株式譲渡の損益の相殺に改正?!

税制改正によって平成 28 年から、いわゆる「金融所得一体課税」が導入されます。
一体、なにが変わるのでしょうか。

現行では、同族会社などの非上場株式の譲渡損益と、特定口座などで売買している上場株式の譲渡損益とは、申告する時に相殺することが出来ます。

しかし、改正によりH 28年1月1日以後の譲渡から、この相殺が出来なくなります!

よく、事業承継による同族株式(非上場株式)の譲渡のときには、多額の譲渡益が発生するケースが多いのですが、この同時期に、例えば株価低迷による含み損失のあるような、いわゆる塩漬け状態の上場株式を保有していれば、これを売却して譲渡損失を実現させることで、先の同族株式の譲渡益と相殺させ、納税を軽減させる方法が採られていました。

例えば事業承継のため、非上場の同族株式を後継者へ移転するために譲渡した結果、譲渡益が5,000万円出たとします。

この状態で申告するとなると、譲渡益に20%の所得税が課税されますので1,000万円の納税が必要になります。

一方、リーマンショック前に購入したような上場株式等を所有しており、株価の順調な今でも総額5,000万円の含み損があり塩漬け状態だったとします。

そこで、この上場株式を売却して5,000万円の譲渡損失を実現させることで、両者の損益が相殺できるので、結果、損益を0円とすることで納税を回避することができるのです。

 

■その逆のパターンもあり得る?!

アベノミクスの恩恵か、このところ株価は順調のようです。
うまく運用して実際に利益を享受したり、あるいは、大きな含み益を持った状態で上場株式を保有されている方も多いのではないでしょうか。

そこで、非上場の同族株式を所有するオーナーさんなどには、この同族株式を低額で譲渡することで譲渡損失を発生させ、この上場株式の譲渡益と相殺をさせるという方法が考えられます。

しかし、そこには税務上の取り扱いにより、大きなトラブルとなる可能性が大きいので注意が必要です。
税法では、非上場株式の譲渡の際には、その譲渡の時の「適正な時価」により売買することを要請しているからです。

したがって、その「時価」よりも低い価格で売買されても税務上では認められず、時価との差額に対して原則的には課税されてしまうことになってしまいます。

また例えば事業承継により、譲渡によって株を後継者へ移転させる際には、会社で先代の多額の(とはいっても適正な)退職金を計上することで赤字決算を計上し、意図的に株式の時価を低減させることが可能となる場合があります。

そこで、その時点で自社の株式を譲渡することで、事業承継を行いながら退職金支給前より譲渡益を少なく、場合によっては、譲渡損を出すことが可能になります。

そして譲渡損を計上できる場合には、先の上場株式の譲渡益との相殺をすることで、本来納めるべき上場株式の税金を減少させることが可能となるのです。

しかし、このように非上場株式を譲渡する際の金額には税務上の「時価」という概念が付きまといますので、慎重に行うことが重要です。
非上場株式の譲渡の際には、譲渡益の場合も、譲渡損の場合もこの「時価」の算定が必要となります。

このような相殺が可能なのは、今年、H27年12月31日までの譲渡が対象となります。
該当する環境のある方は、是非ご検討されてみてはいかかでしょうか。

また、弊社では、「自社株評価サービス」も行っています。
気なる方は、是非、弊社のHPをご確認ください。

税理士の嫉妬は海よりも深い?!

「あなたとは今後一切お付き合いはしません!」
私が以前にある社会保険労務士から言われた言葉です。
何故、社会保険労務士がそのようなことを言ったのかについて詳しくはお話いたしませんが、一言でいうと『妬みと嫉妬』です。
今回は専門家と言われる私たちの情けない一面についてお話いたします。
税理士や社会保険労務士をはじめとする”士業”の中には、プライドだけが高い者が多く、そのことで本来はお客様である多くの中小企業の経営者が使わなくてもいい気を使っていらっしゃいます。
弊社では以前より、『税理士セカンドオピニオン』というサービスを行っております。
このサービスは文字通り、顧問税理士がついている企業の経営者や経理担当者が、他の税理士の意見や見解を聞くことを目的としたものです。
先日も事業承継をお考えのお客様からこんな相談がありました。
コンサルタントを依頼し自社株移転スキームを提案してもらったのだが顧問の税理士がそのスキームには問題があり認められないと言っているというものでした。
実はこの手の相談はとても多いです。
この手のスキームや税金対策を税理士が認めないという場合の理由はいつも決まっています。
・・・
「税務署から否認される可能性があります。」
「そんなことやっても意味がない。」
「こっちのほうが税金がかからないですよ。」
いかにも専門家らしい言い方に聞こえますが、
これを言い換えると、次のようになります。
「私には責任が持てません。」
「私は面白くありません。」
「私ならもっといい方法を知っていますよ。」
これが税理士が本当に言いたいことです。
いかがでしょう?
税理士のコメントがいかに自分を正当化するためのもので顧問税理士である自分を差し置いて他人の意見を求めたことに対しての『妬みと嫉妬』によるものであるかがわかります。
経営者は何も税金のことだけを考えているのではなく、それ以上に会社を継続発展させていくためにどうしたらいいのかを必死に考えていらっしゃいます。
ところが、税理士は自らのプライドと保身、そして『税金』の世界から頭が離れることはありません。
その結果、このような後ろ向きコメントになるのです。
とはいうものの、税理士を一方的に責められるものでもありません。
これは質問をする経営者の方にも問題があります。
このような場合、恐らくは税理士に対し次のように質問をしているのではないでしょうか?
「このスキームに問題がありませんか?」
「このスキームどうでしょうか?」
このように聞かれればスキームとして100%完璧なものなどないのですから、税の専門家として『否認される可能性があります』とか、『もっといい方法があります』といった回答になってしまうのは仕方がありません。
逆にこの質問に対して「まったく問題ありません。」と答えてしまうほうが専門家としては問題です。
そこで、このような場合に次のように質問をかえてみてください。
「私がやりたいと言ったら、先生はこのスキームの遂行に協力していただけますか?」
経営者がやってもいいかな?問題がないかな?と頭を悩まされることには多かれ少なかれリスクはあります。
そのリスクを含めて『私を支援する意思がありますか?』と税理士に問うてみてください。
そこでかえってくる答えの第一声が誰のための答えであるか?それこそが税理士が貴方と向き合う真の姿です。
つい先日もお客様の経営者より次のような電話がありました。
社長:「うちには以前からお世話になっている社労士がいるんですが、その先生は全然アドバイスとかくれないんです。」
社長:「別のところで知り合った社労士の方が、いろいろな助成金のもらい方をアドバイスしてくださるんですが、その部分のお仕事だけお願いしてもいいものでしょうか?」
笹川:「まったく問題ありませんよ。」
笹川:「それで顧問の社労士さんが面白くないと言われるようであればそこまでの器の方だということです。」
社長:「そうですね。わかりました。」
企業は専門家に依頼する立場であって、専門家のご機嫌を伺う必要はありません。
だからといって横柄な態度でどんな失礼なことを言ってもいいというものではありませんが、その専門家をビジネスパートナーの一人と考えるのであれば、少なくとも何でも言い合える関係でありたいものです。

