当社にとっては無縁の話だ!と思っていませんか?

“減価償却”・・・、皆さんを悩ませている会計・税務の制度の一つです。
会社が固定資産を購入した場合、その支出は購入した年度の一時の経費とはならず、減価償却という制度を通じて、数年にわたって経費化されていきます。
キャッシュアウトしているにもかかわらず、経費化されるのは一部であるため、税金を減らす効果は少なく、また、利益とキャッシュの乖離を生む大きな原因となっています。
経営者であれば誰しもが、固定資産の早期経費化を望んでいます(経費算入額が増える=節税効果につながる)。
そんな減価償却の世界には、“特別償却”という制度があります。
特別償却とは、対象となる固定資産を購入した際に、通常の減価償却費に上乗せして30%の追加償却を認める制度です。
とても便利な制度なのですが、巷では、このような誤解があるようです。
『特別償却の対象となる資産は、大変高価なものや特殊なもの。当社には、まったくもって無縁の話だ。』
特別償却の対象となる固定資産は、160万円以上の機械や、120万円以上の備品。3.5トン以上の車や、船舶など、確かに特殊なものが多いです。
しかし、このような対象資産もあります。
「“電子計算機(パソコン)”及び“インターネットに接続されたデジタル複合機”で、それぞれの取得価額の合計が120万円以上のもの」
1台あたりではなく、合計額が120万円以上であるため、何台もまとめて購入した場合には、適用となるケースが出てきます。
ここでいう“それぞれの合計額”とは、パソコンはパソコンの合計で、複合機は複合機の合計で判断する、という意味であるため注意が必要です。
(パソコンと複合機の合計額では適用不可)
また、特別償却制度は、30万円未満の資産を一時に経費化する“少額減価償却資産”の制度とのダブル適用はできないため、通常のパソコンであれば30万未満であることにより、一時に経費化しているため、特別償却を考える必要はないでしょう。
やはり漏れやすいのは、複合機を何台も購入した場合の特別償却の適用です。
また、リースで取得した場合にも、特別償却の適用こそありませんが、“税額控除”の適用はあります。(取得価額の7%が、法人税額から控除される)
リースの場合、複数のいろいろな資産(複合機、サーバー、パソコン、プリンター等)をまとめて一括リース契約しているパターンをよく見かけますが、それでは、対象となる資産にかかる金額だけを抽出するのは困難であるため、税額控除の適用はできません。
リースの際には、対象資産を認識し、それについては、別契約することをお勧めします。(個別金額が分かれば、その必要はありません。)
特別償却や税額控除の規定は、とても複雑で、また、条文も多岐に渡っているため適用の判断はなかなか難しいものです。
しかしながら(だからこそ、と言うべきか)、適用の有無によって節税効果が大きく変わるものです。
実際、当社が新しく税務顧問契約を結ばせて頂くお客さまを見渡すと、適用漏れのケースを散見いたします。
何か大きな買い物をする際には、必ず事前に顧問税理士へ相談されてください。
また、確実に事を進めたい、第3者の意見も聞いてみたい、と言った場合には、是非とも当社の税理士セカンドオピニオンサービスをご活用ください。

雇用調整助成金について

震災等の影響で売上が減少しているが、固定費は通常通りに発生してしまう・・・。
固定費の大部分を占めるのは人件費・・・。
しかし、従業員の生活を考えれば、急にリストラするわけにもいかない・・・。
すでに“何度も”聞いたことがあるかとは思いますが、『雇用調整助成金』という助成金制度があります。
今回も、その“何度も”に該当し、すでに自社について検討をした結果、当てはまらないと結論づけられた方であれば、読み飛ばしていただいてもかまいません。
しかし、冒頭のようなお悩みをお持ちの方で、『雇用調整助成金』について聞いたことはあるが詳しくは知らない、または、初めて聞いた、という方々にとって、わずかながらでも手助けになれば幸いです。


(概要)
『雇用調整助成金』とは、経済上の理由により業績が悪化し、やむなく “休業等”を行った事業者が、従業員の生活を守るため休業手当を支給した際に、その休業手当の80%を国が助成する制度です。
“休業等”とは、会社全体が休むことを言っているのではなく(もちろん、会社全体で休む場合も対象になりますが・・・)、従業員毎の休業を指します。
つまり、各人別の休みの予定表を組み、その休みに対して休業手当を支給すれば、その支給額の80%が助成される、という制度です。
(具体的な活用事例)
以下は、厚生労働省のHPからの抜粋です。
■交通手段の途絶により、従業員が出勤できない、原材料の入手や製品の搬出ができない、来客がない等のため事業活動が縮小した場合。
■事業所、設備等が損壊し、修理業者の手配や部品の調達が困難なため早期の修復が不可能であり生産量が減少した場合。
■避難指示など法令上の制限が解除された後においても、風評被害により観光客が減少したり、農産物の売上が減少した場合。
■計画停電の実施を受けて、事業活動が縮小した場合。
(主な支給要件)
上のセクションに活用事例を挙げましたが、事業の不調がどこまで経済上の理由や震災の影響によるものなのかは計り知れない部分があります。
そこで、次のような客観的な支給要件が定められています。
■最近3ヶ月の生産量、売上高等が、その直前の3カ月又は前年同期と比べ5%以上減少していること
■休業等を実施する場合、都道府県労働局又はハローワークに事前にその休業計画を届け出ること
(出典、参考:厚生労働省HP)


