしていくものです。
これに対して、
林原グループは、「現実」を歪めることを選びました。
これは、人間で言えば、ウツの典型的な症状です。
そのウツ企業に、
銀行は大量の融資をしました。
その額は、このグループの規模からは
常識外れの融資額です。
林原グループは、
金融機関に対して、他の金融機関の融資残高について
虚偽の報告をいていたようですが、
最低限、融資トップの金融機関ならば、
おかしい・・と思ったはずです。
林原グループには、
28もの金融機関が融資をしていました。
この事実だけでもおかしいはずです。
それを見ないふりをしてきたのです。
28の金融機関の末端の金融機関にいたっては、
何の志もない提灯融資。
話題の企業に少しでも融資で入り込みたいという
スケベ根性だけのコソ泥融資と言っても良いでしょう。
しかし、これを笑うことはできません。
私たちだって、
現実を歪めてみていないでしょうか?
決算書を見て、言い訳をしていないでしょうか?
そして、どこかにコソ泥棒がないでしょうか?
こういう事件が起きた時は、
他人事の顔をしてニュースを楽しむのではなく、
我にも同じ色はないか・・と自省することをお勧めします。

これは誰に頼むべきか?

とうとう中国から、「会計事務所」が進出してきます。
中国国内第3位の会計事務所「信永中和」が、日本での会計監査の拠点と
して、国内事務所を設立しました。
この春から中国企業の日本子会社の会計監査や日本企業のM&A、対中投
資の支援などを行うようですが、これら中国関係の業務は、これまで大手の監査
法人や中国に強いコンサルティング会社などが担ってきましたので、今回の進出はひとまず彼らにとっての「脅威」となるかもしれません。
しかしながら、一番影響を受けるのは、上場企業などの大企業を相手にする監査
法人などではなく、むしろ私たちのような中小企業をお客さまに持つ「税理士事務
所」であると言えます。
というのも、一般的には知られていませんが、企業が税理士事務所などに依頼
して いる記帳代行や経理代行などのアウトソーシング業務は、すでに人件費が
安くて「漢字」にもなじみの深い中国へのシフトが進んでいます。顧問税理士は
黙っていますが、皆様の会社の伝票も、すでに中国で優秀な中国人が入力して
いるかもしれません(苦笑)。
今回の進出を足がかりに中国の会計事務所が本格的に進出し、これらのサービス
を表立って開始することになった場合には、中小企業にとって業務を依頼する先
として有力な選択肢となるかも知れません。結果、これまで「安いだけ」で勝負をして
きたような国内の税理士事務所は、自然淘汰されていくことになるでしょう。
ですが実は、中国が進出してこなくとも、この税理士事務所の淘汰の流れはすで
に国内の税理士業界で加速しているのです。
私共はこのメルマガのタイトルの通り、税務会計の「セカンドオピニオンサービス」
も行わせていただいているのですが、その中で面白いことがわかってきました。
当初、私共はこのサービスを「ある事柄について、お客様がまず顧問税理士に
相談をし、その税理士が出した回答に納得がいかないときに、別の税理士にも
相談したいというお客様がいるはず」だと考えてスタートしたのですが、実際に
お客様からご相談をお伺いしてみると、顧問税理士に意見を聞く前に、最初に
私共にご相談いただくケースが以外と多いのです。
一応、その後に顧問税理士の意見も聞いて最終的な結論を出していらっしゃる
ようですが、これは私共の当初の想定とは、全く逆のものでした。
つまりこれらのお客様は、顧問税理士をすぐに変える予定ではないけれど「普段
あまりコミュニケーションを取らず、事務処理だけを依頼する税理士事務所」と
「大切なことを相談する税理士事務所」をうまく使い分けているといえます。
このように税理士業界は、すでに昔ながらの悪しき(?)「先生業」ではなく、お客様
と対等な関係の「サービス業」に変貌を遂げています。
これからは、皆様が関係者にうまく情報を共有させることにより、「記帳代行に
ついては中国」に依頼、「通常の申告業務はA税理士」に、「重要な相談について
はB税理士」に依頼、などと目的に応じて相手を選んで相談するといったことが
可能であり、それはもうすでに皆様の隣で始まっているのです。