税理士、あるいは担当者の見極め方 ~ある視点~

自社の税理士を見極める基準につき、何よりも優先されるべきはコミュニケーションが円滑に取れるかどうかという点であることは、皆さまもお気付きのことと思います。
ただし、これは、あくまでも税理士を自社の又は経営者のパートナーとして考える場合に限られてきます。
「税理士にそこまで求めていない。申告を正確にやってもらえれば十分」
という場合には、実務能力を重視すべきであり、無理に税理士とのコミュニケーションの円滑さを求める必要はありません。
ここで、税理士であれば実務能力に差は生じないだろうとお考えの方がいたら、それは大きな間違いです。それこそ、例えればレベル1から10まで差がありますし、税理士という有資格者よりも、無資格者の担当者の方が実務能力が高いことも一般的にあり得ます。
コミュニケーションが円滑に取れるか否かは、皆さま自身がすぐにお気づきのことでしょう。しかし、実務能力については、よほどひどい仕事をする税理士を除き、“何か”問題が起こるまでは気付かないことの方が多いと言えます。
この、“何か”として一番頻度の高いのは税務調査ですが、税理士も税務調査がきっかけで解約にまで発展するケースが多いという事実を知っています。従って、近年は税理士自身が“税務調査対策”に力を入れるという変わった現象も起きています。
このように“何か”が起きない限り、皆さまには税理士の実務能力を見極めることが困難であるというのが現実でしょう(これを簡単にお伝えすることもできないのでご容赦を…)。
私は、税理士を替えたいとご連絡をいただいた際など、決算書や確定申告書のみならず、帳簿書類一式を確認させていただくこともありますが、顧問税理士が正確な書類を作成している場合は、その旨をお客様にお伝えするようにしております。
「書類を確認させていただくと、今の税理士様は、誠実なお仕事をされていると考えられます。どこにご不満がございますか?」
と来れば、当然ながら、パートナーとして物足りないというお話が出てきます。
もちろん、パートナーとしての資質(あえて能力とは言いません)、かつ、実務能力の両方を兼ね備えているのが理想ですが、現実的にそのような税理士は滅多におりません。
また、仮にパートナーとしての資質を兼ね備えていたとしても、相性の問題もあります。どんなに優秀な税理士でも、あらゆるタイプの経営者と“馬が合う”などあり得ません。
この点、一人で仕事をしている税理士は別として、ある程度のスタッフがいる税理士事務所では、お客様の担当を誰にするかを検討する際、その難易度や規模を基準に決めるのが一般的です。相性という視点で担当を決められることは数少ないと言えます。
当然ですが、難易度が高く、規模が大きいお客様には、ベテラン・中堅スタッフを中心に担当者を据え、難易度が低く、規模が小さいお客様には、そこそこのスタッフ又は新人スタッフを担当に据えることが多くなります。
これは、どんなに優秀な担当者でも、担当できるお客様の数に限度があるため、税理士事務所の経営を考えると、致し方ない面もある…とここでは言っておきます。
しかし、お客様からすると、この基準こそが「新人スタッフなんかを担当につけて、ふざけるな!」と言いたくなる元凶となっております。
とはいえ、優秀と言われる担当者と全てのお客様の相性が良いかどうかは別問題です。いきなり、新人のスタッフが、手強い経営者に気に入られることなども実際にありますので。
さらに、こうなってきたときによく起こるのが、優秀な(あるいは相性が合う)担当者が独立又は移籍する際に、お客様もその担当者に付いていってしまうことです。
これは事務所側からすると、非常に頭が痛い問題であり、税理士業界の永遠の課題と言っても過言ではありません。
お客様からすると、今まで問題がなかった担当者が辞めて、能力的に疑わしい担当者が付いてしまうくらいなら、辞める担当者に付いて行ってしまおうというのは当然のことです。
このような場合、お客様を奪っていった担当者が責められがちですが、本質的には事務所側の管理運営の問題です。
ただし、辞める担当者に付いて行く企業側には注意しなければならない点があります。
まず、担当者が独立した場合ですが、この税理士が勤め人であるときと、自ら事務所を構えたときでは“言うこと”、“対応方法”が変わる場合も見受けられるということです。
例えば、勤め人であったときにはそれほどうるさいことを言わなかったにもかかわらず、独立してからは、やたら専門用語を使うようになったり、慎重姿勢を取るようになったりするケースが増えるということです。
ある意味これは当然で、勤め人であったときは自ら最終責任を負う立場ではなかったため、積極的な提案が可能であったが、自分が最終責任を負う立場になると、無意識にリスク回避傾向が生じてくるため、以前よりも消極的な提案が増えるケースが見受けられます。
「そのようなことはない!」
と、独立したての税理士に怒られそうですが、あくまで私の経験則に基づいたお話です。そもそも、独立したら専門用語が増えるのは、自己防衛の現れですから、企業側はその税理士の対応の変化に注意しておく必要があります。
また、税理士事務所の移籍に伴って、その担当者に付いて行く場合は、さらに注意が必要です。そもそも税理士事務所ごとにやり方も異なりますし、報酬基準もバラバラです。最初は今までどおりが認められていても、徐々に移籍先の事務所方針に従うよう求められるケースがあります。
もちろん、せっかく馬が合う担当に付いて行ったのに、担当自体が変更することもありますので、注意が必要です。
このような問題は、税理士事務所側が、担当者に任せきりではなく、事務所全体でお客様をフォローする体制を採り、お客様に安心感を与えることが必要なのは言うまでもありません。
そして、企業側も担当者だけではなく、所長税理士又は幹部クラスともコミュニケーションを取り、「今の担当者が辞めたとしても、よろしくお願いしますよ」程度は牽制しておくというのも方法の一つです。
最後になりますが、近年は税理士も相見積もりが当然となってきましたので、コストを基準に税理士を選ぶ企業も増えてきました。
当然、コストで選ぶのは悪くありません。税理士だけが例外ではないのですから。ただし、
良い専門家に頼むには、相応のコストを覚悟しなければならないというのは、税理士に限らず、何事に対しても共通です。
以上、今までにもお伝えしてきたものもありますが、少し角度を変えて、税理士の見極め方をお伝えしてきました。
普段は頼りない税理士も、“何か”があったときには、最優先で自社の味方になってくれるのであれば、それは頼りがいがある税理士と言ってもよいでしょう。
自分を守らず、お客様を守ってくれる税理士…。
このような税理士に出会えたら、皆さまも一安心ですね。