この制度は今回の震災を機に創設されたものではありません(1981年に制定されています。)
しかし、今回の震災を受けて、支給要件の緩和が行われたり、厚生労働省のHP上で新たにQ&Aが掲載されたため、お伝えさせていただきました。
少しでも気になられた方はただちに、都道府県労働局又はハローワークにお尋ねください。 お願いします。

なぜ、あの社長は税務調査を歓迎するのか?

社長 「先生、今、税務署の方が来られまして・・・」
税務署の調査です。
私 「分かりました、私が行くまで中には入れないでくださいね。」
社長 「あっ、いいんです先生、もう調査はじめていただきました。」
私 「エェーそうなんですか!」
私 「今すぐ行きますから待っていてください(汗)」
普通の社長であれば税務調査は少なからず嫌がるものです。
ところが、この社長は快く税務調査を受け入れてしまいました。
実は、そこにはある理由がありました。
以前、税務調査を受けたときに、従業員による多額の不正が発見されたと
いうのです。
実は、税務調査では、税金の申告漏れだけではなく
社内不正や経理の不備が発見されることが少なくありません。
所轄の税務署より調査の連絡があったことを知った従業員が
横領の告白をしてきたというケースもあるくらいです。
また、その逆に、以前の税務調査で不正を指摘されなかったため
その後、不正金額が増加したというケースもあります。
一般の調査官による税務調査は、決められた期間で一定の
件数をこなす必要があり、見落とされることも珍しくありません。
ところが、調査官の中には査察部出身の者もおり、彼らは一般の調査官と
目の付けどころが違います。
帳簿書類の日付や筆跡、印鑑の種類まで確認し、書類の偽造までも見破ります。
その結果、申告漏れの税金よりも、発見される不正金額のほうが大きい場合
があるのです。
これは本当に珍しいことではありません。
多くの税理士が経験していることです。
税務調査が行われるまで、従業員の不正が続いてしまうのでは
困りますし、できれば、税務調査を受けずに不正を防止できるに
こしたことはありません。
まず、ある職務が一人の従業員に集中している仕事は要注意です。
・発注業務を一人の従業員が行っている。
・経理業務を一人の従業員が行っている。
・集金業務を一人の従業員が行っている。
・業者との折衝が 一人の従業員が行っている。
・請求書の発行を一人の従業員が行っている。
これらは全て不正の温床となります。
次に、不正を防止するために、次のことを徹底しましょう。
・予算制度の採用
・貯蔵品の受払簿を作成
・定額資金前渡制の採用
・現金回収は避ける
・領収証にはナンバリングをする
(書き損じは破棄させない)
・売掛金残高は確認状を送付
・定期的な棚卸(立会人を付ける)
・リベートの有無を確認する。
また、ある社長はこんなことも行っています。
その社長は、どんなに量が多くても全ての請求書に目を通し、
自ら決裁をします。
そして、その決裁は、必ず社員が揃っている前で、大きな声で全員に
聞こえるように質問をしながら行うのです。
これは実に上手いやり方です。
社長 「おーい、この外注なんでこんなに高いんだー?」
社員A「先月の○○が一緒になっているからです。」
社員B「それは先月に請求になっているはずです・・・」
社長 「おい、どうなってんだー(怒)」
こんな感じで、従業員どうしが牽制し合い、
社長も現場で起こっている問題が見えてきます。
その他にも不正を防止する手段は沢山ありますが
あらゆる手段を徹底したとしても不正は完全には無くすことが
できません。
それは、経営者自身による不正が残っているためです。
以前に、こんなことがありました。
預金の受払いと経理を全て奥さまが一人で行っていた会社がありました。
以前からどうしても預金の受払いが合わなかったため調査していったところ
犯人は社長の奥さまだったのです。
もちろん、その逆もありました。
売上金の集金をすべて社長が行っていたのですが、
入金額が少なく現金がマイナス残高になってしまうのです。
社長が奥さまに内緒で売上げの一部を抜いていました。
いずれも立派は『横領』です。
社長とその親族による横領は税務調査では大きなペナルティーと
なります。
日頃から、適切な経理を心がけ、税理士による監査を受けることは
税務調査対策だけではなく、大きな意味があるのです。