次の過払いターゲット

過払い利息、未払い残業代・・・。
弁護士、司法書士、社会保険労務士などが入り乱れ、返還支払請求が
ブームとなったのはご存じのとおり。
よそに負けじと広告を出しまくり、これを扱う業界ではバブルに沸いていました。
書類を作って送りつけるだけで稼げたら、本業をやっているのがアホらしく
なるのは当然なのでしょうね。
そうなれば、「次の獲物は・・・」と考えるのが当然の成り行きです。
最近、我々の元にも話が舞い込んでくるのが『固定資産税』の還付請求。
請求相手は市町村。
つまり、「税金を返せー!」ということ。
皆さん、『固定資産税の納税通知書』を詳しくご確認されたことはありますか?
不動産の固定資産税は、評価額に基づき市町村が“一方的に”通知してきます。
その評価額も市町村が“一方的に”算出するため、ここに歪が生じる訳です。
そこで、不動産鑑定士等の専門家に不動産を再評価してもらい、市町村が
算出した評価額よりも低くなるようであれば是正してもらうのです。
評価額の是正が認められれば、過年度分の固定資産税が還付されるとともに、
今後の固定資産税も減額されることになります。
そして、この固定資産税の還付請求を請け負っている業者への報酬は、
ほとんどが成功報酬です。
固定資産税評価額が下がらないのであれば1円も費用が発生しません。
固定資産税の還付請求を扱う業者が徐々に増えていることを考えると、
それだけ評価額が下がる実績が出ているからでしょう。
しかも、相手が市町村となれば誰が遠慮するでしょうか(笑)
ただし、固定資産税率は1.7%(都市計画税を含む)のため、固定資産税
評価額がある程度高くないと、還付のインパクトは見込めません。
つまり、固定資産税評価額が1,000万円から900万円に下がったとしても、
税額に換算すると1万7千円。
還付額がこの程度では成功報酬で請け負う業者にとって利益がないため、
お断りされるのが常です。
逆に、設備産業ですとどうでしょうか。
ホテル、旅館、病院、オフィスビル、工場等、その評価額は1億円を超えて
きてもおかしくない。
業者が提示する実績資料を見ると、評価額の減額率が10%から50%までに
及んでいます(もちろん、結果の良い実績しか載せていないのでしょうが・・・)。
仮に3,000万円の評価額減額に成功した場合、1年あたり51万円の還付があり、
さらに5年分遡ると255万円(10年以上遡れる市町村もあるようです)の還付。
将来分も減額されるおまけ付きです。
固定資産税評価額は相続税評価額にも影響を与えるため、評価額の高い
建物を個人所有されている方は特に要チェックです。
仮に成功報酬型の業者に相手にされない規模であっても、不動産鑑定士に
有料でお願いするのも方法の一つではないでしょうか。
不動産を所有する限り将来に渡って課税されるわけですから、初期費用が
還付額を上回ったとしても、長期的には有利になる可能性が高くなります。
ちなみに、1月は不動産以外(什器備品類)の固定資産税の書類(償却資産
申告書)の提出時期でした。
これは不動産と異なり、企業からの申告制です。
さらに言えば、償却資産申告書は税理士に依頼されている企業がほとんどの
ため、場合によっては税理士の“一方的な”申告により固定資産税を納めて
いらっしゃるかもしれません。
既に存在しない資産が残っていたり、耐用年数が過大に適用されていないか
どうかの確認も必要かもしれませんね。
給料のようにご自身で把握できるものは別として、今回取り上げた固定資産税や
法人税等、専門家が計算しているからといって、それが全て正しいということはありません。
セカンドオピニオンのご相談を受けていると、専門家と言われる方々の曖昧な
判断に強く違和感を感じます。
皆さんも、専門家が計算した曖昧な判断に基づく曖昧な税金を支払わせられない
ように気を付けてください。