税理士吠える!?

私のところに来られた相談者から聞いた話によれば、
「そんなことしたらスゴイ税金になるぞ!!」
税理士はそう言って吠えたのだそうです。
いったい税理士と相談者の間に何があったのでしょうか?
皆さんは『名義株』という言葉をご存じでしょうか?
言葉はご存じなくとも、字を見ていただければ、何のことかはおおよその察しがつくと思います。
その昔、株式会社の設立には7人の発起人(株主)が必要な時代がありました。
7人集まらなければ会社が作れなかったのです。
しかし、本当にお金をだすのは、オーナー社長だけで、あとは、親戚や知合いの名前を借りて、株主名簿に名前だけを載せておくということをしていた時代があるのです。
それによって生まれたのが『名義株』であり、名義株主です。
その他にも節税が温床となって、うまれた名義株もあります。
節税の世界にもトレンドがあります。
今では信じられないことですが、その昔、相続対策のとして『株式の分散』が勧められていた時代がありました。
これによって、実際には売買等が行われた事実がないにもかかわらず、株主名簿だけを書き換えるということが行われたのです。
ところが、最近では、中小企業の株式対策についてのトレンドは『分散から集中へ』です。
従来は何の問題視もされていなかった名義株ですが、会社法の改正以後、その存在が重要視されるようになり、一時は『モノ言う株主』という言葉も聞かれるようになりました。
つまり、会社経営は『税法』でするのではなく『会社法』で行うのだということです。
それでは、今まで重要視されてこなかった名義株が問題となってくるのはどういうときなのでしょうか?
それは、会社が儲かってきたときや、事業承継を意識したときです。
当初は一株数万円だった株価が、数十倍になっていることも珍しくありません。
そこで、本来の名義人である経営者は、名義株の名義を自分自身に戻そうということを考えるのですが、それに、今回の税理士が吠えたという訳です。
「そんなことをしたら贈与だから贈与税がかかる!」というのです。
つまり、税務上は、お金のやり取りがなく、株の名義変更が行われたときは、原則としてこれらの行為は贈与として取り扱われ、贈与税の認定がされるというのです。
しかし、これは名義株でない株の名義変更が行われた場合の話です。
名義株の名義変更は、『真正な名義回復』のための行為です。
そのためには、株式の真実の所有者が名義人以外の者であったことを証明することが必要です。
名義株の事実を証明するためのポイントは次の通りです。
・出資をした事実が、通帳等で判明するか。
・(株券を発行している場合)株券は誰が保管しているか。
・(配当が行われている場合)配当は誰が受取っているか。
・(配当が行われている場合)税務署に誰の名前で報告しているか。
・名義株主は株主であることの認識があるか。
・名義株主に株主総会の通知を出しているか。また、総会に出席していたか。
以上は、すべて状況証拠であり、間接証拠に過ぎません。
上記を裏付ける強力な証拠は、名義株主として登録されている本人から、『私は株主ではありません。』という“直接証拠”をとることです。
もちろん口頭ではなく、書面で残る証拠をとらなくてはいけません。
そのためにもっとも重要なことをいいます。
“死人に口なし”という状態になる前に、当事者が生きているうちに名義変更をしてしまうということです。
卑近な事例をお話いたします。
私の祖父が亡くなったとき、金庫の中にあった遺品の整理をしていると、地元では名前の知れた建設会社の決算書がでてきました。
決算書を見るとかなりの内部留保があり、株価もそこそこであることはすぐにわかりました。
すぐにその会社に連絡をとり、株主名簿に祖父の記載があるかの問い合わせをしました。
回答はすぐにあり、株主として記載されていることと、株数がわかりました。
ここでポイントになってくるのが、祖父が亡くなった今、この株が名義株なのか、それとも本当に祖父が出資したものなのかが、相続人にはわからないということです。
その後、相続による名義変更を申し出るとともに、変更後の株主名簿を送ってもらいました。
そこの社長さんからは、その後、何度か「株式を買い取らせていただきます。」という連絡をいただきましたが、その都度、「祖父から引き継いだものですので、大切に持たせていただきます・・」とご遠慮させていただいております。(笑)
皆さんの会社に将来問題となりそうな株主はいませんか?
株主が親族ばかりであれば安心ということは決してありません。
親族だからこそおこる問題もあります。
もしかしたらという目で、一度株主の点検をしてみてください。

