いかに固定費を削減するか

昨年9月から、ほとんどの事業者の固定費が『0.177%』増加しています。
それも、経営者の皆さまが知らない間に・・・。
『0.177%』とは、どの程度のインパクトなのか考えてみましょう。
平均年収400万円の従業員が10人いる会社の場合、年額で約70,000円の増加となります。
従業員が50人いる会社の場合には、年額で約350,000円の増加となります。
その金額を多いと思うか、少ないと思うかは人それぞれですが、何もしていないのに、しかも、知らない間に固定費が増えているというのは、いい気がしません・・・。
昨年9月から増えている固定費の正体、それは“厚生年金保険料”です。
厚生年金は、平成16年より、毎年9月に0.177%(雇用主負担)ずつ増え続け、平成29年には(平成16年から比べると)、累計2.36%も増えることになります。
2.36%のインパクトは、先ほどの例に当てはめると、従業員10人で944,000円、従業員50人では4,720,000円にものぼり、もう無視できる金額ではなくなります。
“社会保険料は毎年上がる”、ということを知っている経営者の方はたくさんいらっしゃいますが、皆さん「微々たるものでしょ?」という認識を持っています。
確かに、単年でみた増加率は僅かなものなのですが、だからこそ、『茹でガエル』のように茹でられていることが認知できず、いつの間にか・・・、という事態になってしまいます。
そうならないよう、私たち専門家は皆さまに情報をお伝えしていくのですが、皆さまも、情報には敏感でいるよう、アンテナは常に張っておいてください。
さて、法人の固定費を考えた場合、社会保険料同様、年々増えていくものの代表格は“広告宣伝費”です。
「CPOが昨年よりも跳ね上がった!」と言われても、それは当然のことで、市場は、“うまくやっている”ものを見逃しはしません。
成功している広告であれば、当然ながら、他者に真似をされ、その結果、オリジナルが同じことを続けていれば、顧客獲得単価は上がってしまいます。
このように、主要な固定費(人件費や広告宣伝費など)は、毎年上がっていくものです。
にもかかわらず、そのような認識を持たずに経営計画を立案されている経営者の方々が、世の中には非常に多いように感じます。
「固定費はそんなに変わらないから、据え置きで。」
そのようにして立案した経営計画は、計画でも何でもなく、単なる、今年度のカーボンコピーでしかありません。
主要な固定費は増加する・・・。
しかし、売上がそう簡単に上がる時代ではない・・・。
でも、ある程度の利益は確保したい・・・。
となると、考えなければいけないものは、他の固定費の削減です。
固定費の削減を考えた場合、まず意識しなければいけないのは、有名な『パレートの法則』です。
「80対20の法則」と呼ばれることが多く、“全体の大部分は、ごく一部の要素が生み出している”、という説です。
例をあげるならば、主要顧客の20%が、売上の80%を生み出している、とか、社員の20%が、80%の効果を生み出している、といったことになるのですが、これは固定費を考える際にも当てはまります。
もともと僅かしかない経費を、どれだけ煮詰めて削減しようとしても、さほどの効果は望めません。
そうではなく、重要な20%の経費を財務諸表から抜き出して削減計画を策定する。
そして、実績が予算に対してどのような進捗になっているかを管理することで、随分と無駄は省けるものです。
繰り返しますが、大切なのは、“重要な20%部分”を意識する、ということです。
弊社代表岡本の著書『実学 中小企業のパーフェクト会計』においても、『パレートの法則』を用いて、固定費削減の方法が説明されています。
ご興味のある方は、是非ともご一読ください。