毎年5月になると『住民税(※注)特別徴収税額の決定通知書』という書類を職場からもらっていることと思います。
(※注:市町村民税・都道府県民税の略)
これは給与から天引きされる住民税を市区町村の役所が計算し、その結果を職場に送ってきたものです。
ほとんどの方は中身を確認することなく捨てているのではないかと思いますが、実はその計算に誤りがあることも珍しくはないので注意が必要です。
以前にもこんな相談がありました。
お客様 「住民税が所得税と比べてかなり大きいのですが・・・」
私 「所得税の最低税率は5%で住民税の税率は10%の固定ですからそのようなこともありますが、○○さんの場合にはそれはおかしいですね。」
お客様 「そうですよね!」
私 「わかりました。私が市役所に連絡して確認してみますね。」
お客様 「よろしくお願いします。」
市役所 「はい○○市役所です。」
私 「住民税の納税通知書のことでお聞きしたいのですが」
市役所 「それでは税務課におつなぎいたします。」
担当者 「はい、税務課です。」
私 「住民税の納税通知書のことでお聞きしたいのですが」
担当者 「通知書に記載された個人番号はお分かりですか?」
私 「○○○番です。」
担当者 「はい○○さんですね」
私 「住民税が所得税に比べて多すぎではないかと思うのですが、どのような計算をされていますか?」
担当者 「今お調べいたしますので少しお待ちください・・」
担当者 「あっ、医療費の控除が抜けていますね!間違いです。新しい通知書をお送りいたします。」
私 「どうしてそんな間違いが起こるのですか?」
担当者 「すみません、入力誤りとしか・・・」
人がやることですから稀に誤りがあることは仕方がないと思われるかもしれません。
ところが住民税や固定資産税は自分で申告するのではなく市区町村が計算して通知される税金については重大な計算誤りをしているケースが多数報告されています。
その一番の原因は計算する人が『シロウト』だからです。
役所では毎年人事異動があります。
通常同じ部署に3,4年在籍するのが通常ですが中には1年で異動する人もいます。
そのため、つい先日まで教育課や福祉課にいた職員が次の年から税務課に配属となることは当たり前のことで、つまりは税金の計算など初めてやる職員もいるのです。
長く在籍している職員でも4、5年ですのでシロウトに毛が生えた程度です。
そのため住民税については自分で簡単なチェックをすることをオススメいたします。
簡単なチェック方法をお伝えします。
1.所得を確認する
お勤めの方は会社からもらった特別徴収税額の決定通知書の所得欄の『給与収入』と前年末に同じく会社からもらった源泉徴収票の『支払金額』が一致しているかを確認してください。
給与以外の収入があり確定申告をした方は特別徴収税額の決定通知書の『総所得金額欄』と確定申告書第一表の『所得金額欄の合計』が一致しているかを確認してください。
2.所得控除を確認する
控除額は所得税の計算と同じものと異なるものがあります。
雑損控除・医療費控除・社会保険料控除・小規模企業共済等掛金控除の4つは所得税も住民税も同じです。
源泉徴収票もしくは確定申告書に記載された金額と違いがあるかを確認してみましょう。
保険料控除・寄附金控除・扶養控除等は所得税と住民税とでは金額に違いがありますので、同額ではないまでも源泉徴収票もしくは確定申告書に記載がある場合には決定通知書の所得控除欄にも記載があるかどうかを確認してください。
所得税で控除があって住民税では何もありませんということはありませんので。
もしも、税額や計算内容に不明な点がある場合には市区町村の役所の税務課に連絡して見直していただくことをおすすめいたします。