税理士と、自己防衛のコンプライアンス

税務調査の負担軽減、優良企業は頻度少なく
国税庁、租税回避対策に力点

という見出しで、8月下旬に日経新聞に掲載されていた記事を読んだ方も多いのではないでしょうか。
以前から国税庁が進めている大企業の税務コンプライアンスの維持・向上のために、「税務に関するコーポレートガバナンス確認書」を配り、下記の状況把握をしているというものです。
1.トップマネジメントの関与・指導状況
2.経理・監査部門の体制・機能の整備状況
3.内部牽制の働く税務・会計処理手続きの整備状況
4.税務に関する情報の社内への周知状況
5.不適切な行為に対するペナルティの適用状況
業界紙やセミナー等では以前より情報が出ていましたが、一般新聞でも出てきたということは、本格的に税務調査対象企業の選別を始めるということでしょう。
もちろん、まだ大企業レベルですが、中小企業においても書面添付の提出等により税務調査の対象先の絞り込みが行われていますから、この辺を意識していくのは中小企業の経営者にとっても重要なことだと考えます。
一概にはいえませんが、企業の税務コンプライアンスがしっかりしていれば、税務調査でも大きな問題が出る可能性は低くなるというのは、業界人の共通認識です。
さて、ここで中小企業の税務コンプライアンスといった場合はどうでしょう?
言葉は悪いですが、「えいっ! やー!!」でも十分通用してしまう泥臭い側面も有しているのが現実です。
皆さまも、少しは心当たりがあるのではないでしょうか・・・。
「コンプライアンス? 何それ? 適当にやっておいてくれればいいよ」
税理士がお客様にこんなことを言われてもおかしくない世界です。
従って、税務署は基本的に中小企業の経営者を疑ってかかるのです。
こういう世界だと税務署も認識していますから。
そういう意味では、税務にかぎらず、コンプライアンスを徹底した方が、企業としても評価を受けやすいということになるのでしょうか・・・。
しかーし、
コンプライアンス重視といった場合の問題は、建前として「お客様のため」といいつつ、本音は事業者が自らを守る術にも最大限利用しようとすること。
つまり、法令遵守さえすれば、問題ないのだという意識。
謝罪会見している大企業経営者の言葉を聞いていると、コンプライアンスの問題があったから、こういう事態に発展したと言わんばかりの口振り。コンプライアンスを掲げれば、さも問題解決が行われるかの如く。
もちろん、コンプライアンスはとても大切なことです。
ただし、それが自己防衛につながったとき、それは良い仕事につながるのか?という懸念が出てきます。
それでは、税理士のコンプライアンスはどうなのでしょうか?
もともと、税理士は税法の「法律家」たる側面を有しています。
税理士法においても守秘義務が強く要請されているため、コンプライアンスが極めて重要な職業です。
しかし、税理士の主なお客様は、あくまで中小企業・・・。
昔は、良い意味での「お任せ」が、税理士にとっての仕事でもありました。
それでは、「お任せ」されていた税理士が、悪い意味での仕事を行うとどうなるでしょう。
【税理士職業賠償責任保険の保険金支払い状況】

-税理士職業賠償責任保険事故事例(2012年度版)・日税連保険サービス-
昔はこういうミスも覆い隠されていました。なぜなら、「お任せ」しているので、お客様の方も税理士のミスに気付かない。
しかし、情報が溢れかえった現在では、お客様も気付けるくらいの環境になってきました。
そのため、税理士も自己防衛に走ります。つまり、これについては責任を負えない、こういう条件下でしか仕事をしない、分からない仕事はやらない・・・etc.
そうして、仕事がどんどん細分化されていき、細分化されると単価も下がるため、お客様の方も細分化して依頼を行う。
確かに、お互いに責任の棲み分けという意味ではよいのかもしれません。
しかし、本当にそれでよいのでしょうか?
本来、税理士を信頼して任せたい。いい意味で「丸投げ」したいというのが、中小企業の皆さんの本音ではないでしょうか。
そして、税理士も「私に任せてください!」という態度で臨んで欲しいと、そうお考えではありませんか?
ですが、税理士自体が、自らの仕事に対して逃げ腰になってきています。。
こうなってくると、「責任を負わない」という姿勢が、中小企業と税理士の関係性をどんどんドライなものにしていく。
そうすると、税理士は本当に事務処理屋になってしまい、相談相手をなくした中小企業の目の前に、得体のしれない「コンサルタント」が出てくる。
皆さんも経験則としてご存じのとおり、当たりの「コンサルタント」に当たることなど、そうそうないのです。
また、税務・財務のこと“以外に”に精通しているコンサルタントに企業の重要な部分のかじ取りを「お任せ」するのが長期的に見て本当に良いのかどうか。
かつて、マーケティングに特化したコンサルタントの指示に従って、どんどん集客を仕掛けたところ、資金繰りに行き詰って破綻したという企業の話を聞きました。
確かに、税理士の職務に「資金繰り」などという項目はどこにも出てきません。
webサイト上などでの売り込み文句としては使われるものの、契約書などには絶対記載がありません。
それは、税理士の“コンプライアンス上”、当然のことかもしれません。
ですが、そこすらも業務を細分化して、逃げの姿勢を取ってしまっては、税理士が求められている社会的な役割って何なのだろうか?と考えてしまいます。
その業務に関しては、お金をもらっていないのでできません。
それ自体は正しいのです。
ビジネスですから。
だから、顧問という曖昧さを残した制度があるのであり、ある程度の幅をもって「お任せ」されているのではないかと考えます。
「その点について、伝える義務がなかったから、伝えなかった」
これを税理士が自ら放棄したら、日本にいる税理士が、日本にある企業の申告書作成業務を独占しなければならない理由などなくなります。
既に海外への外注など特別なことではなくなってきていますし、コストも恐ろしいほど低いですしね。
少なくとも、私は税理士がコンプライアンスを自己防衛に使い始めれば、この業界に未来はないと思います。
皆さんも、税理士に違和感を受けるのは、税理士が自己防衛をしているときではないでしょうか?

