法人成りブーム再来か!?

長らく滞っていた平成23年度税制改正ですが、民主、自公3党で合意の
とれた部分だけを抜き出し法案化したことでようやく可決にこぎつけました。
実は、今回成立した項目の中には『消費税の免税事業者要件の見直し』が
含まれていることから、これを機に個人事業者が法人となる、
『法人成り』の検討を始めた事業者も少なくありません。
私も、この2,3ヶ月の間に数人の方々からご相談を受けました。
平成23年度中に法人を設立することにより、現在、新設法人に認め
られている、設立から2年間の消費税の『免税』を受けることが狙いです。
これについては以前にお話していますのでそちらをご覧ください。
その法人成りの質問をいただく際に、よくいただく質問が
『社会保険に加入するとどうなるのか?』というものです。
社会保険に加入した場合、従業員と会社で保険料を折半することと
なっていることから、その経費増が気になるというものです。
個人事業者については、適用業種であって常時5名以上の従業員を
使用する場合には社会保険の加入が強制となっています。
従業員が5名未満の場合や、農林業、美容業、飲食店などの一部の
業種については、社会保険の加入が『任意』となっており、負担増となる
ことから加入するケースは少ないと思われます。
しかし、法人の場合には、従業員数に関係なく社会保険への加入が『強制』
されており、たとえ一人オーナー会社であっても、社会保険への加入が強制
されることとなります。
その他にも社会保険への加入が注目されている理由があります。
それは、ハローワークが行っている『求人』の取り扱いです。
多くの中小企業はハローワークを利用し求人を行っていますが、
近年、社会保険に加入していない事業所について、ハローワークでの
求人を受け付けない動きが強まってきています。
社会保険に加入していない会社は求人を出しませんということです。
この件に関して随分前に厚生労働省から報道発表されています。
『ハローワークにおける厚生年金への加入が明示されていない求人への
社会保険事務所と連携した対応等について』
http://www.mhlw.go.jp/houdou/2005/04/h0419-5.html
これにより、社会保険加入への関心が高まっています。
それでは、社会保険に加入した場合に会社が社員一人当たりに支払う
保険料がいくらになるかご存知でしょうか?
会社が支払うこととなる保険料の計算は次のとおりです。
(注)
(年収×25.538%)÷2
(注)
健康保険料(東京) 9.48 %
厚生年金保険料 16.058%
以下のケースで負担することとなる保険料を計算してみます。
≪設例≫
年収平均500万 従業員数 10名
(500万円×10名25.538%)÷2=6,384,500円
いかがでしょう、社会保険に加入した年から、これだけの利益が吹っ飛ぶ
計算になります。
利益率が50%の会社なら、売上高にして約1280万円に相当する利益です。
それだけではありません。
厚生年金の保険料はこれから毎年アップすることが
すでに決まっています。
それ以外にも『昇給』による社会保険料の増加も考えなければいけません。
たとえ会社は成長しなくても、ある程度のレベルの社員を雇っていたい場合には、
一定の昇給は、その社員の生活最低保障として必ず必要になってきます。
その場合、社会保険負担も昇給に比例して必ず増加していきます。
みなさんは、この負担を無視できるでしょうか?
税務上の有利不利は、経営上における重要な判断ポイントとなります。
しかし、それだけを基準として法人成りを考えることは明らかに間違っています。
目先の利益にとらわれ、将来にわたる重要な判断を誤らないように
していただきたいと思います。
そこで、今回、社会保険に加入する場合のメリット・デメリットと
法人成り・経営上の判断ポイントについての解説音声を作成いたしました。
詳しくは、こちらをご覧ください。
この音声に収録されている内容は、その辺の書籍には書いていない
『経営者のための社会保険の知識』です。
この音声をお聞きいただければ、経営者に必要な社会保険の知識は十分
に修得いただける内容となっています。
社会保険の加入時の参考にしていただければ幸いです。
詳しくは、こちらをご覧ください。