4月1日は運命の分かれ道

相続税の課税対象者を増やしたい・・・。
民主党による「富の再配分」の旗印のもとに、とうとう相続税にも大幅にメスが入りました。
相続税の課税対象となる人は、年間に亡くなった方のうち約4%。
今回の税制改正でこの数字が6%程度に増やされることになりそうです。
相続税の計算は、亡くなった方の「相続財産」が「基礎控除」という一定の控除額を超えた部分に課税されます。
今回の税制改正大綱では、その「基礎控除」が4割も減らされました。
夫が亡くなり、相続人が妻と子供2人のケースで見てみましょう。
3月31日までに夫が亡くなった場合、「基礎控除」は、
5,000万円+1,000万円×法定相続人の数(3人)=「8,000万円」
ですが、4月1日以降に亡くなった場合、「基礎控除」は、
3,000万円+600万円×法定相続人の数(3人)=「4,800万円」
となります。
なんと、4月1日を境に、相続税の対象となる額が差し引きで3,200万円も増えてしまうのです。
その上、生命保険金に対する控除も減額されたり、課税所得が1億円超の場合の税率までアップされたりと、今年の改正案はかなりキビしい・・・。
「先生、お願いです!3月31日に亡くなったことにしてください!!」
4月1日は、病院でこんなやり取りが多発しそうです。本当に切実。
国は以前から相続税の算出方法を根本的に変えたいと考えていましたが、まずは算出方法でなく、安直に「金額をいじる」という方法を選びました。
国民の悲鳴とは裏腹に、官僚はこのようにしか考えていません。
「なあに、最近の税金が少なかっただけ。一昔前の状態に戻しただけだよ。」
さて、この4月1日を見据えて、やることは一つ。
とにもかくにも、早めに相続税対策をとることが必要です。
上記の例でもわかるように、今回の税制改正、これまであまり相続税の心配がなかった方や過去に試算をしたことがある方でも、4月1日を境に課税の対象となってしまう可能性や、見込んでいたよりも納税額が増える可能性が出てきました。
そのため、必ず、過去に行った相続税の試算をやり直してください。
生前贈与などを活用して準備さえしておけば、まだ間に合います。
残念なことですが、官僚が決めてしまった流れには逆らえません。
できることは、少しでも早く情報をつかみ、対策をとること。
特に、税金の対策に「ウルトラC」はないのです。
中途半端な子ども手当てや法人税減税との引き換えに、所得税と相続税はとうとう増税の方向に舵を切ったのです。今後もこの増税の流れが加速していくと思われますが・・・。
国民が民主党に託した「未来」とは、本当にこんな景色なのでしょうか。

次の環境適応

先週、フォレスト出版に
『もう古い!会社にお金が残らない本当の理由』的な本をやらないか・・とメールをしました。
そして、数分後に返事。
「ぜひ、やりましょう」
本能的に、メールを送ってしまいましたが、
出版社の反応を見て、私は少し後悔しました。
とにかく、今年は、昨年以上に忙しい状況で、
年明けから、忙しさに恐怖を感じているというのに、
自分で仕事を増やしているのですから話になりません。
しかし、
こうした本の企画を出したくなるほどに、
昨年12月に公表された税制改正大綱以後、
私たちの中では、節税感が変わってしまいました。
現在の日本は、
田中角栄的なものに翻弄されています。
年金問題は、まさにそうですし、
税制にも、その足跡が残っています。
そして、今回、民主党は、
税制に残る田中角栄的なものに手を付けました。
それが、高額所得者の給与所得控除に
上限を設けたことです。
もちろん、今回の改正は、
あいかわらず、政治が、取りやすいところに
ターゲットを絞った感がぬぐえず、
完全に、田中角栄的なものを払拭したわけではありません。
しかし、過去に田中角栄が行ったリップサービスに
やっと手を付けたわけです。
つまり、この給与所得控除の改正は、
このままでは終わらない可能性がありますし、
税制改正大綱には、その可能性を匂わせているように思います。
いずれにしても、
法人税率の改正とこの給与所得控除の上限の設定は、
中小企業の節税方法、いやいや、運営方法を根本的に変えることになります。
そのため、
私が過去に書いた本は内容が古くなり、
現在、ゲラを制作中の本は、一部書き直しが必要になってしまいました。
毎年年末に行う『年末放談 ユーストリーム版』でも
言わせていただいていますが、
国は、すでに国家総動員を決めていると思います。
第一次世界大戦の後に
軍人が痛感した国家総動員は、
彼ら軍人の考えでしかありませんでしたが、
21世紀の国家総動員は、
政治家も官僚も感じていることでしょう。
もちろん、
今でも、そういう感覚がない的外れな政治家もいますが、
民主党の中枢や官僚は、そう思っているはずです。
そして、
そうした考えを具現化する第一歩としても
今回の税制改正はあるのでしょう。
しかし、
私たちは、そうしたことに一喜一憂しても
意味はありません。
環境適応。
それが私たちのやるべきことです。
ですから、
今までのことは、今までのこととして、
新しい枠組みを考えましょう。
中には、今までの節税がムダ、いやムダ以上の
状況になったりもしますが、仕方がありません。
感情的になっている
暇があったら、対応策を考えましょう。
時代は、
私たちに、過去を捨てるように
強いているのだと思います。