コーヒーブレイク ~税理士探しのための、業界事情~

今回は、税理士業界のお話をさせていただきます。
今年の税理士試験も8月上旬に終わりました。
税理士業界の就職及び転職活動は、税理士試験が行われる8月前後と、合格発表が行われる12月から1月に掛けてがピークです。
しかし、近年、どの税理士事務所も採用活動で悩まされます・・・。
それもそのはず。下記データをご覧ください。

(注)平成25年度データについては、近年の平均データを利用して算出。
下の折れ線グラフが税理士試験の受験者数の推移ですが、ものの見事に減少傾向です。受験者数の減少は、この業界で働く人数にも直結します。
就職難、資格人気の時代といえど、税理士試験の人気がなくなっているのは、その試験の難易度に比べて、年収が割に合わないといわれるのも要因です。
弁護士試験、公認会計士試験ほど難しくないといわれますが、1科目ごとの科目合格制が採られ、さらには1度合格した科目は継続的に有効なので、働きながら受験する人が圧倒的に多いのが税理士です。そのため、逆に5科目全てに合格するまでには長い期間が必要となります。合格まで10年掛かるというのも珍しくはありません。
また、受験しながら働くため、実務経験も中途半端になります。従って、一般的な事業会社で働く30歳での社会人経験年数と、税理士事務所で働く30歳での社会人経験年数を比べた場合、半分にも満たないというのが現実です。
世間一般では最も戦力になり始める年齢でも、まだルーキークラスというのが税理士業界なのです。
さらに、税理士の収入は、一般の会社員に比べても大差はありません。
税理士事務所自体、小規模経営(10人未満が9割前後)がメインですので、中小企業の会社員と待遇は変わりません。大手税理士事務所に入れる人数などごく限られています。
また、最近はブラック企業が話題ですが、この業界はブラックが当たり前だよというくらいの状況です(詳しく説明すると色々問題がありそうですので・・・)。
独立税理士となると少しは状況は変わりますが、開業して間もない税理士など、勤め人よりも収入が少ない場合もあり、高収入の税理士は“古き良き時代”から事務所を構えている高年齢の方がほとんどではないでしょうか。
こうなってきたら、若者には夢も希望もない・・・。
また、お客様から頂ける報酬も減少傾向にあり、事務所経営が苦しい中、人件費の削減と共に、とにかく効率化を図ろうとします。お客様からの余分な業務は対応せず、事務的な対応に終始する。
せっかくこの業界に入ってきた若者に、このような事務的な仕事を叩き込めば、どんなに素材が良くても、型にはまった仕事しかできなくなります。
税理士業務というのは、やはり経験がものをいうので、事務作業だけを叩き込まれた“事務処理屋”が増えれば増えるほど、中小企業の経営者が求めるアドバイザーはどんどん減少していきます。
若手に、経営者ときちんと話せる人材が少なくなってきているのも、このような業界の傾向が反映されているように感じます。
ただでさえ、そのような人材が集まる業界であるにもかかわらず・・・。
また、どんなに経験豊富なベテランの税理士が良いとはいえ、事業承継で世代交代した若手経営者や、ベンチャー企業の若手経営者にとっては、やはり50~60代の税理士はとっつきにくいものです。
当然のことながら、税理士登録者数は増えていますが、受験者数が減れば減るほど、税理士の平均年齢は上がります。
平成16年の税理士実態調査では、20~30歳代の税理士の割合は約11%(40歳代でも約16%)です。これが約10年前のデータであり、この間に増加した税理士の割合が全体の約7%くらいですので、現在は20~30歳代の税理士の割合が10%を切っていてもおかしくありません(しかも、実務経験年数は10年未満が大半!)。
正直、これは業界の危機的状況ともいえるのではないかと思いますが、この状況がお客様である中小企業の経営にも悪い影響を与えかねません。
税理士をお探しの経営者からお話をうかがうと、フットワークの良い若手税理士を探されている場合が多いですが、業界的にはこのような事情もありますので、そう簡単には見つからないということもご理解いただいておく方がよろしいのではないかと考えます。
また、経営者にとっては税理士報酬は低ければ低いほど良いと思われるので、現在のような報酬減少傾向は歓迎すべき状況でしょうが、業界的には、付加価値が高い業務を行いにくい環境ともいえます。
さらに、WEB等を利用して積極的に広告展開を行う税理士は若手に多く、営業も比較的こ慣れていますが、実際の実務能力的にはいかがなものでしょうか・・・。
少し疑問があります。
実務経験もしっかり積み、フットワークもよく、現在の経営環境にも精通しているとなると、アラフォーあたりの中堅どころからが一番バランスが取れているように感じます。
日常のやり取りもさることながら、非常時の対応能力は経験がものといいます。
そういう意味では、報酬を比較的高く設定している中堅税理士というのは、その辺の構造も理解した上で、自分の能力に自信を持っている証拠かもしれません。
これらの事情はあくまで傾向を踏まえた上でのお話であり、報酬が高い税理士を探せという訳ではありませんが、これも税理士の探し方の手段の一つといえるのではないでしょうか。

コーヒーブレイク ~税理士探しのための、業界事情~

今回は、税理士業界のお話をさせていただきます。
今年の税理士試験も8月上旬に終わりました。
税理士業界の就職及び転職活動は、税理士試験が行われる8月前後と、合格発表が行われる12月から1月に掛けてがピークです。
しかし、近年、どの税理士事務所も採用活動で悩まされます・・・。
それもそのはず。下記データをご覧ください。

