なぜ、税理士は社長を怒らせたのか?

「先生、お久しぶりです。また、お世話になります・・」
三年前に一度弊社にご相談に来られた社長さんが、人の縁で回りまわって
再び弊社に来社されることとなりました。
しかも、私に連絡をくれた人の話を聞いてみると、三年前にいらしたときと
まったく同じ内容のご相談についてです。
その内容とは、ある経理処理について納得がいかないというものです。
その社長さんは、税理士と退職した経理担当者が処理を間違っていると
考えています。
その話を聞いて、私は『これは不味いことになったなー。』と直観的に
思いました。
数日後、その社長さんより面談予定日の電話があり、三年前に解決した筈
なのに一体、どういうことなのか聞いてみました。
すると、「あの当時(三年前)はまだ会計のことがよくわかっていなかった。」
「あれから自分で勉強し直したのでもう一度話を聞いて欲しい」ということでした。
数日後、社長さんがいらっしゃいました。
挨拶もそこそこに早速本題に入りました。
最初は穏やかだった社長さんも、話しているうちに興奮してこられ、
しまいには「訴えてもいいと思っている。」と憤怒する始末です。
厄介なことになったなーと思いながらも社長さんの話を聞き続けました。
ところが、話を聞いているうちにこれはとても単純な話だということがわかりました。
実は、その社長さんは、経理処理の間違いを糾弾したいのではなく、ご自分の
納得がいかない点を『理解したい』と思っていらっしゃったのです。
仕事柄、かなりきびしい口調ではありましたが、“知りたい” “教えてほしい”と
言っていました。
そこで、私は、社長さんの目の前で、その顧問税理士に直接電話をし、調査に
必要な資料の提出を依頼し、場合によっては、私の説明に同席するように
依頼しました。
その税理士さんは、地元では名の知れた先生です。
電話をすると、先生は興奮された様子で、
「もう何度も説明したんです。」
「そもそも言っていることがおかしいでしょ?」
「もう先生の好きにしてください。」
とおっしゃいました。
私はすぐに思いました。
「あぁーこれが話をこじれさせた原因か」と。
社長さんと言っても相手はシロウトです。
しかも、お客様です。
そのお客様を相手に「言ってることおかしいでしょ?」はオカシイデショ?
お願いした資料は、翌日には私の手元に届きました。
私は、届いた資料の一つ一つに目を通したうえで、あらためて社長さんの
お話を聞き、資料で確認しながら、疑問点の一つ一つに十分な時間をかけて
話し合いました。
その結果、経理処理に問題はなく、社長さんの思い違いであることがわかりました。
確かに、結果だけみれば、社長さんの思い違いです。
しかし、専門家であれば、その思いの一つ一つに誠実に耳を傾け、寄り添うことが
できなければ意味がありません。
みなさんの中で同じようなことで悩んでいらっしゃる方がいらっしゃいましたら
弊社の『税理士セカンドオピニオンサービス』をご利用ください。
今回の件は、(税理士)先生だけに反面教師となりました。