(注)平成25年度データについては、近年の平均データを利用して算出。
下の折れ線グラフが税理士試験の受験者数の推移ですが、ものの見事に減少傾向です。受験者数の減少は、この業界で働く人数にも直結します。
就職難、資格人気の時代といえど、税理士試験の人気がなくなっているのは、その試験の難易度に比べて、年収が割に合わないといわれるのも要因です。
弁護士試験、公認会計士試験ほど難しくないといわれますが、1科目ごとの科目合格制が採られ、さらには1度合格した科目は継続的に有効なので、働きながら受験する人が圧倒的に多いのが税理士です。そのため、逆に5科目全てに合格するまでには長い期間が必要となります。合格まで10年掛かるというのも珍しくはありません。
また、受験しながら働くため、実務経験も中途半端になります。従って、一般的な事業会社で働く30歳での社会人経験年数と、税理士事務所で働く30歳での社会人経験年数を比べた場合、半分にも満たないというのが現実です。
世間一般では最も戦力になり始める年齢でも、まだルーキークラスというのが税理士業界なのです。
さらに、税理士の収入は、一般の会社員に比べても大差はありません。
税理士事務所自体、小規模経営(10人未満が9割前後)がメインですので、中小企業の会社員と待遇は変わりません。大手税理士事務所に入れる人数などごく限られています。
また、最近はブラック企業が話題ですが、この業界はブラックが当たり前だよというくらいの状況です(詳しく説明すると色々問題がありそうですので・・・)。
独立税理士となると少しは状況は変わりますが、開業して間もない税理士など、勤め人よりも収入が少ない場合もあり、高収入の税理士は“古き良き時代”から事務所を構えている高年齢の方がほとんどではないでしょうか。
こうなってきたら、若者には夢も希望もない・・・。
また、お客様から頂ける報酬も減少傾向にあり、事務所経営が苦しい中、人件費の削減と共に、とにかく効率化を図ろうとします。お客様からの余分な業務は対応せず、事務的な対応に終始する。
せっかくこの業界に入ってきた若者に、このような事務的な仕事を叩き込めば、どんなに素材が良くても、型にはまった仕事しかできなくなります。
税理士業務というのは、やはり経験がものをいうので、事務作業だけを叩き込まれた“事務処理屋”が増えれば増えるほど、中小企業の経営者が求めるアドバイザーはどんどん減少していきます。
若手に、経営者ときちんと話せる人材が少なくなってきているのも、このような業界の傾向が反映されているように感じます。
ただでさえ、そのような人材が集まる業界であるにもかかわらず・・・。
また、どんなに経験豊富なベテランの税理士が良いとはいえ、事業承継で世代交代した若手経営者や、ベンチャー企業の若手経営者にとっては、やはり50~60代の税理士はとっつきにくいものです。
当然のことながら、税理士登録者数は増えていますが、受験者数が減れば減るほど、税理士の平均年齢は上がります。
平成16年の税理士実態調査では、20~30歳代の税理士の割合は約11%(40歳代でも約16%)です。これが約10年前のデータであり、この間に増加した税理士の割合が全体の約7%くらいですので、現在は20~30歳代の税理士の割合が10%を切っていてもおかしくありません(しかも、実務経験年数は10年未満が大半!)。
正直、これは業界の危機的状況ともいえるのではないかと思いますが、この状況がお客様である中小企業の経営にも悪い影響を与えかねません。
税理士をお探しの経営者からお話をうかがうと、フットワークの良い若手税理士を探されている場合が多いですが、業界的にはこのような事情もありますので、そう簡単には見つからないということもご理解いただいておく方がよろしいのではないかと考えます。
また、経営者にとっては税理士報酬は低ければ低いほど良いと思われるので、現在のような報酬減少傾向は歓迎すべき状況でしょうが、業界的には、付加価値が高い業務を行いにくい環境ともいえます。
さらに、WEB等を利用して積極的に広告展開を行う税理士は若手に多く、営業も比較的こ慣れていますが、実際の実務能力的にはいかがなものでしょうか・・・。
少し疑問があります。
実務経験もしっかり積み、フットワークもよく、現在の経営環境にも精通しているとなると、アラフォーあたりの中堅どころからが一番バランスが取れているように感じます。
日常のやり取りもさることながら、非常時の対応能力は経験がものといいます。
そういう意味では、報酬を比較的高く設定している中堅税理士というのは、その辺の構造も理解した上で、自分の能力に自信を持っている証拠かもしれません。
これらの事情はあくまで傾向を踏まえた上でのお話であり、報酬が高い税理士を探せという訳ではありませんが、これも税理士の探し方の手段の一つといえるのではないでしょうか。

なぜ、あのコストだけ手付かずになるのか?

社長:「笹川先生、ちょっと相談があるんですが・・」
笹川:「どうされました?」
社長:「いつも労務関係の仕事をお願いしている社労士さんが、月額1万円での顧問契約をお願いできないかと言ってきてるんですが。」
笹川:「それで、社長はどうされるんですか?」
社長:「今、お願いしている仕事は算定基礎と労働保険の申告だけですから、それだけなら年間12万円もかからないんですよ。」
笹川:「それであれば、(顧問契約は)必要ありませんよね?」
社長:「そうなんですが、何か(顧問契約した方が)いいことがあるんでしょうか?」


長引く不況による業績低迷の中、多くの中小企業がコスト削減に取り組んでいます。
私の仕事柄お客様より、よく求められるアドバイスの一つに「ウチは他とくらべて、このコストが多く掛かっているから、改善が必要なものはありますか?」というものがあります。
少しでも余分なコストは削減し、業績を維持しようと努力する経営者の切実な思いが伝わってきます。
ところが、経営者の思いとは裏腹に間違ったコスト削減が行われていることが少なくありません。
コスト削減という言葉から最初にイメージをするのは、水道光熱費や事務用品の無駄遣いを無くしたり、飲み会の回数を減らす等の『節約』によるものです。
これらがまったく効果がないとは言いませんし、電力を大量に消費する業種であればその効果は非常に大きなものとなりますが、一般的には、それほど大きな効果があるわけでもなく、ただ単に従業員の士気を下げてしまうのが関の山です。
では、どのようなコストを削減すればよいのでしょうか?
一つは、いうまでもなく『仕入』や『運賃』『外注費』などの売り上げの増加に伴い増える経費で、これらは『変動費』といわれます。
ビジネスは売り上げから、これらの変動費を差し引いた限界利益をいかにして最大にするかを追求するものですから、これを考えない経営者はいるはずがないと思うのですが、現実にはそうでもありません。
下の図表をご覧ください。
これは、利益増大の方策について難易度と成長性の関係をあらわしたマトリクスです。

変動費の改善は、仕入先との交渉が必要となり軋轢を生ずるため、多くの経営者が手を付けることに躊躇するのです。
しかし、仕入等の変動費はひとたび下げることに成功すれば、その効果は売り上げ増加につれて次第に増大していくため、もっとも気を付けなければならないコスト削減です。
では、変動費とは反対に売り上げが上がろうが下がろうと変動しない経費はどうでしょうか?
これは『固定費』と呼ばれ一般的に行われるコスト削減がこれです。
そしてコスト削減の視点からみた場合、固定費は次のマトリクスによって分類することが可能です。
これは、固定費を継続性と売上貢献性の関係をあらわしたマトリクスです。

このマトリクスのなかでもっとも削減しなければいけないコストは、売上への貢献度が低く、かつ、支出が継続的に行われている左上の区分に属するものです。
ビジネスにおいてコストの考え方は、例外なく、投下額以上の価値を生むものか、ビジネスの遂行上やむを得ない支出に限定されなければなりません。
例えば、事務用品は左上に該当するコストであるため、削減が必要なコストであることは間違いありませんが、その影響額と従業員の士気に与える影響を勘案する必要があります。
また、水道光熱費については店舗や設備の電力もあるため削減にあたっては一考の余地があります。
それでは、冒頭の経営者の相談にあった社労士の顧問料はどうでしょうか?
従来、必要な手続きのコストを支払っていて何の問題もなくビジネスをやってこれたものを、顧問契約にかえて、毎月決まったコストを支払うことにどのような利益があるのでしょうか?
考えるまでもありません。
そこに利益はありません。
「これだけお願い」と専門家に頼んでいる場合には、専門家は頼まれたことしかしません。
しかし、顧問契約をしている場合には、スポットで業務をお願いする以上の期待がそこにはあるはずです。
しかし、その期待こそが経営者の心の弱さであり、一方的な妄想であるといっても過言ではありません。
ところが、多くの経営者が妄想に取りつかれ意味のないコストを支払続けています。売上貢献度が無く、かつ継続的に支出されながら、まったくの手付かずできているコスト、それは税理士や会計士に支払っている顧問料です。
社労士や弁護士、司法書士の顧問料はなくても、税理士の顧問料はほとんどの会社で出てきています。
しかも、そのコスト削減は最後まで手付かずにされているのが現実です。
それは何故か?
それは、会社にとってもっとも重要なお金の部分やプライベートの部分まで見られているという勘違いによる負い目からきているものです。
本当に税理士、会計士への顧問料はそこまで削減を留まる価値があるものでしょうか?
私はこう考えています。
私たち専門家の顧問料とは、観客が歌舞伎役者などに渡す『御捻り』のようなものだと。
私は顧問料をいただいているお客様にその顧問料以上の貢献をするために、常にお客様のことを意識し、何かお客様のお役に立てる情報があればすぐに連絡をするようにしています。
また、社長が実現したいといったことは最大限の知識と智恵を絞ってそれを実現するための方法を考えます。
それが私がお客様から頂いている顧問料の意味です。
みなさんの顧問税理士は会社のためにまたは社長のために、顧問料以上の価値を提供してくれているでしょうか?
もしも、顧問料以上の価値がない顧問税理士であれば、すぐに顧問契約は解除し、申告書の作成だけを依頼するべきです。
そのうえで、本当に相談のできる税理士に顧問を依頼をすべきです。
弊社では、税理士のセカンドオピニオンサービスを提供しています。
今の顧問税理士に違和感のある方は一度弊社のサービスをご覧になってみてください。

悪い税理士

「先生の事務所は、“経営革新等支援機関”ですか?」
この質問は、悪い税理士をあぶり出すための強烈な踏み絵となります。
経営革新等支援機関とは、税務や金融に関する知識や支援経験が一定レベル以上の法人・個人として、国から認定された機関のことをいいます。
(以下『認定機関』。)
その認定機関と付き合うことで、中小企業は、信用保証料の引き下げや、特別償却・税額控除など、様々なメリットを受けることができます。
それでは、具体的にどの位のメリットを享受できるのか、特別償却・税額控除を例として説明していきます。
H25年度の税制改正で、『商業・サービス業・農林水産業活性化税制』が創設されました。 この制度は、認定機関のアドバイスによって取得した固定資産(建物付属設備60万円以上、器具備品30万円以上)について、30%の特別償却または7%の税額控除を認めるものです。
例えば、100万円の設備投資を行い、税額控除を受ければ7万円の節税となります。
200万円の設備投資であれば、14万円の節税です。
このように、付き合っている税理士が認定機関か否かによって、会社に残るキャッシュが変わるのです。
「それにしても、その僅かな節税額だけで、悪い税理士を判断するというのは大袈裟ではないか?」
そのような疑問を持たれた方もいるかもしれません。
確かに、『私(お客様)を大切にしてくれる、様々な情報を教えてくれる、単純に馬があう』など、目に見える節税額よりも大事なことはたくさんありますし、むしろ、そのような定性的な部分を重視して税理士の善し悪しを判断したいものです。
では、なぜ私が今回の認定制度を踏み絵と言い切るのか?
それは、認定機関の認定を受けることが、容易だからです。
もしも、この認定制度自体が高いハードルであり、認定を受けることが難しいのであれば、様々な理由から認定を受けていない税理士がいることでしょう。
「先生は、腕はいいのだが、商売っ気の無さから企業規模を拡大せず、規模基準によって認定から外れた。」
「先生は、納税者第一の信念で、税務調査でも果敢に闘う。その姿勢が(国から見れば)仇となって、国の認定審査において外れてしまった。」
等々。
しかし、繰り返しますが、認定機関の認定を受けることは簡単なのです。
上記のような理由で認定から外れることはあり得ません。
認定を受けている税理士と受けていない税理士の違いは何か、と言われれば、『申請をおこなったか否か』、ただそれだけなのです。
もう少し言うならば、『申請をおこなっていない=仕事を放棄している』と言ってもいいかもしれません。
認定制度が施行されたH24年8月段階で、信用保証料ディスカウントの話は漏れ伝わっていました。
H25年1月に発表された税制改正大綱において、特別償却・税額控除の制度は明記されておりました。
(新聞報道レベルの話ですから、情報リテラシー云々は関係ありません。)
にもかかわらず、平成25年4月26日現在で、認定機関は8,165機関しかありません・・・。(税理士登録者数は73,725人)
認定機関の中には金融機関や、弁護士・会計士も含まれており、また、(分母となる)税理士登録者数の中には勤務税理士が含まれているため正確な数字は算定できませんが、おそらく、認定を受けている税理士は全体の10%~20%といったところでしょう。
認定を受けていない(つまり、申請を怠けている)ことにより、節税できなかった金額について、その税理士はどう言い訳するのでしょうか?
私は、新聞報道レベルの情報も活用できず、お客様の懐を痛めている税理士は、悪い税理士だと思います。
「先生の事務所は、“経営革新等支援機関”ですか?」
私が経営者であれば、必ずこの質問をおこないますね・・・。
※弊社エー・アンド・パートナーズ税理士法人は、認定経営革新等支援機関です。

税理士に期待をすると痛い目にあうかも知れない

今年も税制改正が発表となりました。
皆さんは税制改正の内容を、誰から、どのように聞かされているでしょうか?
顧問の税理士がいらっしゃる方は、「うちは税理士がいるから大丈夫!」と思っていらっしゃいませんか?
しかし、それは、大きな間違いです。
顧問の税理士は、税制改正が皆さんにどんな影響があるかなど考えてはいません。
もちろん、すべての税理士がそうだとは言いません。
税理士は親切に、「○○さん、こうすれば得だよ!」とは教えてはくれません。
先日も、こんな出来事がありました。
新しく、私どものお客様となっていただいた会社の社長さんとお話をしていたときのことです。
笹川「社長、新しく人を採用した場合、税金が安くなるのはご存じですか?」
社長「エッ、そうなの?」
笹川「エッ、ご存じなかったんですか?それじゃあ何の手続きも・・・。」
社長「そんな改正があったなんて全然聞いてなかったよ!」
社長「なんで○○先生教えてくれなかったんだろう?」
社長「300万も損したよ・・・ヒドイでしょ!」
以前の顧問税理士から、昨年の税制改正で新しく導入された制度についての説明を受けていなかったために、本来は受けられるはずだった特例が受けられなくなったというのです。
これは決して特別な話しではありません。
表面化していないだけで、皆さんも受けられるはずの特例を受けていない可能性は十分にあります。
税制改正による恩恵を受けることができるのは、問題意識をもって自ら情報を求めた人だけです。
それでは今回の改正内容のうち、知らなかったでは済まされない、経営者にとって関わりが大きい項目のみをピックアップしてご紹介いたします。
○会社関係
1.給与が増えたら税金を減らす制度を新設
2.人が増えたら税金を減らす制度が拡大
3.生産設備を導入した場合の特例を新設
4.試験研究を行った場合の税金の控除額を引き上げ
5.ソーラー設備等の投資減税について、対象資産を追加、適用期限も延長
6.全額損金算入となる交際費枠を増額
7.領収書に貼る印紙の免税点を5万円(現行3万円未満)に引上げ
○個人関係
1.最高税率を45%に引き上げ(5%UP)
2.住宅ローン控除を400万円に倍増(認定住宅は500万円)
3.私募債等の利子等について20%源泉分離課税から除外
4.上場株の売却損と非上場株の売却益との損益通算禁止
5.少額の株取引が非課税となる口座の開設期間を延長
○相続関係
1.相続税、贈与税の最高税率を55%に引き上げ(5%UP)
2.基礎控除額が現行の6割に引き下げ
3.教育資金の一括贈与が非課税となる
4.相続時精算課税制度が孫まで可能に
5.事業承継税制の適用要件が緩和
ご覧いただいたとおり、今回の改正は『減税の大バーゲンセール』です。
しかし、安心をしてはいけません。
所得税、相続税の最高税率の見直し等、今後の経営に与える影響が大きい項目もしっかりと入っています。
しかも、政府はしっかりと隠し玉も潜ませていました。
一部の知っている人だけが得をしている、あの節税スキームにも網を掛けてきました。
もう時間がありません。
税制改正は一見すると価値のないものに見えるかも知れません。
しかし、私たちの視点から見ると大きなビジネスチャンスに見えるものもあります。
そこで、今年もいち早く税制改正のポイントを皆さまにお伝えしたく、岡本と笹川による税制改正対談をお届けいたします。
中小企業経営者のための
『新しい税金はどうなるのか?- 平成25年度税制改正セミナー -』
単なる改正の解説ではありません。
経営にどのような影響があるのか、そしてどうのように利用していくべきか?
すべてが経営者目線! 実務家目線でベテラン二人が言い過ぎ覚悟でお届けします!
ご期待ください。